「IMFは引き続き資産価格を割高と評価」(※1)では、IMF(国際通貨基金)が発行したGlobal Financial Stability Reportでデフォルト率の上昇が警戒されていることを紹介した。同レポートは他にも新興国の債券購入政策について分析を行っている。

IMFによると、感染拡大を受けて、少なくとも18の新興国の中央銀行が債券買入政策を実施したという。新興国の債券買入政策は大まかに3つのケースに分類される。1つ目は、政策金利が既にゼロ近辺であるため、国債買入によって長期金利の低下を意図するものであり、ポーランド、ハンガリー、チリが実施した。2つ目は、政策金利はプラス圏にあるが、コロナによる混乱で一時的に上昇した金利を調整するという目的から債券が購入されたケースであり、インド、南アフリカ、フィリピンが実施した。3つ目は、財政赤字のファイナンス目的と明確に謳った上で、中央銀行が国債を引き受けるケースであり、ガーナ、グアテマラ、インドネシア、フィリピンが実施した。

債券買入政策の効果については、債券価格とセンチメント改善には効果があった一方、為替への影響は限られたと評価されている。比較的前向きな評価が下されているが、「債券買入政策の問題は中央銀行の信用維持と出口戦略にある」として、期限を定めない債券買入政策には警戒感を残している。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

※1:https://web.fisco.jp/platform/selected-news/fisco_scenario/0009330020201023007



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情報提供元: FISCO
記事名:「 コロナショックで債券買入政策に踏み出した新興国【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】