■中長期の成長戦略

2. 調剤薬局事業の成長戦略:次世代薬局への取り組み状況
かかりつけ薬局については「かかりつけ薬局としての届出」のようなものは存在しない。すなわち、かかりつけ薬局の定義やクリアしなければならない要件は明確ではない。しかし、かかりつけ薬剤師が持つべき機能とかかりつけ薬局が持つべき機能が重なっていることから、かかりつけ薬剤師が在籍していることがかかりつけ薬局であるための前提であるということができるだろう。

かかりつけ薬剤師についてはかかりつけ薬剤師になるための要件が厳密に定められており、その上で、かかりつけ薬剤師が患者から同意書(かかりつけ薬剤師として○○薬剤師を指名しますという同意書)を得てはじめて「かかりつけ薬剤師指導料」(70点)や「かかりつけ薬剤師包括管理料」(270点)を獲得して調剤薬局事業の収益に結びつけることができる。すなわち、かかりつけ薬局化の進捗状況は、かかりつけ薬剤師指導料算定の施設基準を届出している店舗の割合と患者からの同意書の獲得状況及びかかりつけ指導料算定件数が重要な指標となる。

日本調剤<3341>は2017年3月期において、全店舗の約90%で、かかりつけ薬剤師指導料算定の施設基準を届け出ており(かかりつけ薬剤師の配置が要件とされている)、上場・非上場を含めた主要な薬局の中でトップクラスに位置している。また、2017年3月期の患者の同意件数は約25万件に、かかりつけ指導料算定件数は約85万件に、それぞれ達している。

健康サポート薬局については、今後3年間で150店舗に健康チェックステーションを設置して健康サポート機能を持たせ、健康サポート薬局化を図る方針だ。同社は店舗を大きく門前型、面対応型、MC(メディカルセンター、医療モールのこと)型の3タイプで管理しているが、このうち面対応薬局とMC型薬局を主として健康チェックステーションの受け皿として積極的に展開する計画だ。

門前型の多くは地域の中核病院の他、大学病院等の大型病院を主な処方せん応需先としており、国が薬局に求めるもう1つの機能である「高度薬学管理機能」を担う構想だ。同社は全国の163の大学病院のうち、約40%に当たる69病院の前に薬局を出店している。今後これら店舗においては、日本医療薬学会認定のがん専門薬剤師資格取得など、薬剤師のさらなるレベル向上に取り組んでゆく方針を立てている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


<MW>

情報提供元: FISCO
記事名:「 日本調剤 Research Memo(9):かかりつけ薬剤師指導料算定の基準を届出している店舗割合は約90%