東京金融取引所(金融取)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」では、9月の取引数量は前月比43.6%減の167万8016枚、1日の平均取引数量は7万9907枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は4711億円と前月比で約24億円減少した。取引通貨量では、米ドル、トルコリラ、南アフリカランド、英ポンド、メキシコペソの順となっている。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」では、9月の取引数量は前月比46.0%減の64万6437枚、1日の平均取引数量は3万784枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は719億円と前月比で約7億円増加した。

取引数量トップはドル・円の35万6116枚(前月比52.4%減)であった。月初めは米中の報復関税発動で米中貿易戦争の先行き不透明感が色濃くなった事や8月ISM製造業景況指数が予想を下回った事で9月開催FOMCでの大幅利下げ観測が広まり、ドル売り・円買いが活発となった。5日に米中通商交渉再開の報道がなされ、11日には米中双方が関税について譲歩姿勢を示したことなどから、過度な懸念が後退しドルは買い戻された。注目されていた17-18日開催のFOMCでは大方の市場予想通り25bpの利下げとなり大きなサプライズはなかった。英ポンド・米ドルの取引数量は4万7559枚(前月比61.6%増)であった。ECBが金融緩和に意欲的な姿勢を見せた事で12日に追加金融緩和策の導入が決定されるまでユーロが買われる場面が見られたが、その後一部の国が反対を表明している事が伝わりさらなる追加緩和観測については後退しユーロを買い戻す動きが広まった。

10月のドル・円は、もみ合いか。10月1日に米供給管理協会(ISM)が発表した9月ISM製造業景況指数は47.8と、市場の改善予想に反し8月49.1に続いて節目となる50を割り込んだ。景気後退から脱出した2009年6月来で最低を記録している。9月FOMCの内容から追加緩和観測は後退したものの、弱い経済指標の発表が続きFOMC追加緩和の可能性が強まればドル売り優勢の展開も考えられるが、経済指標発表の内容にふらされる形となるだろう。また米国がEUからの輸入品に対して最大25%の関税を発動する計画が報じられている。さらに経済指標発表についても弱含みな内容が続けば、ECBの政策に影響をもたらす可能性もあるだろう。さらなる景気悪化を防ぐための追加金融緩和が行われるとなれば、ドルに対してユーロが売られる展開もありうる。



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情報提供元: FISCO
記事名:「 10月のくりっく365、ドル・円は、もみ合いか