ホンダの新型ヴェゼルが発表になった。パワートレーンは、1.5ℓDOHC i-VTEC+2モーターハイブリッドの「e:HEV」と1.5ℓDOHC i-VTEC+CVTの2種類を設定している。従来1モーターハイブリッド(i-DCD)だったハイブリッドが2モーターハイブリッド(i-MMD)になったことがトピックだ。では、エントリーモデルとなる1.5ℓガソリンモデルはどうなのだろうか?

ホンダのヴェゼルのパワートレーンは


■先代


・1.5ℓi-VTEC+i DCD


・1.5ℓI-VTEC+CVT


・1.5ℓI-VTECターボ+CVT


から


■新型


・1.5ℓi-VTEC+i-MMD


・1.5ℓI-VTEC+CVT


になった。


もっとも大きな変更はハイブリッドがi-DCDからi-MMDとなったことだ。


ホンダ独自の7速DCTにモーターを組み合わせたi-DCDは、フィット、フリード、ヴェゼル、シャトルなどが搭載していたが、ホンダはハイブリッド・システムをi-MMDに一本化し、「e:HEV」というバッジをつけることにしている。




ヴェゼルがe:HEV(=i-MMD)になったことで、i-DCD搭載モデルはフリード、シャトルのみになった。

e:HEV用の1.5ℓ直列4気筒DOHCエンジンLEC型 最高出力106ps、最大トルク127Nm

では、(あまり目立たないが)ノンハイブリッドの1.5ℓガソリンモデルは新型でどう変わったのか?




まずは、価格から見てみよう。ほぼ同じ装備でパワートレーン違いの


・e:HEV X(FF)265万8700円


・G(FF)227万9200円


で、ハイブリッドとガソリンの価格差は37万9500円。




先代のエントリーグレード比較では


・ハイブリッド・ホンダセンシング(FF):251万円


・G・ホンダセンシング(FF):211万円


で価格差40万円


だったから、新型では少しハイブリッドとガソリンモデルの価格差が詰まったことになる。




新型の1.5ℓ直列4気筒DOHC i-VTECの型式は「L15Z型」だ。先代は「L15B型」を搭載していた。違いはどこにあるのか?

国内初投入となるPFI版1.5ℓ直列4気筒DOHC、L15Z型

スペックは


■新型


L15Z


エンジン形式:1.5ℓ直列4気筒DOHC


エンジン型式:L15Z


排気量:1496cc


ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm


圧縮比:10.6


燃料供給:PFI


最高出力:118ps(87kW)/6600rpm


最大トルク:142Nm/4300rpm




■先代


L15B型


エンジン形式:1.5ℓ直列4気筒DOHC


エンジン型式:L15B


排気量:1496cc


ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm


圧縮比:11.5


燃料供給:DI


最高出力:129ps(95kW)/6600rpm


最大トルク:153Nm/4600rpm

となっている。最大の違いは燃料供給がDI(筒内燃料直接噴射)からPFI(ポート噴射)に変わったことだ。それにともなって圧縮比が11.5から10.6へ下げられた。多くのエンジンが直噴化して高圧縮比化する方向だが、ヴェゼルはPFIに戻して圧縮比も下げた。また、アトキンソンサイクルは採用していない。


「燃費と出力を高いバランスで両立し、普段使いの使いやすさを追求」がこのエンジンのコンセプトである。PFIにした最大の理由は「静粛性」だという。「必要充分な馬力と燃費のバランス」だ。このL15型のPFI仕様は海外仕様のシティなどには搭載していたが、国内には初投入となる。




トランスミッションは、フィットから採用されたステップシフト付きの新開発CVTだ。フィットと比べて重量が増えた分とタイヤサイズに合わせて、最終ギヤレシオは4.992から5.436へローギヤ化された。

燃費は


■新型e:HEV X(FF)


WLTCモード:25.0km/ℓ


 市街地モード24.7km/ℓ


 郊外モード27.1km/ℓ


 高速道路モード23.9km/ℓ


■新型G(FF)


WLTCモード:17.0km/ℓ


 市街地モード12.8km/ℓ


 郊外モード17.7km/ℓ


 高速道路モード19.2km/ℓ




だから、もちろんe:HEVとガソリンモデルではかなり差がある。とはいえ、もし、実燃費がWLTCモードの90%だと仮定すると




■新型e:HEV X(FF):22.5km/ℓ


■新型G(FF):15.3km/ℓ


ということになる。


レギュラーガソリンが148円/ℓだとすると


■新型e:HEV X(FF):6.6円/km


■新型G(FF):9.7円/km


ということになる。1km走る毎に3.1円ずつハイブリッドの方がユーザーにとってメリットがある。


ハイブリッドとガソリンの価格差は37万9500円だから


379500÷3.1=12万2419


つまり、12万2419km走ったところで、車両本体価格+燃料代がハイブリッドとガソリンモデルが同じなるということだ。






e:HEVのモーター駆動(高速走行ではエンジン直結)の気持ちよさは別とすれば、227万9200円の新型ヴェゼルのガソリンモデルという選択も、悪くない。ちなみに、ハイブリッドとガソリン仕様の車両重量の差は100kg。ガソリンの方が100kg軽く回頭性が高いのも魅力となる。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ホンダ新型ヴェゼル e:HEV推しだが、1.5ℓのガソリンモデルはどうか?