10日の香港市場は、主要58銘柄で構成されるハンセン指数が前日比3.75ポイント(0.01%)安の28738.88ポイントと7日続落する半面、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が11.53ポイント(0.11%)高の10716.28ポイントと反発した。売買代金は1340億3700万香港ドルとなっている(9日は1163億7700万香港ドル)。


米指標発表が気がかり材料として意識される流れ。米国では10日(日本時間午後9時30分)、今年5月の米消費者物価指数(CPI)が公表される。4月のCPIは市場が大幅な伸びを記録していただけに、5月CPIも上振れした場合、米連邦準備制度理事会(FRB)がテーパリング(量的緩和の縮小)を早めるとの観測が再燃する見込みだ。米中対立激化の過度な警戒感が後退し、指数は小高く推移していたものの、引けにかけてマイナスに転じている。中国商務部は10日、王文濤・商務部長と米国のレモンド商務長官が朝方電話会談し、貿易と投資関係を推進することで一致したと発表した。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、火鍋チェーン最大手の海底撈国際HD(ハイディラオ・インターナショナル・ホールディング:6862/HK)が2.8%安、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)が1.8%安、域内大手行の中銀香港(2388/HK)が1.6%安と下げが目立った。舜宇光学に関しては、販売鈍化が嫌気されている。今年5月のスマートフォン用レンズ出荷数は前年同月比2.0%増にとどまり、伸び率は前月の11.3%から急低下した。


セクター別では、香港・本土の金融が安い。上記した中銀香港のほか、HSBC(5/HK)が1.6%、スタンダード・チャータード(2888/HK)が1.5%、恒生銀行(ハンセン銀行:11/HK)が1.1%、中国郵政貯蓄銀行(1658/HK)が1.5%、中国銀行(3988/HK)が1.1%、中国太平洋保険集団(2601/HK)が2.2%、中国人民財産保険(PICC:2328/HK)が1.4%ずつ下落した。


非鉄セクターもさえない。新疆新キン鉱業(3833/HK)が3.6%安、江西銅業(358/HK)が2.4%安、江西カン鋒リ業(ガンフェン・リチウム:1772/HK)が1.9%安、中国アルミ(チャルコ:2600/HK)が0.7%安で引けた。


半面、海運・港湾セクターは高い。中遠海運HD(1919/HK)が11.6%、太平洋航運集団(2343/HK)が9.3%、中遠海運能源運輸(1138/HK)が5.1%、東方海外(316/HK)が4.0%、中遠海運港口(1199/HK)が4.4%、招商局港口HD(144/HK)が1.4%ずつ上昇した。上海航運交易所が週ごとにまとめた中国(輸出)コンテナ貨物指数(CCFI)は、今春以降上げ足を速め、直近では算出開始以来の高水準を毎週更新している。


太陽光や風力などエコ発電関連も急伸。福莱特玻璃集団(フラット・グラス・グループ:6865/HK)が11.3%高、信義光能HD(シンイ・ソーラー・ホールディングス:968/HK)が4.6%高、陽光能源HD(757/HK)が2.6%高、龍源電力集団(916/HK)が10.0%高で取引を終えた。

一方、本土市場は続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.54%高の3610.86ポイントで取引を終了した。ITハイテク株が高い。医薬品株、消費関連株、海運株、素材株、軍事関連株なども買われた。半面、金融株は安い。不動産株、エネルギー株、公益株も売られた。

亜州リサーチ(株)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 10日の香港市場概況:ハンセン0.01%安で7日続落、金融株の下げが重し