- 週間ランキング
AFP通信は、中国との関係について「ヒマラヤよりも高く、大海より深く、蜂蜜より甘い」と形容するパキスタンの政治家の発言を紹介している。宿敵インドとの対立から、いかなる政権であっても、中国との「蜜月」維持は最優先の課題だ。
国際通貨基金(IMF)によると、パキスタンの対中債務は184億ドル(約2兆3000億円)。両国を結ぶ「中パ経済回廊(CPEC)」計画でも数百億ドル(数兆円)規模の交通、エネルギー、インフラ事業が予定されている。
故ベナジル・ブット元首相の息子であるビラワル・ブット外相は21、22の両日、就任後初めて中国を訪問し、王毅外相と会談した。対中債務の扱いなども協議したとみられる。
AFPによると、こうした中で、カーン前首相は26日、首都イスラマバードで大規模な反政府デモを行って動員力を誇示した。「6日以内に総選挙実施について表明することを要求する。議会を解散し6月に選挙をすべきだ」と演説し、政府に圧力をかけた。
これに対し、シャリフ首相は「選挙実施を決めるのはわれわれだ。われわれを脅そうとするなら間違いだ」と反論。対決姿勢を示している。
デモは首都にとどまらず、南部カラチや東部ラホールをはじめ各地で相次いだ。道路を封鎖するなどしたデモ隊に警察は催涙弾で応戦。カーン前首相の支持者1700人以上が拘束された。地元の人権団体は「法執行機関(警察)の横暴を深く懸念する」と批判した。
パキスタンでは強大な軍の意向が政治を左右すると言われる。2018年に「汚職」や「縁故主義」の打破を掲げてカーン氏が首相に就任した際は、裏で軍の支援を受けていたとみられた。
しかし、その後、カーン氏は軍との不和がささやかれるようになり、これが4月の下野につながったと報じられた。シャリフ首相は、軍に配慮しながら経済を立て直す手腕が問われている。 【時事通信社】
〔写真説明〕26日、イスラマバートで、デモ行進するパキスタンのカーン前首相支持者ら(AFP時事)
〔写真説明〕支持者に手を振るパキスタンのカーン前首相(中央)=25日、イスラマバード近郊(EPA時事)
〔写真説明〕パキスタンのビラワル・ブット外相=2月27日、南部カラチ(EPA時事)
〔写真説明〕パキスタンのシャリフ首相=4月13日、南部カラチ(EPA時事)