■業績動向

(2) 日本金融事業
2022年12月期第2四半期の営業収益は5,211百万円(前年同期比12.3%増)、営業利益は2,045百万円(同15.9%減)となった。営業収益は、債務保証残高の減少に伴い保証料収益が減少したほか、買取債権について実効金利法に基づく簿価修正益の減少により利息収益が減少した一方で、エイチ・エス証券及びNexus Cardが連結対象となったことにより増収となった。また、営業利益は、買取債権について将来回収予測の見直しに伴い貸倒引当金(損失評価引当金)を計上したことや、営業費用や販管費が増加したことにより減益となったものの、計画を上回って順調に推移している。営業利益率は39.2%と引き続き高水準であることから、Jトラスト<8508>グループの業績を下支えする主力事業であることに変わりはない。

2022年6月末の債務保証残高合計は2,064億円と、足元では増加傾向に転じている。特に、アパートローン保証のうち2020年11月から開始した中古アパートローンの保証残高が120億円と順調に拡大し、計画の92億円を上回るペースで増加しており、保証残高全体を押し上げている。マーケットは活況で、競合する中古アパートローンの保証会社が少ないことが好調の理由のようだ。また、2022年7月には東和銀行<8558>と保証提携を開始し、提携先金融機関は11機関に増加した。

不動産関連保証業務における同社グループの強みは、市場ニーズに合わせたオーダーメイド型商品の開発力と、独自の不動産ローン審査力である。同社グループが不動産の評価・審査と信用保証を担い、銀行が融資を行っているが、地域金融機関と提携することで賃貸住宅ローン(アパートローン)保証を中心に保証残高は右肩上がりで増加を続けてきた。しかし、大手銀行の不正融資問題をきっかけに、アパートローン保証は以前のような勢いを失った状況が続いている。ただし、保証残高の8割を占めるアパートローンの期間は20年~30年超と長期のため、その間は保証料収入が安定的に入ってくる。

また、同社が保証する物件は、東名阪の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は95%以上を維持している。保証料が高いその他の保証(個人事業主への融資保証等)は近年競争が激化していることから取り扱いを抑え、保証料が低いものの貸倒リスクが小さいアパートローンへの有担保保証を増やし、ボリュームでカバーすることにより利益を確保してきた。

同社では、保証残高の大幅な拡大を目指して、様々な取り組みに着手している。アパートローン保証だけでなく、中古アパートローン、不動産担保ローン、クラウドファンディング(融資型/不動産投資型)の保証、不動産買取保証など、保証商品の多角化を推進してきたが、徐々にその成果が現れていると言えよう。特に、傘下の日本ファンディングが注力している富裕層向け投資用高級一棟マンションの販売事業は、保証残高の積み上げにつながると期待される。

サービサー(債権回収)事業における日本保証の保有分と合算したサービサー事業全体の請求債権残高は約9,058億円(2022年6月末)とおおむね横ばいとなり、依然として高水準を維持している。このうち、パルティールが取り扱う債権については、戦略的に債権の売却を実施したことから減少したものの、回収が好調ななかで買取も順調に進んだ。

債権回収における同社グループの強みは、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力にある。回収力の強さは、金融機関やカード会社などから債権を買い取る際の入札競争においても優位となり、その結果、事業拡大という好循環につながる。今後もこの強みを生かした事業拡大を進めていく方針だ。また、こうした国内事業での債権回収力の強さは、海外事業でも生かされていると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 Jトラスト Research Memo(4):2022年12月第2四半期は大幅な増収増益、主力の金融3事業が好調(2)