3月24日に突如起きた、てるみくらぶの発券トラブル。利用者に送られたメールには、「日本旅行業協会等関係先と協議の上、ご連絡させていただきます。」と書かれていることが明らかになったが、果たして、きちんと返金されるのかというのが、入金が済んで旅行を心待ちにしている人が懸念していることだろう。



過去にも多くの旅行会社の突然の営業停止により、旅行者が巻き込まれるトラブルが発生している。それらのケースなどを元にみてみよう。






日本国内には、日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)という旅行会社など加盟する2つの組織がある。加盟は任意であるものの、ほとんどの旅行会社がいずれかの協会に加盟している。



旅行業協会は国に対して、「弁済業務保証金」という、利用者の債権を保護するための保証金を預け入れており、加盟している旅行会社が倒産した場合、利用者に対して「弁済業務保証金」の中から弁済される。「弁済業務保証金」は、第1種旅行業は7,000万円、第2種旅行業は1,100万円、第3種旅行業は300万円が最低額で、年間取引額によって異なっている。弁済の対象となるのは、「旅行業務に関する取引によって生じた債権」に限られており、旅行代金や航空券代金などが対象で、旅行券や旅行積立は対象外となる。また、旅行業協会に加盟している旅行会社が任意で加入できる「ボンド保証制度」に加入し、ボンド保証金を預託している場合には、ボンド保証金分を加えた額の中から利用者は弁済を受けることができる。あくまで、利用者との間の保証金であり、例えば航空会社などの債権者に対する弁済とは異なる。



「弁済業務保証金」は倒産や営業停止など、旅行会社が利用者に対して返金が難しい場合に利用する性質のものであり、旅行会社のキャッシュが潤沢であれば、旅行会社より返金される。



JATA、ANTAのいずれにも加盟していない場合、旅行会社が国や都道府県に供託している営業保証金制度の中から弁済を受けることができる。



旅行会社がJATAかANTAに加盟している場合、「氏名、住所、連絡先、旅行会社、支払い済み旅行代金、出発日、行き先、申込人数」等を申し出ることで、認証の申し出書類がJATAやANTAから送付される。一定期間、申し出を受け付けた後、弁済が行われる。弁済は申し出件数にもよるものの、書類提出から6ヶ月程度かかる。弁済請求額の合計金額が営業保証金額を超える場合には、「弁済業務保証金」、「営業保証金」の範囲内で請求額に応じて按分される。つまり、弁済保証金が1億円、請求額が10億円の場合は、利用者は請求額の10分の1しか返金されないことになる。



2013年に営業を停止したトラベル世界では、8,500万円の弁済業務保証金とボンド保証金で、ほとんどの返金が可能だった。レックスロードは無許可で営業していたものの、エイビーロードは旅行業登録の抹消を確認せず掲載を続けていたため、エイビーロード経由で申し込み済みの全員に、エイビーロードが返金を行ったというケースもある。



クレジットカードで支払いを行っている場合には、カード会社によって対応が異なる。引き落とし前、引き落とし後によって対応が異なるものの、相談することをおすすめする。



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情報提供元: Traicy
記事名:「 てるみくらぶのトラブル、返金は行われるのか 「弁済業務保証金」とは何?