新幹線や超電導リニアを学校教育に活かすため、教師を対象にした「鉄道教室」が「リニア・鉄道館」で開催されました。現役教師の視点によると、理科や社会のみならず、道徳教育にも新幹線や超電導リニアが活用できるようです。

教師向けの鉄道教室

「リニア・鉄道館」(愛知県名古屋市)で2015年8月25日(火)、小学校教師を主な対象にした「鉄道教室」が開催されました。学校教育における新幹線や超電導リニアの活用を目的にJR東海が開催したもので、学校教師を対象としたイベントは「リニア・鉄道館」では初の試みといいます。

 当日は愛知県内、また山梨県や東京都などから小学校教師15人、中学校教師3人の合計18人が参加。同館に展示されている新幹線電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」や新幹線試験電車「300X」、超電導リニア「MLX01」といった実物の車両に触れながら、その技術や歴史を学びました。

 果たして新幹線や超電導リニアは、教師の視点からはどのように見えたのでしょうか。そして新幹線や超電導リニアは、どのように教育へ活かせるものなのでしょうか。

理科、社会以外で活用できる「新幹線」

「新幹線」や「超電導リニア」を学校教育にどう活かせるのか、考えてすぐ思い当たるのは技術など理科的な部分と、公共交通機関という社会的な部分でしょう。しかし、教師たちによる意見交換会で挙がったのは、そうした視点に限りませんでした。

「“先人の知恵”という意味で道徳教育にも使える」
「『日本の技術は優れている』と知ることにより、子どもたちも誇りを持てるのでは」

 長年における技術の研鑽、積み重ねの成果である新幹線や超電導リニア。それを築いた人や歴史に触れることは、道徳教育になるのです。新幹線の開発に大きな役割を果たした鉄道技術者の故・島秀雄氏など“偉人”を学べる教材があれば、といった意見もありました。また、子どもが外国人に「日本」をアピールする題材として「新幹線」は適しており、語学教育にも活用できるのではないか、という考えも出ています。中学校の教師からは、「キャリア教育に使える」という声も上がりました。

「『新幹線』には先人の努力と知恵がつまっており、“ものづくり日本”の象徴でもあります。今回のイベントは、それを知っていただけるきっかけになったと思います」(「リニア・鉄道館」天野満宏館長)

 JR東海は学校教育での新幹線活用を進めており、日本最大級の教育研究団体「TOSS」の協力で、新幹線を使った小学生向け教材を製作。2015年7月にその第1弾を公開しています。その教材は「リニア・鉄道館」ウェブサイトから無料でダウンロード可能です。

■リニア・鉄道館「楽しく学べる! 鉄道教材」
http://museum.jr-central.co.jp/materials/

情報提供元: 乗りものニュース