14日の香港市場は、主要55銘柄で構成されるハンセン指数が前日比308.90ポイント(1.11%)高の28027.57ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が64.96ポイント(0.63%)高の10404.95ポイントとそろって反発した。売買代金は1508億7100万香港ドルとなっている(13日は1635億7900万香港ドル)。


米株高を好感した買いが先行する流れ。昨夜の米株市場では、労働指標の改善と長期金利の上昇一服で主要指標がそろって反発した。中国人民銀行(中央銀行)の資金供給もプラス。人民銀は朝方、リバースレポ取引を通じ100億人民元を市中に供給した。今週は満期到来分との差引で300億人民元の供給超となっている。中国指標の発表を控え、寄り付き後に弱含む場面もみられたが、指数は中盤から上げ幅を広げている。中国では週明け17日、今年4月の各種経済統計(小売売上高や鉱工業生産など)が発表される予定だ。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、医薬品メーカーの石薬集団(1093/HK)が10.4%高、
生命保険業務のAIAグループ(1299/HK)が6.3%高、小型電子部品メーカー大手の瑞声科技HD(AACテクノロジーズ・ホールディングス:2018/HK)が4.3%高と上げが目立った。AIAは14日、2021年第1四半期(1〜3月)の新契約価値が前年同期比25%増の10億5200万米ドル(約1150億円)に拡大したと発表。新型コロナウイルス流行前の水準を回復したと報告している。また、瑞声科技の1〜3月期決算は利益が10倍に膨らんだ。


セクター別では、中国の金融が高い。招商銀行(3968/HK)が4.3%、中国建設銀行(939/HK)が1.8%、中国太平洋保険集団(2601/HK)が3.9%、新華人寿保険(1336/HK)が3.1%、国聯証券(1456/HK)が6.8%、中信建投証券(CSCフィナンシャル:6066/HK)が6.6%ずつ上昇した。


医薬品セクターもしっかり。上記した石薬集団のほか、四環医薬HD集団(460/HK)が6.2%高、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス:6185/HK)が5.7%高、中国生物製薬(1177/HK)が3.5%高、康哲薬業HD(867/HK)が3.1%高、上海復星医薬集団(2196/HK)が2.9%高で取引を終えた。商務部など関係7部門は13日、中医薬を輸出奨励する18項目の措置を通知。セクター全体の追い風となった。


半面、非鉄・鉄鋼セクターは安い。江西銅業(358/HK)が4.5%、新疆新キン鉱業(3833/HK)が3.6%、中国アルミ(チャルコ:2600/HK)が2.9%、重慶鋼鉄(1053/HK)が7.8%、中国東方集団HD(581/HK)が3.8%、鞍鋼(347/HK)が2.7%ずつ下落した。この日の上海期貨交易所(上海商品先物取引所)では、アルミや銅、鉄筋など主要商品の先物価格が軒並み下げている。


他の個別株動向では、電子商取引(Eコマース)中国最大手の阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)が4.0%安。四半期決算の赤字計上が売り材料視されている。アリババが昨日引け後に報告した1〜3月期決算は、売上高が前年同月比で64%増加したものの、「独占禁止法」違反の巨額罰金が響き、純損益は赤字に転落。四半期ベースでの赤字は上場以来で初めてとなる(14年にNY上場、19年に香港上場)。ITやハイテクなどで構成されるハンセン科技指数は0.5%安と続落。昨年11月以来の安値水準に落ち込んでいる。


一方、本土市場は反発。主要指標の上海総合指数は、前日比1.77%高の3490.38ポイントで取引を終了した。金融株が相場をけん引する。医薬品株、自動車株、食品飲料株、ハイテク株、不動産株、運輸株、インフラ関連株、公益株なども買われた。半面、エネルギー株は安い。非鉄・鉄鋼株、海運株も売られた。

亜州リサーチ(株)

<FA>
情報提供元: FISCO
記事名:「 14日の香港市場概況:ハンセン1.1%高で反発、決算赤字アリババは4.0%安