ボアピッチ(Bore Pitch)とは、隣り合うシリンダーの中心間の距離をいう。エンジン設計のスタート地点ともいえる数値である。「bore center distance」「cylinder spacing」といったりする。今回はこの「ボアピッチ」を解説する。

ボアピッチ(Bore Pitch) | となり合う気筒の中心間距離 たとえばシリンダーボア(直径)が80mmなら、気筒間の肉厚を確保してボアピッチは必ず80mm以上になる。このエンジンは冷却水路の一部が分割面に露出するセミオープンデッキと呼ばれる構造。

 となり合う気筒間にどれくらいの余裕を持たせるか。つまりボアピッチをどう設定するか。エンジン設計はここから始まることが多い。水平対向エンジンでは「メタルから設計が始まる」とも言われるが、ボアピッチをシリンダーボア(ピストンの直径と同義語)に対して大きくしすぎるとクランクシャフトが長くなる。現在では「シリンダーライナーの厚み×2プラスα」がボアピッチの相場だ。鋼製ライナー同士が接触しないギリギリの寸法である。


 ただし、この設計ではボアを拡大して排気量を増やすことが難しい。排気量の増減はピストンストロークで調節することになる。また、ボアピッチはシリンダーブロックとシリンダーヘッドを締結するボルト穴の位置を大きく左右する。何本のボルトで留めるか、どの場所で留めるかという要件は1気筒あたりの最大燃焼圧力に左右され、充分な冷却を行なうための冷却水路設計からの影響も受ける。近年のディーゼルエンジンでは吸排気系の理想的な取り回しがボルト位置よりも優先される場合もある。要件は複雑だ。したがって、ボアピッチの決定はエンジンの素性を決定するといっても差し支えない。だからエンジン設計の「最初の一歩」なのである。

シリンダーライナーとボアピッチ | 冷却水路が露出するオープンデッキ構造の中に気筒が接したシリンダーライナーがある。よく見ると鋼製のライナー(ピストンとの摺動面になる円筒)の外側にアルミ合金のケースがある。シリンダーブロックが鋼製だった時代はこうした鋳込みライナーは不要だったが、アルミ合金製のブロックにはいまのところライナーが必要。

冷却水路は対称にしたい | シリンダーライナーの外側にある冷却水路はほぼ均等に設計される。しかし、熱効率を突き詰めると「冷やしたくない部分」がでてくる。そこで、水路は吸気側と排気側で均等に設計し、冷やしたくない側に左の写真のようなスペーサーを埋め込む例が多くなった。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 内燃機関超基礎講座 | ボアピッチ 気筒直径(ボア)の中心間距離 エンジン設計はここから始まる