4ドアのファミリーカーに、高性能エンジンを押し込むという手法はひと世代前のS54Bから始まったスカイラインの得意技。それが“箱スカ”では6気筒DOHC24バルブという超高性能ユニットの搭載という形に結実した。


 現代まで続くGT-R伝説の始まりとなったPGC10。もはや神格化された存在だが、当時の評価はどのようなものであったのだろうか。

GT-Rでも当時はスチールホイールが標準だった。オリジナルのタイヤサイズは6.45H14のバイアスタイヤ。GT-Rのために205km/h規格のHタイヤとした、と座談会で述べられている。

空気抵抗を減らす砲弾型フェンダーミラーがGT-Rには装着された。鏡面と縁の段差がないのは、69年式の特徴だ。

フロントフェンダーのウインカーは、69年式のみ、前方が尖った形状となっている。
フロントタイヤ後方にSkylineとGTの楯バッジ。GT-Rはこの色が赤となっている。


GT-Rの象徴としてあまりに有名な、サーフィンラインを分断するオーバーフェンダー。といってもオーバーフェンダーというほどの形状ではなく、座談会で桜井氏も「アーチを大きくした」という表現を使っている。後の2ドアKPGC10では、ビス留めの立派なオーバーフェンダーとなる。

トランク左上部に位置する燃料口は、メインキーで開ける方式。

R380を市販車用に改良・設計変更したS20エンジン。市販車に搭載するにあたり、当時厳しくなってきた排ガス対策も含め、かなり設計と開発には時間をかけた、と座談会で語られている。160ps、18kgmという数字はトヨタ2000GTと比較するとトルクは同値、パワーは10ps上回る。撮影車両のピロアッパーマウントはノンオリジナル。

ボンネット左フェンダー側に装着されるシャシープレート。スカイラインがプリンスから日産となったのはこの三代目からだ。

インパネの造形は、6気筒モデルの2000GTと同じだが、レース出場を前提としていたGT-Rはラジオ、時計、ヒーターがオプションとなっていた。ステアリングとグローブボックス下のオーディオはノンオリジナル。

センターコンソールには燃料計と電流計を配し、ウォッシャーやライター、ワイパーなどのスイッチが並ぶ。撮影車両はオプションのラジオとヒーターを装着。ラジオ左側はオプションの時計用のダミー蓋。

スピードメーターとタコメーターの間に水温計と油圧計。GT-Rのみ、タコメーターが10000rpm、油圧計が10kg/cm³表示となっている。

フロントシートにはリクライニングもしない、本格的なバケットシートを装着。運転席には3点式シートベルトも装備される。リヤシートは意外なほど広い。

スポーツ走行に備えてトー・アンド・ヒールをやりやすくするために、アクセルの踵の部分を大きくし、ブレーキとの前後位置も調整した、と座談会で語られている。

69年式までの採用となった3分割グリル。GT系はブラック塗装で精悍なイメージとなっている。GT-Rエンブレムは背景がレッドで、Rの文字はイエローだ。他グレードでは装着されているボンネット中央のモールは省かれている。

内張りのまったくない、簡素なトランクルーム。GT-Rは100ℓの燃料タンクがスペースを占めているため、容量はあまり多くない。

テールランプは一灯でスモー ル、ブレーキ、ウインカーを兼ねる。

トランクリッドに装着されたSKYLINEエンブレム。GT-Rは文字部分がレッドとなる。

2本出しのマフラーは、GT系と同形状。エキゾーストサウンドはかなり大きめだ。


福野礼一郎のクルマ論評3

『福野礼一郎のクルマ論評2014』『福野礼一郎のクルマ論評2』に続く単行本第三弾。今回は、14台のクルマ論評に加えて、モーターファン・ロードテストの5台(トヨタ2000GT、マツダ・コスモスポーツ、日産スカイラインGT-R(KPGC10)、日産フェアレディZ432、いすゞベレットGTR)を現代の視点で掘り下げる座談会も収録。スペシャルコンテンツとして、「福野礼一郎選定 項目別ベストワースト2018」も掲載しています。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 名車再考 日産スカイライン2000GT-R Chapter1 実車確認 日本を代表する名車をディテールまで撮り下ろし