*16:24JST FCE Research Memo(4):ポテンシャルが大きい「Smart Boarding」 ■FCE Holdings<9564>の事業内容

2. 教育研修事業
教育研修事業は、学校や学習塾を対象とする教育事業と、企業のHRを対象とする研修事業に分けることができる。教育事業では、ビジネス書「7つの習慣」を日本の子どもたち向けにアレンジした「7つの習慣J(R)」という授業プログラムの提供や、累計160万部の発行を誇る中高生向けのビジネス手帳「フォーサイト手帳」の販売、インターナショナルスクールの運営などを行っている(学習塾運営事業は2022年1月に売却)。研修事業では、eラーニングで転職者の「即戦力化」などを促進する社員教育オンライントレーニングシステム「Smart Boarding」や研修・教育コンサルティング、組織にPDCAサイクルを定着させる会議型コンサルティング「xDrive」などを提供している。売上高は祖業とも言える教育事業が研修事業の2倍以上を稼いでいるが、現状は研修事業が急速にキャッチアップしているところである。

研修事業のコア商材が「Smart Boarding」である。eラーニングによる学びとオンラインレッスンによるトレーニングからなる、転職者を「即戦力化」することも可能な社員教育システムで、単なるeラーニングではなく、LMS(Learning Management System)やライブ型オンライントレーニング、自社のコンテンツの実装なども可能となっており、「Smart Boarding」だけで社員教育から管理までワンストップで行うことができる。このため、採用した人材の早期戦力化だけでなく、従業員のエンゲージメント向上による離職防止やリスキリングのニーズも取り込んで導入社数が順調に増加、2019年9月期末に99社だった導入社数が、2023年9月期末には607社に達した。現在は直販が中心だが、チェーン店やコーチングスクール、HR系コンサルなど人財育成や技能向上を事業とする企業を対象にしたOEMパートナーの拡大や、他社HRサービスとのシステム連携などによる販売ルートの拡張を進めているところである。

eラーニング市場は、参入企業が多く競争も厳しいが、生産性の向上や業務の効率化を進めたいという企業側のニーズがさらに強く、また集合研修より個別研修のほうが効率がよいという理解がコロナ禍後においても浸透を続けているため、2ケタ前後で伸びているようだ。なかでも同社の「Smart Boarding」は、スタンダードタイプで毎月約3万円という低価格のうえ、ライブ型のオンライントレーニングというアウトプットの機会も料金に含んでいることから大変好評である。足元はまだ分母が小さく人財への先行投資期からようやく抜け出しつつある局面だが、市場を大きく上回る数10%の伸びを示しているようだ。「Smart Boarding」はこのようにポテンシャルが大きいうえ、フロー型収益の多い教育研修事業の中でも好採算で解約が少ない傾向のあるストック型収益のため、今後、教育研修事業の成長と収益改善に貢献していくものと思われる。

教育事業で注力しているのが、これもストック型収益のフォーサイト手帳である。これは、中高生など子どもたちが日々の振り返りを通して、自分の人生を自ら切り拓いていく「自立力」の向上を支援するツールで、紙版を1冊700円で発行しており、中高生向けビジネス手帳の市場ではトップシェアを誇っている。現在、GIGAスクール構想の流れを受け、フォーサイト手帳をデジタル化した「フォーサイトアプリ」の展開を進めているところである。学校向けの無料トライアルをスタート、石川県能美市の教育委員会との共同推進も開始、今後は他の自治体との共同推進を進める方針である。また、ターゲットを広げて学習塾向けにも提供していく考えで、学習塾向けの業務管理プラットフォーム「Comiru」を提供するPOPERと提携し、「Comiru」に「フォーサイトアプリ」を実装した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 FCE Research Memo(4):ポテンシャルが大きい「Smart Boarding」