2021年7月20日

学校法人同志社 同志社大学

同志社大学発ベンチャー「アクチュアライズ」が培養角膜内皮細胞移植製品;AE-101をライセンス
~角膜移植にかわる再生医療の実用化へ大きな一歩~

同志社大学発のバイオベンチャー・アクチュアライズ株式会社では、自社開発の再生医療等製品「AE101」について、中国を拠点とするバイオベンチャー「Arctic Vision」と総額3500万USドル以上にのぼるライセンス契約を結びました。

この技術は、角膜内皮細胞が障害されて重症の視力障害を生じる水疱性角膜症に対して、生体外で培養して増やした高品質な角膜内皮細胞を注射で眼内に移植する再生医療です。今回のライセンス契約は日本をはじめ全世界での角膜内皮再生医療の実用化に向けて大きな一歩となります。

【概要】
アクチュアライズ株式会社(本社:〒610-0332 京都府京田辺市興戸地蔵谷1番地 D-egg 314/代表取締役:杉岡 郁)は、2021年5月、臨床開発段階の眼科領域の技術開発・製品化を行うArctic Vision社(本社:上海)と、培養角膜内皮細胞移植製品AE-101のライセンス契約を締結しました。

【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202107127528-O1-EI59Ldl8
アクチュアライズ株式会社ロゴ

角膜移植は世界で年間約20万人の患者さんに対して行われている最も数の多い移植医療です。一方で、世界的に臓器を提供してくれるドナーが不足しているため、移植を必要とする患者さんのうち70人に1人だけが手術を受けることができる状態です。今回ライセンス契約を行った中国においても、ドナーが非常に不足しているうえに角膜疾患の罹患率が高いため、多くの患者が新しい治療を必要としています。今後アクチュアライズ株式会社は、中国市場はArctic Vision社と共同で培養角膜内皮細胞移植製品の早期の製品化を目指します。

同志社大学生命医科学部では、眼科医かつ研究者である小泉範子教授、奥村直毅教授を中心に、角膜移植手術にかわる新しい治療法の研究を進めた結果、従来は培養することが難しいとされてきた角膜内皮細胞の培養法と、注射による細胞移植の技術を発見しました。さらに2013年から行われた臨床研究によって、培養角膜内皮細胞移植により濁った角膜を透明に治療することが可能で、劇的に視力を回復できることが確認されています。

角膜内皮再生医療の概要図
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➊培養角膜内皮細胞+ROCK阻害剤

【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202107127528-O3-F7zMNqbQ
➋うつむき姿勢 

【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202107127528-O4-176A1RFV
➌ROCK阻害剤の細胞接着促進効果による角膜内皮の再生

 本治療法は、ドナー不足や手術手技の煩雑さ、移植した角膜の生着不全など、従来の角膜移植の問題点を解決できる新しい技術であり、将来的に多くの患者を救う医療として普及することが期待されています。

これらの研究に基づき、同志社大学では2018年5月、大学発バイオベンチャー「アクチュアライズ株式会社」を設立。角膜内皮再生医療等製品や、角膜内皮障害に対する低分子化合物の点眼薬の開発が行われています。

今回のライセンス契約は、同社の開発候補薬のひとつである培養角膜内皮細胞移植製品AE-101について、Arctic Vision社へ特許権の実施許諾とともに技術提供を行うものです。Arctic Vision社からの資金提供額は、研究開発費・薬事的な承認状況等に応じたマイルストン・実用化後販売実績に応じて支払われるロイヤリティを合わせ、総額3500万USドル(約38億円)以上に上ります。

世界の大学ではベンチャー企業の設立により大学発の研究成果を事業化・実用化して社会に還元する試みが盛んに行われています。今回のライセンス契約は、同志社大学発のベンチャー企業としては初の大規模な契約であり、日本の大学で行われた再生医療の研究成果の産業化モデルとして世界的に評価された例と言えるものです。

同志社大学では、今後も産学連携による研究開発を通じて社会貢献に取り組んでいきます。

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 同志社大学発ベンチャー「アクチュアライズ」が培養角膜内皮細胞移植製品;AE-101をライセンス