アメリカを代表するスポーツカー、コルベットでも知られる名門ブランド「シボレー」。あまりにも有名なブランドであり、クルマ好きでシボレーを知らない人はいないだろう。ただ、誰もが一度は抱く疑問……それは、なぜ「Chevrolet」と書いて「シボレー」と読むのかということ。どう見てもシェブロレットとしか読めないし、逆にシボレーの綴りを書くために、多くの人がシェブロレットと口にして覚えたはずだ。さらに意味不明なことに、アメリカ人ときたらシボレーをシェビーなんて呼んだりもする。いったい、何が何やら……。

シボレーは英語ではなかった!

 英語の読み方には、絶対的な規則性がない。たとえばフロリダ州のマイアミは「Miami」と書くけれど、最初のiはアイと読むのに、二番目のiはイと読む。ひとつひとつ覚えないとちゃんと読めないのだ。まぁ、漢字にだっていろいろな読み方があるから他人の言語に文句を言う資格はないのだが……。




 それにしてもである。「Chevrolet」と書いて「シボレー」はないだろう。まったく英語ってやつは、と思っていたら……

ブランド名の由来となったのは、スイス出身のルイ・シボレー(Louis Chevrolet)さん。

 なんとシボレーは、フランス語由来だったのだ。




 上の写真の人は、シボレーの共同創設者のひとり、スイス出身のルイ・シボレー(Louis Chevrolet)さんだ。ご存知の通りスイスは多言語国家だが、そのなかでフランス語話者が占める割合は高い。




 そしてルイ・シボレーさん自身も、子供の頃にフランスに移住している。

1910年型ビュイックのレーシングマシンを駆るルイ・シボレー。

 その後、同じくフランス語圏のカナダはケベック州のモントリオールに移住し、レーシングドライバー兼メカニックとして活躍。ビュイックのドライバーに抜擢され、同社のオーナーであるウィリアム・デュラントさんとともにシボレーを創設することとなる。




 というわけで、英語以上に難解なフランス語が由来だったというオチなのだが、実はフランス語の方が英語よりは規則性があるらしい、というのは知っていても損はない。




 Chevroletを音節ごとにわけてみると、Cheはまさにフランス語の規則どおり「シェ」で、vroは「ヴ」の後にフランス語ならではの鼻にかけた「ホ」のような音が僅かに続き(ほとんど「ォ」しか聞こえない)、letは最後のtを発音せずに「レ」となる。tがなければ「ル」となる。




 だからフランス語だと考えれば、Chevroletをシボレーと読むのはおかしいことでもなんでもないそうだ。正確には「シェヴォレ」がよりフランス語の発音に近いカタカナ表記となる。

1915年と1916年には自らの名を冠した「シボレー」でインディ500にも参戦!

 さて疑問のもうひとつである「シェビー」という呼び方はいったいなんなのか?




 これは単純に、多くのアメリカ人がフランス語由来のシボレーをうまく発音できないから、ということだそうで……。




 自国を代表する名門ブランドの名前をうまく発音できず、愛称で呼んでしまうなんていかにもアメリカらしい話だ。ちなみにアメリカのブランド名や車名には意外とフランス語由来のものが少なくなく、有名なところではキャデラックが挙げられる。デトロイトを開拓したフランスの貴族出身の探検家であるアントワーヌ・カディヤック(Antoine Cadillac)さんにちなんで命名されたという。そういえばデトロイトという地名だってフランス語だ。




 アメリカの自動車産業におけるフランス系移民の存在感の高さがうかがえるエピソードである。

シボレー設立後はエンジニアとしても活躍。自ら設計に携わった4気筒エンジンとともに。「なぜエンジンが浮いているのか?」とか「なんだか合成っぽい」とか、そういうのは気にしないように。写真の提供元はGM本社 。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 Chevroletはなぜシボレーと読むの? シェブロレットじゃないの? さらにシェビーってなによ?