■今後の見通し

1. 2022年2月期の業績見通し
リソー教育<4714>の2022年2月期の連結業績は、売上高で前期比15.1%増の29,000百万円、営業利益で同148.4%増の2,510百万円、経常利益で同109.7%増の2,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同206.2%増の1,700百万円と2期ぶりの増収増益に転じる見通し。感染防止策のインフラ整備が完了し、2021年2月期に凍結していた新校舎の開設を積極展開していく計画となっており、生徒数拡大による業績のV字回復を目指す。

アルバイト講師の時給アップや新校舎開設に伴う人員増による人件費増加が見込まれるものの、2021年春に「TOMAS」「伸芽会」で感染防止策費用を考慮した価格改定を実施(平均5%程度の値上げ)しており、価格改定効果による利益改善が見込まれるほか、前期に計上した海外子会社の事業閉鎖関連費用3億円がなくなることや外注することにより固定費(人件費・地代家賃等)約1億円が圧縮されることも増益要因となる。また親会社株主に帰属する当期純利益については、前期に損失計上した子会社が黒字転換することによる実効税率の低下等もあって、増益率が経常利益の増益率よりも大きくなっている。直近では新型コロナウイルス感染症の第4波が到来しており事業への影響が懸念される状況ではあるものの、前期のような休校要請はなく校舎での授業も通常通り行われていることから、コロナ禍による社会活動への影響が一段と深刻なものとならない限りは、マイナス影響も限定的なものにとどまると弊社では見ている。

事業セグメント別の業績見通しについて、主力の学習塾事業は前期比10%超の増収となり、利益面では価格改定効果もあって急回復を見込んでいる。2021年4月末の生徒数は前年同期比11.3%増と順調な滑り出しとなっており、今後校舎の新設及び移転拡大リニューアルなども行いながら生徒数をさらに増やしていく方針となっている。校舎展開としては、2021年4月までの2ヶ月間で「TOMAS」1校(上尾校)、「インターTOMAS」1校(田町校)、「メディックTOMAS」2校(吉祥寺校、大宮校)の合計4校を新規開校したほか、「TOMAS」(田町校)を移転拡大リニューアル、「TOMAS」(大宮校)を拡大リニューアルしている。また5~7月で「TOMAS」を3校新設(大船校、月島校、流山おおたかの森校)、2校を拡大リニューアル(錦糸町校、海浜幕張校)する予定となっている。2022年2月期は2年分の出校を行う予定で、優良な物件が見つかればさらに数校を新設する可能性もある。

家庭教師派遣教育事業については利益の2ケタ増益を見込んでいる。2021年4月末の生徒数は前年同期比18.8%増に転じるなど、順調な滑り出しを見せている。「名門会」については2021年5月に既存校(天神駅前校)の移転拡大リニューアルを予定しているが、すでに全国主要都市に校舎を開設していることから新規校舎の開設予定はない。一方、個別指導塾となる「TOMEIKAI」については積極的な校舎展開を進めていく予定となっている。2021年3月に鹿児島サテライト校、4月に新潟校を開校したほか、6月には福岡県に天神校を開校する予定となっている。2022年2月期通期で1ケタ台後半の新規開校を目指しており、地方の主要都市を中心に条件に適う物件の探索を進めていく。「TOMEIKAI」の校舎数は前期末の9校から今後は年間数校ペースで増えていく可能性がある。

幼児教育事業は利益は価格改定効果もあって大幅増益となる見通し。2021年4月末の生徒数は前年同期比23.0%増と好調な滑り出しとなっている。校舎展開については、2021年4月に「伸芽’Sクラブ託児」(荻窪校)、「伸芽’Sクラブ学童」(吉祥寺校)、5月に「伸芽会」(吉祥寺教室)を開校したほか、9月に「伸芽’Sクラブ学童」を1校(大宮校)開校する予定となっている。これにより、「伸芽会」は24教室、「伸芽’Sクラブ託児」は7校、「伸芽’Sクラブ学童」は17校の体制となる。なお、「伸芽’Sクラブ学童」(荻窪校)については、2021年4月に業務提携を発表したコナミスポーツが運営していた託児所を譲り受けたものとなっている。なおコナミスポーツとは、業務提携によりコナミスポーツが運営する施設内で「伸芽’Sクラブ学童」が提供する学習プログラムを受けられる「コナミスポーツ伸芽’Sアカデミー」を、2021年以降のおよそ3年間で約20校開校する予定となっている。「伸芽’Sクラブ」についてはニーズがあるものの、開設に適した場所が見つかりにくく新規出校が進んでいなかったが、今回の業務提携により事業規模の拡大が進むものと期待される。開設拠点としては東京都、神奈川県等の主要ターミナル駅などから進めていくものと見られる。

学校内個別指導事業については利益は黒字転換を見込む。2022年2月期は学校の休校要請がなく「スクールTOMAS」のサービスも第1四半期から通常通り行われていること、また既存契約校における受講生徒数の増加や新規契約校獲得による増収が見込まれる。利益面では、増収効果に加えてオンライン英会話事業を外注化したことに伴う固定費削減効果も増益要因となる。2021年3月末時点の契約校数は前期末比3校増加の73校となっているが、現在大手SIerと協議中である業務提携が決まれば、さらなる拡大も期待される。

人格情操合宿教育事業については、コロナ禍が続いていることもありツアー企画など十分に行えておらず、売上高は回復を見込んでいるものの、10億円強と2020年2月期の水準(1,669百万円)までは戻らないと見ている。ただ同事業に関しては利益を重視しているわけではないため、業績全体に与える影響も軽微となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 リソー教育 Research Memo(6):新規出校再開による生徒数増加で、2022年2月期はV字回復を見込む