経済協力開発機構(OECD)が21日発表した2019年の世界経済成長率見通しによると、成長率は3月時点と比べて0.1ポイント低下し、前年比+3.2%となった。OECDは今回、米国による対中関税引き上げの影響について試算している。試算によると、最悪のケースで世界の経済成長率は0.6ポイント下押しされるもようだ。日本の成長率見通については、輸出・生産の減少を背景に下方修正している。

昨年11月に2019年の世界経済の成長率見通しを公表した時点では、3.5%だったが、5月時点で0.3ポイント下方修正されている。OECDは先行きのリスクとして、貿易制限のさらなる拡大による投資・雇用・消費への弊害、中国経済の急減速の世界中の経済活動への影響、民間部門の債務を挙げている。

なお、米中貿易摩擦の影響について、直近(5月)発動された米国による中国からの輸入2000億ドル相当に対する25%の関税導入と中国による600億ドル相当の米国製品に対する関税により、OECDは2021年から2022年にかけて中国の成長率を0.2ポイント程度、米国の成長率を0.2ポイント、世界の成長率を0.1ポイント押し下げると試算している。市場関係者の間では、「OECDが2019年の成長率見通しを下方修正したのは予想通りで欧州各国の株式市場の反応を見る限り、悲観的な予測ではなく市場に与える影響は大きくない」との見方が出ている。



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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:OECDが世界経済の成長率見通し引き下げ