今度の休みは、愛車やレンタルバイクで久々にツーリング。しかも家族や友人を、後ろに乗せて、さらに楽しく! 2005年の道路交通法改正により、自動車専用道路もタンデム走行OKになるなど、バイクでの楽しみ方がさらに拡大。ここでは、バイクの2人乗りに関するアレコレをおさらいしてみました。


REPORT:北 秀昭(KITA Hideaki)

バイクで2人乗り(タンデム)するには、“条件”があります!

 バイクで一般公道を2人乗り(タンデム)するには、下記の条件を満たすことが必要。




1:排気量50cc未満の第一種原動機付自転車(略して原付1種)は、全面的に不可




2:排気量50cc超の自動二輪車で、「タンデムステップ」「2人乗りできるタンデムシートもしくはキャリア」「後ろのライダーが安全に掴めるタンデムベルトもしくはタンデムバー」を装備した『乗車定員=2名』の車両(道路交通法第57条/道路運送車両の保安基準第26条)




3:普通二輪小型限定免許以上の取得後の期間が、通算して1年以上の者(道路交通法第71条の4)




 普通二輪小型限定免許以上の運転免許証取得後の期間を、通算して1年以上の者に限定している理由。それは、2名乗車時のバイクは、リヤに過重が掛かるため、カーブを曲がる時や、急ブレーキ時などには、1名乗車時よりも高度なテクニックや、経験が要求されるためである。


 免許証取得1年未満のビギナーは、1名乗車でしっかりと経験を積み、安全運転のテクニックを磨きましょう!







【もしも違反したら】


違反名:定員外乗車違反


反則金:原付5000円、二輪車6000円、普通(軽)自動車6000円


違反点数:1点




※注:「定員外乗車違反」は、道路交通法で2人乗りが禁止されている原付1種のタンデムはもちろん、乗車定員2名のバイクでの3人乗り。また、乗車定員4名である軽自動車の5人乗りなど、四輪にも適用される。
■【モンキー125でタンデム】「乗車定員=1名」のバイクを“タンデム仕様”にカスタムできるのか?

高速道路で2人乗り(タンデム)する時の“条件”とは?

▲高速道路のタンデムも余裕にこなす、ハーレーダビッドソン・ウルトラリミテッド。詳細は写真をクリック!「ハーレーダビッドソンのタンデムはホントに快適? 後ろに乗ってみる」

 国内の高速道路(自動車専用道路を含む)は、125cc超のバイクであれば走行可能。




 また、下記の条件をクリアすれば、規制緩和によって、2005年から2人乗りも可能となりました。




・年齢が20歳以上の者


・普通自動二輪もしくは大型自動二輪免許取得後の期間が、通算して3年以上の者(道路交通法第71条の4)




 高速道路の2人乗りが認められたのは、2005年。ハーレーダビッドソン社を要する米国政府から、「安定感のあるビッグバイク(ハーレー)で高速道路をタンデムできないなんて、おかしいだろ? そんな規制は撤廃! そしたらハーレーがいっぱい売れて最高だろ?(←この部分がオチ)」という経緯によって、規制を緩和するに至りました。




 なお、「合格させることは考えない。あくまでも落とすことが目的」「司法試験よりも難しい」と揶揄された、かつての限定解除(大型自動2輪免許)が、免許制度の改正によって、国内でほぼ何の議論をされることもないまま、アレヨアレヨという間に、1996年(平成8年)から指定自動車教習所でも取得できるようになりました。




 以上も米国から、「大型自動二輪免許(限定解除)が取得しづらいことが、日本市場でハーレーが売れてない理由だろう」という強いプレッシャーがあったためです。




 筆者的にこの出来事は、「何十年に渡り、ビッグバイクに憧れるライダーを“無意味に”苦しめてきた、この厳しい免許制度は、一体何だったの?」と思わせた、『米国政府に対して弱気な態度ナンバー1のニッポン』を象徴した“珍事”でした。




 ちなみに、指定自動車教習所で大型自動二輪免許が比較的容易に取得できるようになって以来、日本でのハーレーダビッドソン等のビッグバイクのセールスは、大きく伸びました。




 日本のライダー&米国政府にとっては、まさにWIN=WIN。この時ばかりは、「アメリカよ、下らん制度を潰してくれてありがとう!」と思った人も、少なくないはずです。

「一部の首都高速道路」や「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止区域」は、“いかなる場合も”2人乗り(タンデム)NG

▲タイトなコーナーが多数あり、複雑な合流地点が続く、東京都心の「首都高速道路」。
▲「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」の道路標識。


 高速コーナーや急カーブが続く、東京都心の「首都高速道路」の中心部や、「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」の道路標識のある道路では、ライダーの安全を確保するため、上記の条件を満たしている場合でも、2人乗りでの走行が禁止されています。



【もしも違反したら】


違反名:大型自動二輪車等乗車法違反


反則金:1万2000円


違反点数:2

「首都高速道路」の2人乗り(タンデム)禁止区間をチェック!

▲「首都高ドライバーズサイト」より。

 首都高速道路は、上記の赤い区間の中心部において、バイクの2人乗りが禁止されています。周辺の高速道路をタンデムで利用する人は、誤って侵入してしまわないように注意しましょう!

バイクの2人乗り(タンデム)に関する「道路交通法」「道路運送車両法」一覧

【道路交通法 第57条】


車両(軽車両を除く)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。ただし、第55条 第1項ただし書の規定により、又は前条第2項の規定による許可を受けて貨物自動車の荷台に乗車させる場合にあっては、当該制限を超える乗車をさせて運転することができる。
【道路運送車両の保安基準 第26条】


自動車の乗車装置の構造に関し保安基準第 20 条第1項の告示で定める基準は、次の各号に掲げる基準とする。


・自動車の乗車装置は、乗車人員が動揺、衝撃等により転落又は転倒することなく安全な乗車を確保できる構造でなければならない。この場合において、次に掲げる基準はこの基準に適合するものとする。


◎二輪自動車の後部座席であって、握り手及び足かけを有するもの。
【道路交通法 第71条の4】


3 第八十四条第三項の大型自動二輪車免許を受けた者で、二十歳に満たないもの又は当該大型自動二輪車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して三年に達しないもの(同項の普通自動二輪車免許を現に受けており、かつ、当該普通自動二輪車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して三年以上である者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、高速自動車国道及び自動車専用道路においては、運転者以外の者を乗車させて大型自動二輪車(側車付きのものを除く。以下この条において同じ。)又は普通自動二輪車(側車付きのものを除く。以下この条において同じ。)を運転してはならない。




4 第八十四条第三項の普通自動二輪車免許を受けた者(同項の大型自動二輪車免許を現に受けている者を除く。)で、二十歳に満たないもの又は当該普通自動二輪車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して三年に達しないもの(当該免許を受けた日前六月以内に普通自動二輪車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、高速自動車国道及び自動車専用道路においては、運転者以外の者を乗車させて普通自動二輪車を運転してはならない。




5 第八十四条第三項の大型自動二輪車免許を受けた者で、当該大型自動二輪車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの(同項の普通自動二輪車免許を現に受けており、かつ、当該普通自動二輪車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年以上である者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、運転者以外の者を乗車させて大型自動二輪車又は普通自動二輪車を運転してはならない。




6 第八十四条第三項の普通自動二輪車免許を受けた者(同項の大型自動二輪車免許を現に受けている者を除く。)で、当該普通自動二輪車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの(当該免許を受けた日前六月以内に普通自動二輪車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、運転者以外の者を乗車させて普通自動二輪車を運転してはならない。
情報提供元: MotorFan
記事名:「 150ccクラス以上は高速道路(一部の首都高速道路を除く)のタンデム走行もOK♪