この度バイオアクセル株式会社(本社所在地:京都府京都市、代表取締役:平林 茂)は、AKT-DC療法のEUにおける臨床応用実用化のための前臨床試験に対して、当社が有する免疫細胞の培養・活性化技術を供与することになりました。 本共同研究は、オランダのエラスムス大学医療センター・ロッテルダム(EMC Rotterdam)のProf. Dr. Joachim Aerts(ヨアヒム・アーツ教授)が主導し、ベルギーのブリュッセルに本拠を置くACF(the Anticancer Fund:アンチ・キャンサー・ファンド)の資金協力をいただき実現いたしました。 ACFは利益を追求せず、真にがんの患者さんのために貢献できる技術や研究に対して資金を供給しているファンドです。ACFの責任者の一人であるDr, An Van Nuffel(アン・ニューヘル博士)に、論文に示されている高い治療効果を認めていただき今回の運びとなりました。
AKT-DC(Activated Killer T-cell &Dendritic Cell)療法は、肺がんの患者さんの手術時に採取した腫瘍所属リンパ節を利用し、免疫細胞の一種であるTリンパ球を主に培養、活性化し、患者さんへ点滴で戻すことにより手術後の再発や進行を抑制することを目的とする治療法です。 がんの所属リンパ節には、がん細胞を特異的に認識したTリンパ球や樹状細胞が数多く存在していると考えられています。腫瘍による免疫抑制により、活性化できずに眠っている状態であるとも考えられています。 所属リンパ節のうち、 がんによる抑制効果が比較的少ないと考えられるリンパ節内の樹状細胞やTリンパ球を抑制のない体外で強力に活性化し、腫瘍の特徴を特異的に認識して攻撃できるCTL(Cytotoxic T Lymphocyte:細胞障害性T細胞)を高率で誘導していき、再発の芽を摘んでいくという考え方の治療法です。また、この形で誘導できるリンパ球はCTLのみならず、メモリーT細胞という長期間体内に滞在し、再発を監視してくれるTリンパ球の誘導も可能であると考えられています。
Randomized controlled phase III trial of adjuvant chemo‑immunotherapy with activated cytotoxic T cells and dendritic cells from regional lymph nodes of patients with lung cancer (Cancer Immunology, Immunotherapy ISSN 0340-7004 DOI 10.1007/s00262-018-2180-6)