28日の欧米外為市場では、ドル・円は上値の重い展開を予想したい。ドイツの政局流動化への警戒でユーロが買いづらいなか、今晩発表の米1-3月期国内総生産(GDP)確定値を手がかりにドル選好地合いが続く見通し。ただ、米国の対中貿易政策の不透明感から、ドル買いは小幅にとどまろう。

ドイツのメルケル首相は今年3月に第4次内閣を発足させたが、政権内では難民・移民政策をめぐりキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)との対立が深刻化。足元では連立崩壊の思惑が浮上しており、解散・総選挙をにらんだ政局流動化を警戒したユーロ売りに振れやすい地合いとなっている。ユーロ・ドルは1.15ドル前半まで弱含んでおり、支持線とみられる1.15ドルが視野に入った。一方で、ユーロ売りはある程度ドルの押し上げ要因となっている。本日のアジア市場では、日経平均株価や上海総合指数などの動向を手がかりにドル・円は一時的に110円を割り込んだが、その後は110円前半に値を戻した。

こうしたなか、今晩は21時半の米国の1-3月期国内総生産(GDP)確定値が材料視される。前期比年率+2.2%の市場予想を大きく下回らなければ連邦準備制度理事会(FRB)の年内利上げペース加速観測を後押しする材料となり、ドル買いが進むだろう。しかし、米中通商摩擦の不透明感が続き、積極的なドル買いは手控えられそうだ。トランプ米大統領は26日、自国ハイテク企業への中国の投資制限について、既存制度の見直しにとどまるとし、強硬姿勢を和らげたが、その後クドロー国家経済会議(NEC)委員長は「トランプ大統領は中国に対し姿勢を緩めていない」と述べるなど、トランプ政権の姿勢は見極めづらい。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:00 欧州中央銀行(ECB)経済報告
・18:00 ユーロ圏・6月景況感指数(予想:112.0、5月:112.5)
・18:30 南ア・5月生産者物価指数(前年比予想:+4.4%、4月:+4.4%)
・21:00 独・6月消費者物価指数速報値(前年比予想:+2.1%、5月:+2.2%)
・21:30 米・1-3月期GDP確定値(前期比年率予想:+2.2%、改定値:+2.2%)
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:22.0万件、前回:21.8万件)
・23:45 ブラード米セントルイス連銀総裁講演(米経済と金融政策)
・01:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁が会合出席
・02:00 米財務省7年債入札(300億ドル)
・EU首脳会議(29日まで)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は上値の重い展開か、米中貿易問題の不透明感続く