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同センターによると、木簡は長さ219ミリ、幅49ミリ、厚さ6ミリ。表に「九九八十一」「八々六十四」など9と8の段が、裏に7~5の段が墨で書かれていた。周辺で見つかった土器から奈良時代のものと判明した。
国内では、九九が書かれた古代から中世にかけての木簡が約80点見つかっている。これまでは長野県千曲市の屋代遺跡と新潟市の大沢谷内遺跡の15個が最多だった。
九九は中国から伝わったとされ、国内で九九が書かれた資料は奈良時代ごろのものからある。当時の九九は九の段から始まり、掛けられる数字が一つずつ減っていた。数字を入れ替えた九九は省略され、九九全体は45個で構成されていた。
古代の木簡に詳しい奈良大文学部の渡辺晃宏教授(日本古代史)は「計算技術が地方に普及していたことが分かる重要な発見だ」と話している。 (了)
【時事通信社】
〔写真説明〕7~5の段の九九が書かれた木簡の赤外線写真(右)(奈良文化財研究所提供)