パン作りに欠かせないドライイーストは、別の材料で代用することができるのでしょうか?この記事では、ドライイーストの代用品として紹介されることの多い「重曹」「ベーキングパウダー」「天然酵母」「ヨーグルト」で実際にパンを作ってみました!ドライイースト使用時との違いやそれぞれの特徴をわかりやすく紹介しますので、代用を検討する際の参考にしてみてくださいね。

ドライイーストの役割とは?

パン作りに欠かせない酵母である「イースト」には、生地を膨らませ、パンならではの風味を作る役割があります。「生イースト」、「ドライイースト」、「インスタントドライイースト」の3種類があり、一般家庭でのパン作りに主に使われるのはドライイーストとインスタントドライイーストです。

ドライイーストはその名の通り、酵母を低温で長時間乾燥させて作られたものです。使用する際にはぬるま湯を加えて予備発酵させ、その過程で発生する炭酸ガスの作用によって、パンの生地は膨らみます。

パン作りの小麦粉には強力粉が使われることが多いのですが、強力粉はグルテンを多く含むため粘り気や弾力が強く、イーストから発生する炭酸ガスを生地の外へ逃しません。生地の中に炭酸ガスを保持することで、ふっくらもっちりとした食感のパンが出来上がるのです。

ドライイーストとベーキングパウダーの違い

ベーキングパウダーも生地を膨らませる役割を担っていますが、ドライイーストよりも膨らむ力は弱く、縦に膨らむ性質があるためふんわりとした食感に仕上がります。

ドライイーストは炭酸ガスによって生地を膨らませますが、ベーキングパウダーは水分と反応して膨張し、更に加熱によっても膨らみます。また、醗酵を促すための温度管理と時間を要するドライイーストとは異なり、ベーキングパウダーは混ぜた後すぐに焼くことができます。

ドライイーストと重曹の違い

重曹は加熱することで炭酸ガスを発生させます。生地はやや黄色味がかった色になり、多量に使うと苦味が出る場合があります。重曹は和菓子でも洋菓子でも使用されますが、横に膨らむ性質があるため比較的しっとりとした食感に焼きあがります。

ドライイーストと天然酵母の違い

天然酵母はレーズンやりんごなどの果物や、雑穀などを使って作る酵母菌です。材料さえあれば、自宅で手作りすることも可能です。ドライイーストよりもゆっくり醗酵が進むため、焼きあがるまでに時間がかかります。

ドライイーストの代用アイデア4つを徹底比較!

「ドライイーストが家に無い!でもパンが作りたい!」となったとき、他の物でも代用できるのでしょうか?代用品としてよく紹介されている「重曹」「ベーキングパウダー」「天然酵母」「ヨーグルト」の4つを使って実際にパンを作り、検証してみました。

それぞれの特徴を比較しやすいよう、以下の観点で点数をつけて評価しましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

膨らみ:★★★☆☆(高いほど膨らむ)
もっちり感:★★★☆☆(高いほどもっちり感が強い)
香り・味わい:★★★☆☆(高いほど香りがよく、おいしい)
時間を置いた後の変化:★★★☆☆(高いほど時間を置いても変化しない)
手軽さ:★★★☆☆(高いほど手軽にできる)
代用おすすめ度:★★★☆☆(総合的に判断し、点数が高いほど代用におすすめ)

ドライイースト

代用品との違いがわかるよう、まずは本家・ドライイーストでパンを焼いてみました。

膨らみ:★★★★★
もっちり感:★★★★★
香り・味わい:★★★★★
時間を置いた後の変化:★★★★☆
手軽さ:★★★☆☆

ドライイーストで作るパンは、やはりしっかりと膨らんでくれます。もっちりとした食感で香ばしく、焼き上がりはパン屋さんの前を通ったときと同じにおいがします。焼き色もきれいで味もばっちり。外の皮はやや硬く、指で押すと弾力があります。

2時間置くと焼きたてよりも少し硬くなりましたが、トースターでリベイクすると焼きたてのやわらかさになりました。

ただ、やはり少し手間はかかります。醗酵を促すために室温を調整し、寝かせる必要があるため、すぐに食べたくてもなかなかの時間を要します。今回も焼き上がりまでに大体2時間程度かかりました。

重曹

重曹はドライイーストの半量を使って作ります。醗酵時間が必要ないため、粉を混ぜたらすぐに焼けるのが重曹の強みですが……仕上がりはちょっとイマイチな結果に。

膨らみ:★★☆☆☆
もっちり感:★★★★☆
香り・味わい:★★☆☆☆
時間を置いた後の変化:★★★☆☆
手軽さ:★★★★★
代用おすすめ度:★★☆☆☆

あまり膨らまらず、手で持つとずっしり感があります。表面は硬めでしたが、中も弾力がありもっちり感はあります。仕上がりはやや黄色味がかっていました。

また、重曹特有の苦味もあり、おいしさはあまり感じません。もう少し重曹を少なくすれば苦味が出なかったのかもしれませんが、そうするとさらに膨らみは悪くなりそうです。

冷えると硬くなり、より苦味を感じやすくなるため、手軽ではありますがあまり代用品としてはおすすめできません。重曹の量を少なくし、平たくクレープのように焼いてラップサンドを作るならありだと思います。

ベーキングパウダー

ドライイーストと同量を使用して作ってみました。ドライイーストよりも膨らみは弱くもっちり感は少なかったものの、サックリとした食感で風味良く仕上がりました。

膨らみ:★★★☆☆
もっちり感:★★★☆☆
香り・味わい:★★★☆☆
時間を置いた後の変化:★★☆☆☆
手軽さ:★★★★☆
代用おすすめ度:★★★★☆

冷めると硬くなりぼそぼそ感が出ましたが、霧吹きを数回してリベイクすると元に戻りました。なにより発酵なしですぐに焼けるのはポイントが高いです。

総合的に判断すると、ベーキングパウダーで代用するのはアリ!です。テーブルパンなど素材の味を楽しむパンよりは、惣菜パンや菓子パンを作るときに使うのがおすすめです。

天然酵母(レーズンまたはりんご)

今回はレーズンで天然酵母を作ってみました。ノンワックスのレーズンが手に入らず、ワックスをお湯で洗って作ってみましたが、どうやら失敗してしまい……。1週間程かかったにもかかわらず、炭酸ガスの発生が弱く膨らみが弱い仕上がりに。ただ、想定外のおいしさで味は今回作った中で1番の味でした!

膨らみ:★★☆☆☆
もっちり感:★★★★★
香り・味わい:★★★★★
時間を置いた後の変化:★★★☆☆
手軽さ:★☆☆☆☆
代用おすすめ度:★★★★☆

醗酵力がドライイーストよりも弱いため、1晩程度ゆっくりと時間をかけて醗酵させる必要がありますが、今回は元となる天然酵母が上手く作れず、長く醗酵させても高さが出ませんでした。

もっちり感はしっかりとあり、中身も詰まっていてどっしり感もあります。さらに香りも良く甘みもあり、とてもおいしかったです。噛めば噛むほど甘みが増し、筆者の娘も絶賛するほどでした。

もともと硬めの仕上がりだったため、冷めても硬さは少し強くなった程度です。トースターで焼くとある程度硬さは改善しました。

ドライイーストの代用として考えると、手軽さは一切なく面倒ではあります。ただ、天然酵母が育っていく過程そのものを楽しみ、時間がかかってもおいしいパンが作りたい方にとっては、むしろ魅力的といえそうです。

使用する酵母の種類によっても味わいに違いが生まれるので、パン作りを純粋に楽しむ上で天然酵母を使うのはおすすめです。

ヨーグルト

醗酵食品であるヨーグルトなら、もしかしてパンを膨らませてくれるのでは?という淡い期待から作ってみましたが、結果はぺちゃんこの粉の塊に……。酸味がややある生地は、パンとはあまり言えない代物になりました。

膨らみ:★☆☆☆☆
もっちり感:★★★☆☆
香り・味わい:★☆☆☆☆
時間を置いた後の変化:★★★★☆
手軽さ:★★★★☆
代用おすすめ度:★☆☆☆☆

写真の通り残念ながら全く膨らまず、むしろ焼く前よりもぺちゃんこの状態に……。焼き時間も他のものと同じですが、焼き色はつかずに白いままです。また、もっちりというよりむっちりとした食感で、ヨーグルトの酸味もありました。パンを膨らませる効果はまったく感じられなかったので、入れないほうがよかったのかも……。

時間をおいても食感や味わいに変化はなく、混ぜて焼くだけなので手軽ではあるのですが、ヨーグルトで代用するのはおすすめできません。ヨーグルトを使うことで生地にむっちり感は出ますので、おやき等に少量加えるのはありかもしれません。

代用に1番おすすめなのは……?

今回比較をしてみて、ドライイーストの代用として使うなら、ベーキングパウダーが一番手軽で良いと思いました。パンと比べるともっちり感は劣りますが、ある程度の膨らみと味わいが出せるため、ソーセージとケチャップをサンドした総菜パンなどにすればおいしく食べられますよ♪

とはいえ、イーストや天然酵母に勝るものはなし!

代用不可能とは言いませんが、パンならではのもっちり感や風味を出すには、やはりドライイーストや天然酵母を使うのが良さそうです。天然酵母は作るのが大変ですがとってもおいしいので、気になった方はトライしてみてはいかがでしょうか?

情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 【徹底比較!】ドライイーストの代用アイデア4選!パンを1番おいしく焼けるのはどれ?