こんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。今回は、石油の取引について掘り下げてまいりましょう!


■特徴

「原油」を精製すると、ガソリン、灯油、軽油などの「石油」になります。原油は、前回のコラムで紹介しましたように、世界の商品市場の中で最も市場規模の大きな商品です。原油の価格変動は私たちの「衣食住」にも大きな影響を与えます。

まず「衣」については、原油から作られる化学繊維を原料とする服がたくさんありますよね。「食」については、私たちの食べる穀物などを育てる過程で、トラクターなどの機械に軽油などが使われていますので最終的に価格に転嫁されます。

「住」については、電気・ガスなどを生み出すために原油が使われています。私たちの生活に密接に関わっているので、逆に私たちの需要の増減が価格変動をもたらすこともあります。では、その価格変動の要因について詳しくみてまいりましょう。


■価格変動の要因

・OPECの動向
OPEC(石油輸出国機構)は、原油の主な産出国である中東の国々を中心に組織されています。

具体的には、サウジアラビア、イラン、クウェートなどです。OPECでは加盟国の利益を守るために、原油の供給量を調節するなどしています。

例えば原油の供給超過で価格が下がり過ぎてしまうと、産油国の利益も減ってしまいますよね。こういったことを避けるためです。

輸出取引量を見ると、なんと世界の約6割を占めています。OPECが減産を決定すると、原油価格が上がるなどの影響を与えますので、注目されています。

・機関投資家の資金動向
石油のマーケットは商品市場の中では規模が大きいとはいえ、株式市場などに比べると小さいです。よって、機関投資家などの大きな資金が流出入した際には、価格の急激な変動が起きる場合もあります。

・OECD(経済協力開発機構)
OECD(経済協力開発機構)は、欧州諸国、米国、日本などの先進国によって組織されています。OECDの原油消費量は世界の約半分を占め、中でも米国の需要が多くを占めます。ですので、米国を中心とした先進国の景気動向に注目が必要です。

・非OECD
こちらは主に新興国を指します。現時点で原油消費量は既にOECDを上回っており、消費量の伸び率も大きくなっています。新興国では人口の増加や工業化が比較的著しいです。人の「衣食住」や工業化には原油が必要なため、原油需要は比例しやすいです。


■最近の動向

最近の原油の需要は非OECD国がけん引する形となっています。人口の増加に加え、所得増加による自動車購入者の増加などが要因となっています。

一方で、欧州や中国をはじめとして電気自動車(EV)へのシフトを強める動きが加速しています。これによるガソリン離れ(石油離れ)にも注目が集まっています。

また、環境規制が厳しくなりつつあることにも注目です。

供給の面では、近年これまで開発が困難とされてきたシェール層に含まれる非在来型の石油や天然ガスの採掘が可能となったことで、シェールオイルが生産されるようになりました。

原油の代替となるシェールオイルの生産の急拡大は、世界的なエネルギーの需給及び価格構造に大きな変化をもたらしています。

さらに、北朝鮮問題などの地政学リスクへの警戒感も価格に影響を与えています。


原油は私たちの生活に密接に関わるものであるため、私たちの需要が価格に影響を与えることもありますし、OECDなどの国際的な機関の取り決めが影響を与えることもあることがわかりましたね。

これからもご一緒に先物取引の基本を学んでまいりましょう!次回は、金の取引について掘り下げて考えていきたいと思います!

“「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!”は、商品先物取引の基礎をフィスコの見解でコメントしています。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ





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情報提供元: FISCO
記事名:「 「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!(4)石油の取引(高井ひろえ)