梅雨入りの気配を感じつつ、まだ晴れ間が多い日が続いています。今日6月6日は「お稽古の日」と言われ、6歳の6月6日から芸事を始めると長続きするとか…その理由の一つに、雨の日が多く外で遊べないために室内で過ごすことが多いから、という説があります。真偽のほどは定かではありませんが、この時期は屋内での楽しみを満喫できることに間違いはないようです。湿度が増えたり、気圧の変化が著しい時期こそ、美しいものに触れたいですね。そこで今回は、今だからこそ観たい日本画をご紹介します。

6月の花、泰山木の花言葉は「壮麗」


日本画に見る花の美―小林古径の静謐

6月から7月にかけて花びらを盃のように広げて咲く泰山木(たいさんぼく)の花をごぞんじでしょうか。まるで、雨も日差しも受けとめるかのように、おおらかに咲く花です。小林古径(1883-1957)とその弟子・奧村土牛(1889-1990)はともに「泰山木」の作品を残しています。古径は昭和10(1935)年に《白華小禽》を、土牛は昭和33(1958)年に《泰山木》を描いているのですが、その画風は対照的とも言えるでしょう。師の古径は、小鳥が枝にとまっている屋外の花を描いており、花の白さと葉の緑、枝にとまる小鳥を深い青で描き、その色彩と輪郭はシンプルにしてシャープ。花と葉がお互いを際立たせているかのようです。まさに、静謐という言葉が浮かぶ作品です。では、弟子の土牛の作品はというと…。


柔らかな輪郭と影―奧村土牛の和み

対して、土牛は一輪挿しの花器に活けられた屋内の風景を描いています。花も葉も、線を強調せずに色のグラデーションにより形をつくり、輪郭が柔らかくおっとりとしたたおやかな風情が漂う作品です。泰山木の花は、茶席に使われることも多いと言います。土牛の花は、人の目に触れることを意識し、観る人を和ませる効果を宿しています。元来、土牛の作品には素朴で優しい印象があります。また、花や自然を愛した土牛らしさが凝縮していると言えます。


時を超えた花の展覧会へ

これらの作品は、山種美術館(東京・広尾)に所蔵されています。現在、企画展「花*Flower*華―琳派から現代へ―」が開催中です。江戸時代の琳派、鈴木其一や酒井抱一の花鳥風月から現代まで、さまざまな花々の絵が一堂に会しています。琳派に好まれた四季の花々を一つの作品に収める描き方は、私たち日本人の、季節を問わず花を求める心がそのまま表現されているようですね。美術館のカフェでは季節の和菓子を、ミュージアムショップでは企画展にちなんだステーショナリーをお土産に…と、花尽くしの楽しみが館内に溢れています。暦の上では夏だけれど、どっちつかずのこの季節だからこそ、花を愛でにでかけてみませんか?



参考

・山種美術館公式サイト

・奧村土牛作品集 山種美術館

・山種コレクション花の絵画名品集 Flower

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 琳派から現代まで…時代を超えて描かれ続けた「花」の魅力