マッチングアプリで知り合った女性に対し、性的暴行を加えた疑いで逮捕された中国四国管区警察学校(広島市)の警視正が、女性と会ったことは認めたうえで「売春を取り締まる捜査の一環だった」と供述していることが捜査関係者への取材で判明した。警視正は現場での事件捜査に関わっておらず、広島県警は容疑を否認するための口実とみている。

 不同意性交等と強要の疑いで逮捕された警視正は、同学校指導部長の岩本幸一容疑者(58)。広島市内のホテルで9月30日夜、アプリで知り合った初対面の20代女性に「実は警察官だ。売春を担当する部署にいる。これは犯罪になる」と脅して性的暴行を加え、「始末書」と題した書面を書かせるなどした疑いが持たれている。

 捜査関係者によると、岩本容疑者は逮捕後の取り調べで「女性と会った」と供述したうえで、「売春行為を取り締まる捜査の一環だった」と説明していることが判明。一方で「性交や強要はしていない」と容疑を否認しているという。岩本容疑者は警察学校で警察官の寮生活などを指導しており、売春などの事件捜査は担当していない。

 県警の捜査で、岩本容疑者が女性に書かせた始末書は「売春などはしない」と約束させる内容だったことも判明。事件当時には階級章付きの制服を着用し、数日後に女性の携帯電話番号も聞き出しており、県警は警察官である立場を悪用していたとみて調べている。

 岩本容疑者は岡山県警出身で、県警本部の生活安全企画課長などを歴任した。警視正は警視総監、警視監、警視長に次ぐ階級。【中村清雅】

情報提供元: 毎日新聞
記事名:「 性的暴行容疑の警視正「売春捜査の一環」 普段は捜査に関わらず