*12:21JST エレマテック Research Memo(1):「ポテンシャル分野の開拓・深耕」等を軸に新中期経営戦略を推進中 ■要約

エレマテック<2715>は、2009年に高千穂電気株式会社と大西電気株式会社が合併して誕生した電子材料を得意とするエレクトロニクス商社だが、その後2012年に豊田通商<8015>グループ入りした。近年は単なる部品・部材の販売だけでなく、モジュール製品やODM製品(Original Design Manufacturing:企画段階から参画し、他社ブランド製品を設計から製造まで行う)の拡販に注力している。

1. 2023年3月期は、需要回復に加え円安効果で大幅増収増益
2023年3月期の業績は、売上高239,774百万円(前期比19.5%増)、営業利益12,052百万円(同44.4%増)、経常利益11,130百万円(同41.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,696百万円(同43.2%増)となった。客先での生産回復、新規獲得案件の寄与に加えて円安効果もあり売上高及び各利益ともに過去最高を更新した。マーケット別では、3分野すべてで増収となった。Digital Electronicsではゲーム機及び液晶関連部材等の販売が堅調に推移し前期比19.8%の増収、Automotiveもコックピットモジュール等の自動車関連部材の販売が増加して、30.4%の増収となった。さらにBroad Marketもドライブレコーダーが牽引したアフターマーケット向けや白物家電向け、産業機器向けが堅調に推移したことから同15.6%の増収となった。地域別でも、すべての地域で増収となった。

2. 2024年3月期は、前期の反動から営業利益は前期比12.1%減予想
2024年3月期の業績は、売上高233,500百万円(前期比2.6%減)、営業利益10,600百万円(同12.1%減)、経常利益10,300百万円(同7.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7,250百万円(同5.8%減)と予想されている。マーケット別では、Automotiveは引き続き堅調に推移し同23.6%増が見込まれているが、Digital Electronicsは、液晶やモバイル端末向けが前期の反動で減少する見込みであることから、前期比10.4%減と予想されている。またBroad Marketも、ドライブレコーダーが客先の事情によって減少する見込みであることなどから、同4.2%減が見込まれている。対米ドル円レートの前提は、130.00円(前期実績135.50円)としており、これも減益要因となっている。

3. 新中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」を発表
同社は、新中期経営戦略「エレマテック・プロプラス(elematec Pro+)」を発表した。この新中期経営計画では、前中計の主要戦略である「高付加価値型ビジネスの拡大」「海外有力顧客の開拓」「自動車ビジネスの拡充」を継続しつつ、さらに進化させると同時に、これに加えて新たな重点施策として「ポテンシャルエリアの本格開拓」「開発部の機能強化」「M&A・アライアンスによる顧客基盤・事業領域の拡大」「サステナビリティと人的資本への取り組み」を掲げている。重点市場としては「オートモティブ」「アフターマーケット」「医療機器」を挙げている。

また以前からの「配当性向40%以上」に替わり、2024年3月期から配当の基本方針を「配当性向(連結)50%もしくはDOE(純資産配当率)3%の両基準で算出した数値のいずれか高い金額を目安とする」に変更した。これは、手元資金が豊富になったこと、Automotiveなど安定収益源が増えてきたことに加え、大幅減益や万が一赤字決算になっても配当を行えるようDOE基準を設けたことによる。これに基づき2024年3月期の配当は89円(中間期40円、期末49円)が予定されている。

■Key Points
・「ポテンシャルエリアの本格開拓」「開発部の機能強化」「M&A・アライアンスによる顧客基盤・事業の拡大」「サステナビリティと人的資本への取り組み」を柱に新中期経営戦略を推進中
・2023年3月期は前期比44.4%増の営業増益だが、2024年3月期は反動で同12.1%減予想。ただし年間配当は89円(配当性向50.3%)へ増配を予定
・新中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」を発表。経常利益の年平均成長率10%以上を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 エレマテック Research Memo(1):「ポテンシャル分野の開拓・深耕」等を軸に新中期経営戦略を推進中