HORIBAグループの米国拠点であるホリバ・インスツルメンツ社(ミシガン州、アナーバー)は、米国環境保護庁(EPA:United States Environmental Protection Agency)の国立自動車・燃料排出研究所(NVFEL:National Vehicle and Fuel Emissions Laboratory)と大型エンジンテストセル用の排ガス測定システム納入に係る契約を締結した。

 契約に基づき、HORIBAは重量車両に搭載されるエンジンから排出されるガス(CO、CO2、THC、CH4、NOx、O2、およびNH3など)の成分測定が可能な排ガス測定システム(以下、MEXA-ONEシリーズ)をEPAに提供し、米国における重量車両の排ガス規制強化に対応する法規適合試験と規制策定のための試験プログラムを支援する。

 米国では、オゾン発生源となる窒素酸化物(以下、NOx)などの大気汚染物質排出削減をめざし、次期排ガス規制の策定プロセスが進んでいる。このような背景から、EPAは超低NOx排出基準の確立と重量車両の新しい認証試験プロセスを提案している。この提案は車両およびエンジン試験精度の向上を促す一方で、メーカーにかかる試験負荷の軽減を図るものである。




 この度のEPAとの契約に基づき、HORIBAは重量車両エンジンから排出されるガス(CO、CO2、THC、CH4、NOx、O2、およびNH3など)成分の測定が可能なMEXA-ONEシリーズを納入する。




 MEXA-ONEシリーズは、排出を希釈または未希釈のいずれの状態でも測定ができ、従来燃料だけでなく新燃料にも、また後処理技術を備えたさまざまなエンジンと車両にも使用できるように設計されている。さらにデータ管理から実測値に基づくシミュレーションまで対応できるテストオートメーションシステム(STARS)、超低排出ガス成分の質量計測に対応した定容量希釈サンプリング装置(CVS-ONE)を組み合わせることで、EPAがめざす水準を満たせると確信している。HORIBAはMEXA-ONEシリーズの納入により、米国における重量車両の排ガス規制強化に対応する法規適合試験と規制策定のための試験プログラムを支援する。




 今後10年間に自動車業界ではこれまでにない変化が起こると予測されている。重量車両のエンジンと後処理技術は、次期規制や進行中の規制案対応のため急速に進歩している。高度な技術を用いたエンジンは従来とは異なる挙動が予測されることから、排ガス試験において新たな課題が生まれる可能性がある。 MEXA-ONEをはじめHORIBAの各種測定システムは日々進化する技術や製品に柔軟に対応できるように設計されている。高度なパワートレイン技術への対応を踏まえ、測定・分析機器を統合ベンチシステムに自由に組み合わせカスタマイズすることにより、超低排出ガス測定時の干渉影響低減と測定精度の向上が可能だ。さらにコールドスタート試験とホットスタート試験に対応するようにダイナミックレンジを拡大している。高度なバッテリーエミュレーターによる評価試験、実路試験やリグ試験(熱・振動など過酷な条件を模擬した耐久試験)など各種試験を相互連携できるソフトウェアを搭載している。




 HORIBAの多機能ソフトウェアは米国の重量車両・ノンロードエンジン試験手順を想定した40 CFR※ Part 1065のテスト項目およびサービストラブルシューティング項目の自動化により運用効率を向上させるだけでなく、装置の自己診断機能によりデータ品質の改善を図る。




※40 CFR: Code of Federal Regulations, Title 40の略。EPAが制定する排出ガス関連の連邦法。実質的に本法令に従い認証作業が行われている。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 堀場製作所:米国環境保護庁が重量車両排出ガス認証試験施設に排ガス測定システムを採用