スタイルワゴン・ニューカマーインプレッション


NISSAN SERENA e-POWER [ニッサン・セレナ イーパワー C27系]



ノート用をベースとした改良版ユニットを搭載


現行型セレナ発売時から噂があった、電動パワートレーンを搭載したe‐POWERが遂に発売された。

e‐POWERのパワートレーンは、直列3気筒の1.2Lエンジンで発電を行い、その電力により前輪をモーターで駆動するというもの。先に発売されたノートe‐POWERと共通のユニットを採用しているが、ミニバンに搭載するにあたりエンジンやモーターの出力を向上させ、駆動用リチウムイオンバッテリーの容量拡大も図られている。

注目の走りは、従来のガソリン車よりも洗練された柔軟性のある走りを見せてくれた。モーター駆動のクルマは発進直後から最大トルクを発生できるので、ミニバンの重さを感じさせないトルクフルな発進加速を実現。走行中の追い越し加速もレスポンスが良く、ガソリン車よりもキビキビと走ることができる。


セレナe‐POWERには「ノーマルモード」「Sモード」「ECOモード」という、3つの走行モードが用意されているが「ECOモード」でも十分気持ち良く走れる。高速道路でアクセルやブレーキ、ステアリングを自動制御するプロパイロットを使っているときも、モーター駆動になったことで加減速がスムーズになり、ステアリングの動きも滑らかになった。

セレナe‐POWERは減速時も特徴的だ。「Sモード」と「ECOモード」での走行中は、アクセルペダルを戻すだけで強い回生ブレーキが働くので、ブレーキペダルを踏まなくても減速が可能となる。最初は強い減速感に戸惑うが、慣れてしまえば大半はアクセルペダルだけの操作で走れてしまうのでとても楽だ。どうしても馴染めなければ「ノーマルモード」を選べば、一般的な減速感になるので問題はないだろう。


マナーとチャージモード2つの便利機能も搭載




加えて静粛性が高いのもセレナe‐POWERの美点。発進時はエンジンが停止しているので静かに動き出す。発進後にアクセルを踏み込めばエンジンが始動して発電を行うが、e‐POWER車は発電効率の良い回転数をキープし、その回転域に最適な防音材が追加されているのでエンジンの透過音も抑えられている。そのぶん深くアクセルを踏み込んだ際にはエンジンの音が大きく感じるが、日常的なアクセル開度では静粛性が高い。

さらに深夜の帰宅時など、エンジンを極力始動しないで走りたい時に使用する「マナーモード」もある。「マナーモード」は最長で2.7㎞のEV走行が可能となっているが、これはバッテリーが満充電の時に限られる。そのためセレナe‐POWERでは、走行中でも積極的にバッテリーを貯めることができる「チャージモード」が用意された。


ハンドリングは車両重量が従来比で70〜80㎏程度重くなっているために、多少ボディの動きが大きくなっている印象。乗り心地も少しハードになっているが、ガソリン車と大きな差はない。仮にガソリンユーザーがe‐POWERに乗ったとしても、違和感はないはず。

乗車定員が8人乗りでなく、7人乗りに限定されてしまう点は少々残念だが、ライバルのハイブリッド車よりも走りの軽快感が高く、燃費も良好。Mサイズミニバンの購入を検討しているなら、必ず試乗しておきたいモデルといえる。


数字でヒモ解く、新参者e-POWERの見所!!


SERENA e-POWER’s CHARACTER POINTs

ベース車、セレナとの違いやe-POWERならではの特徴を、数字を踏まえて解説だ。


1PEDAL


アクセルペダルだけで、加速だけでなく減速もできる



ドライブモードは2種類あり、うち「e-POWERドライブモード」は、アクセルペダルからブレーキペダルへ踏み換える手間なく、アクセルペダルの加減だけで車速をコントロールできるワンペダル走行が可能(完全に停止させる場合は除く)。「Sモード」「ECOモード」ともにアクセルペダルをはなすと強い減速力を得られる。


ワンペダル走行を可能とするe-POWERドライブには2つのモードを用意


【Sモード】



  • レスポンス重視の加速と燃費を両立

  • 加速力/通常、減速力/強い


【ECOモード】



  • 加速力セーブのマイルド走行

  • 発進&停止を繰り返す渋滞時に最適

  • 加速力/緩い、減速力/強い


100%


走りはすべてモーター、エンジンは発電のみ!



既存車のS-HYBRIDとの大きな違いは、走行がすべて100%モーター頼りということ。エンジンはあくまでも発電用で、エンジン駆動は0%。モーターならではのスムースで加速感のある走りは、1度乗ったら病みつき確実。ノートe-POWER比では、バッテリー容量2割、出力&トルクも2割5分上昇。


1.2L


0.8L減の小排気量でも、仕事はしっかりこなす



既存の2.0Lガソリン車に対し、e-POWERは全グレード1.2Lとしているが、エンジンはあくまで発電機と、そもそも役割が異なるため過不足はなし。電池残量に応じて起動するため、駆動用エンジンに比べて稼働時間がそもそも短い。結果、省燃費にも貢献。


7SEAT


アームレスト標準装備! 専用2列目シートの2+2+3の7人乗り



モーター新設など、パワートレーンの変更によりフロア形状も変わったe-POWER。ガソリン車のように、2列目ベンチシート中央座席が前列へスライドする機構はなく、2列目は左右独立のキャプテンシートに。各席用のアームレストも標準装備。乗車定員は8人→7人となる。3列目の乗降性を高める助手席側の横スライド機能も、一部グレードで標準装備される。


13COLOR


e-POWER専用色を含めワイドレンジに選べる

既存車が12色のみとなることに対し、e-POWERは設定マックスとなる全13色から選べる。



ミントホワイトパール

うち淡いグリーン調の「ミントホワイトパール」は、e-POWERでしか選べない専用色。マルーンレッドのブラックルーフは、これまで通りハイウェイスター専用だ。


4GRADE


ハイウェイスターと標準車から選べる



e-POWERの選択グレードは、充実装備のエアロモデル「ハイウェイスター」系で2グレード、標準モデルで「X」「XV」と、2モデル4グレードから選べる。両者の価格差は、最小約20万円、最大約40万円だ。パッと見の意匠は既存車と同じ。


165%


燃費はセレナ最良の26.2㎞/Lを達成

気になる燃費は、e-POWER全グレード同一の26.2㎞/L。S-HYBRID含む既存車では標準車15.0㎞/L、ハイウェイスター17.2㎞/L(ともにベースグレードの場合)と違いは歴然。最高で165%(!)も燃費が向上している。



給油口はお馴染みのコレ!


50万円UP


高い、それとも安い!?ベース車との差は50万円

車両価格はベースのガソリン車よりも、全グレードでアップしている。人気の高い「ハイウェイスター」で比較すると、「ハイウェイスター」が267万8400円、「e-POWER ハイウェイスター」 が317万8440円とその差は約50万円。

オーテック扱いとなる純正オプションの「防水シート」モデルも、既存セレナ同様、e-POWERでも選べる。


0円


取得税・重量税が0円税制優遇も高いのだ

セレナe-POWERでは「自動車取得税」「自動車重量税(購入時と初回車検時の2回)」が免税の0円(!)となる。

日産のウェブ見積もりで試してみたところ、例えば「e-POWER ハイウェイスター」では、単純計算で最低でも、購入時に11万円程度の取得税+重量税の支払いが必要だが、それが0円になる。

一方でガソリン車の「ハイウェイスター」では取得税20%減、重量税25%減の恩恵を得ても、約7万5000円以上の出費は必要。「自動車税」にも待遇差があり、ガソリン車は現在優遇なしに対し、e-POWERは75%も減税。e-POWERは税金優遇が高いのだ。


64万円


専用チューンのオーテック その差額は約64万円!



専用バンパーやグリル、アルミホイール、テールレンズ、インテリアなどを武装した、特別なe-POWERとなるオーテックバージョンもあり。e-POWERで選べるのは1グレードのみで、価格は382万1040円。ベースとなる「e-POWERハイウェイスター」との比較で、約64万円高となっている。車体色は8色のみ。


e-POWERドライブにはこんな便利機能も-1


マナーモード



ノートe-POWERにはない「マナーモード」は、エンジンをかけずにバッテリー走行ができる便利機能だ。早朝や深夜の住宅地を走るときなどに、走行音を出すことなく移動できるのがメリット。バッテリー残量が90%ほどあれば、約2.7km走行できるため、自宅近くで「マナーモード」を使いバッテリー走行をすることが可能となる。


e-POWERドライブにはこんな便利機能も-2


チャージモード



発電用エンジンを起動してのバッテリー充電は、クルマ側が判断し適時自動で行うが、任意でエンジンをかけて充電を開始することも可能。それが「チャージモード」。専用スイッチを押すだけで、強制的に充電を行える。マナーモード使用前に、チャージモードを使い充電しておくと、ご近所走行時に不意にエンジンがかかる心配がなく安心だ。


安全装備も強化




ベース車になハイ&ロービーム自動切り替え機能が標準となるほか、道路標識認識機能が強化、さらに踏み間違いによる衝突防止機能も進化版が搭載と、安全性はセレナ史上最高レベルとなっている。


e-POWERの専用装備




テールレンズに赤い3本バーのストップランプが入るほか、ホイールは全グレード15インチの専用意匠となる。リアウイングを支えるように、走向風の巻き込みを抑える空力効果の高いスポイラーが左右に標準装備。


ほかにもこんな違いが!




一目でe-POWERと分かる違いがいくつかあり。グリルやメーター、シフトノブ、エンジンスタートボタンなどが専用カラー、専用形状となる。フロア構造の違いを隠すための専用コンソールが前席間に装備される。























































SPECIFICATION諸元
グレード名e-POWER ハイウェイスターV
全長×全幅×全高4770×1740×1865mm
室内長×室内幅×室内高3240×1545×1400mm
JC08モード燃費消費量26.2km/L
エンジン排気量・種類1198cc・直列3気筒DOHC
エンジン最高出力62(84)/6000kW(PS)/rpm
エンジン最大トルク103(10.5)/3200-5200Nm(kgf・m)/rpm
モーター最高出力100(136)kW(PS)
モーター最大トルク320(32.6)Nm(kgf・m)
乗車定員7名
タイヤサイズ195/65R15

※ セレナe-POWER全グレードでの価格は296万8920円(e-POWER X)〜340万4160円(e-POWER ハイウェイスターV)。


問:日産自動車お客さま相談室 電話:0120-315-232

URL:http://www.nissan.co.jp



情報提供元: ドレナビ
記事名:「 走りが違う、燃費が違う、静粛性が違う 話題の電動セレナを、市街地で試す!|SW新車インプレ