SUV、クロスオーバーで勢いに乗るシトロエン。そのなかでもグローバルで大ヒットしているのが、C3 AIRCROSS SUVだ。お洒落なスタイリング、カラーリングで大人気のC3エアクロスSUVをジャーナリスト、世良耕太が試した。




TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

このお洒落さで279万円!

トランスミッションはアイシン・エィ・ダブリュ製6速AT。1速:4.043 2速:2.370 3速:1.555 4速:1.159 5速:0.852 6速:0.671 7速:0.560 後退:3.192 最終減速比:3.679

Bセグ、CセグのSUVのマーケットの拡大ぶりを表すグラフ

「なにこのオシャレなクルマ!」というのが、シトロエンC3エアクロスSUVの第一印象だった。メディア向け試乗会の会場は標高1000mの山の中にあるキャンプサイト。木々に囲まれた駐車場では前の枠のメディアが撮影を行なっており、会場に到着するなり、予期せずしてC3エアクロスSUVの姿が目に飛び込んできたのだった。

C3エアクロスはグローバルですでに18.5万台を売る大ヒットとなっている

 プレゼンテーションで価格を聞いて、「えっ?」となった。実物を見て抱いていたイメージとかけ離れていたからだ。3つあるグレードのうち、売れ筋のSHINE(シャイン)のメーカー希望小売価格は274万円(消費税10%で279万1000円)だ。オシャレなムードをキラキラと撒き散らす様子から、もう少し高い価格帯をイメージしていた。




 C3エアクロスSUVは2年前にデビューしたC3ハッチバックをベースにした、はやりのSUVである。シトロエンからはひと足先にC5エアクロスSUVも出ているが、あちらはCセグメントのSUV。C3エアクロスSUVはBセグメントに位置づけられる。「世界的に見ても、日本の市場においてもSUVは人気で勢いがある。まだ伸びる」とプジョー・シトロエン・ジャポンのプレゼンターは力説していた。




 シトロエン初のSUVを同時期に日本市場に投入して、勝負を懸けにきたわけだ。エアクロス(AIRCROSS)は、シトロエンでは「SUV」を意味するネーミングである。C3エアクロスSUVは2019年4月末時点で、世界で18万5000台ものセールスを記録しており、そのうち53%がトップグレードだという。簡素な装備で我慢するのではなく、装備を充実させて楽しむ層が多いことを推察させる。

全長×全幅×全高:4160mm×1765mm×1630mm ホイールベース:2605mm 駆動方式はFF

これまた日本でもヒットしたC3とのボディ寸法比較。C3と比べて全長で165mm、全高で135mm、ホイールベースで70mm大きい。が、それでもコンパクトである

 C3エアクロスSUVの全長×全高は4160×1630mmで、ベースのC3に対して165mm長く、135mm背が高い。ホイールベースは2605mmで、C3より70mm長い。160mmの最低地上高は同じだ。見た目から受ける印象も実際の数字どおりで、C3ハッチバックより長いとはいえ、依然コンパクトだ。ただし、存在感がある。

燃費:WLTCモード 14.7km/ℓ  市街地モード 11.6km/ℓ  郊外モード 15.0km/ℓ  高速道路モード 16.4km/ℓ

 センスが良くて目を引くが、嫌味ではない。エクステリアでは、ルーフレール、ヘッドライトまわり、ホイールのセンターキャップに、ホワイト、シルバー、オレンジのアクセントを付けている。試乗車はブリージングブルーだったが、このボディカラーの場合、アクセント色はホワイトだ。

 ドアを開けて室内を覗くと、今度はオレンジのアクセントが目につく。空調のルーバー、ステアリングのスポークにオレンジの差し色。シートにはオレンジのストライプが入っている。目の粗いファブリックを用いたシートの素材感がカジュアルなムードを醸し出す。シートと同じ素材をダッシュボードに貼り込んでいるのも目を引いた。




 エクステリアを見て「なにこのオシャレなクルマ!」と思ったが、室内はもっとオシャレで、色の使い方、素材の使い方がニクイほどにうまいし、大きなパーツと小さなパーツが組み合わさって形づくるグラフィックはモダンな印象だ。にぎやかだが、ウルサくない。このクルマのオーナーになったあかつきには、エクステリアを眺めるよりもインテリアを眺めている時間のほうが長いはずで、内外どちらのオシャレに気を遣うべきかとえいえば、断然インテリアである。その意味で、C3エアクロスSUVのアプローチは大正解だ。積極的に人を招き入れたくなるようなインテリアである。

エアコンの吹き出し口も最新のシトロエンらしい




 運転席に腰を下ろしてみると、フカッとした感触に頬が緩む。シートに腰を下ろすというより、ソファに座る感覚だ。といって運転時のサポート性をないがしろにしているかというとそんなことはなく、しっかりツボは抑えている。さすが、創業100周年の老舗自動車メーカーだけのことはある。本当はカチッとできるんだけど、狙ってゆったりした感触や動きを作り出しているようにも感じる。

シトロエンの伝統も言えるシートの良さは、このモデルでも健在だ

こちらは後席。オレンジのサシ色がなんとおお洒落

リヤサスペンションはこのクラスの定石、TBA(トーションビームアクスル)。車高のアップにはスペーサーを挟むことで対応している

 脚はよく動く。動くんだけれども、ロールが深くなっていくにつれてねじを締め付けるように動きが渋くなっていくので、不安感につながるようなことはなく、安心してクルマを振り回すことができる。むしろ、楽しい。

FEELとSHINEは195/60R16のブリヂストンTURANZA T001になる

 SHINE(とパッケージオプション装着車)は17インチタイヤを装着するが、ハンコック製のオールシーズンタイヤ(KINERGY 4S)を標準で装着する。16インチタイヤが標準のFEELはブリヂストン製のサマータイヤ(TURANZA)を履く。C3エアクロスSUVは、2017年からPSAグループの一員になったオペルの工場で生産している。ハンコック製タイヤの採用は、オペルと関係が深いから、との説明だった。

SHINE(とパッケージオプション装着車)は17インチタイヤを装着
ハンコック製のオールシーズンタイヤ(KINERGY 4S)


パッケージオプションなしのSHINEだと195/60R16のノーマルタイヤとなる(写真はオールシーズンタイヤ)

 もう何年もオールシーズンタイヤで過ごしている筆者にすれば、納車時にオールシーズンタイヤを装着しているのは好感度アップにつながる要素だ。最新オールシーズンタイヤの例に漏れず、ハンコックのそれも、舗装路での動きに関してサマータイヤと大きな違いは感じられなかった。ロードノイズについても同様である。雪の上でのパフォーマンスが気になるところだ。

エンジン 形式:1.2ℓ直列3気筒DOHCターボ 型式:PureTEC1.2 排気量:1199cc ボア×ストローク:75.0×95.5mm 圧縮比:10.5 最高出力:110ps(81kW)/5500pm 最大トルク:205Nm/1750rpm 燃料:プレミアム 燃料タンク:45ℓ

 C3エアクロスSUVが搭載するエンジンは1.2ℓ直3ターボで、110ps/5000rpmの最高出力と、205Nm/1750rpmの最大トルクを発生する。組み合わせるトランスミッションは、アイシン・エィ・ダブリュ製の6速ATだ。試乗車(SHINEパッケージオプション付き)の車重は1310kgだったが、急勾配の山道でさえ軽快に駆け上がる動力性能の持ち主であることは確認できた(常時1名乗車だった)。

プラットフォームは最新のEMP2ではなくシトロエンC3と同じくプラットフォーム2を使う

荷室容量は520ℓ。後席を倒せば最大1289ℓになる。2.4mの長尺物も積める

ボディカラーはブリージングブルー ルーフカラーはナチュラルホワイト パッケージopなしなら279万1000円

シトロエンC3 AIRCROSS SHINEパッケージオプション付


全長×全幅×全高:4160mm×1765mm×1630mm


ホイールベース:2605mm


車重:1310kg


サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトーションビーム式


駆動方式:FF


エンジン


形式:1.2ℓ直列3気筒DOHCターボ


型式:PureTEC1.2


排気量:1199cc


ボア×ストローク:75.0×95.5mm


圧縮比:10.5


最高出力:110ps(81kW)/5500pm


最大トルク:205Nm/1750rpm


燃料:プレミアム


燃料タンク:45ℓ


燃費:WLTCモード 14.7km/ℓ


 市街地モード 11.6km/ℓ


 郊外モード 15.0km/ℓ


 高速道路モード 16.4km/ℓ


トランスミッション:6速AT


車両本体価格:302万5000円

情報提供元: MotorFan
記事名:「 Citroen C3 AIRCROSS:C3ベースのお洒落SUVはルックスだけでない基本性能の高さも魅力