オーディション番組「創造営2021」に参加していたロシア・ウラジオストク出身のウラジスラフ・イワノフさん(27)は、これまで再三にわたり番組でオーディションから降りたいので自分に投票しないようファンに呼び掛けていた。
標準中国語が流ちょうなイワノフさんはもともと、中国語の教師として番組に参加していた。しかし、容姿端麗なイワノフさんに目を付けたディレクターに、練習生として参加するよう誘われたという。
イワノフさんは、この決断をすぐに後悔するようになったようだ。しかし、途中で棄権すると契約違反で多額の罰金を払わなければならないため、番組を降板することはできなかった。
Lelushの芸名で参加していたイワノフさんのやる気のなさは、熱心な他の参加者に比べて際立つ、投げやりな歌やラップ、ダンスに表れていた。
イワノフさんは自らのファンに向かって、バンドを結成することになっている11人には選ばれたくないと訴え続けた。ある回には「僕を好きにならないで、無駄だよ」と語った。
しかし、不機嫌キャラが人気となり、イワノフさんは約3か月にわたってオーディションを続ける羽目になった。
2月半ばに始まった創造営2021のオーディションで参加者は、海南省にある島の寮に閉じ込められた。携帯電話は、ほとんどの期間、没収された。
イワノフさんの典型的なスターとは異なるキャラが、中国人視聴者を引き付けたようだ。ファンらはイワノフさんのことを皮肉交じりに「最も哀れな賃金奴隷」と名付け、中国のミレニアル世代に人気の、日々の生活に自虐的な敗北主義的態度を示す「喪文化」の代表とまで呼んだ。
イワノフさんは24日の決勝で、必要な投票数を得ることができずようやく敗退することができた。25日には中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に、「ようやく離れることができた」と投稿した。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/04/28-13:41)
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