auじぶん銀行は、「auじぶん銀行臼井社長×西村元日銀副総裁 特別対談『金融の未来とauじぶん銀行が担う役割とは~日本経済の “これまで” と “これから” を金融視点で切る~』」を11月25日(木)に実施しました。

本イベントでは、急速に進む技術革新の中で変革期を迎える金融業界について、auじぶん銀行社長 臼井氏と今年4月からauじぶん銀行のエグゼクティブアドバイザーに就任した西村氏が対談。

日本経済を長きにわたり研究してきた西村氏は、バブル経済後の景気低迷とデフレは、日本経済にとって大きな足かせとなり、まさにこの困難な時期に、日本経済の構造転換が必要だったと説明。

バブル崩壊が、IT化などに代表される産業技術の革新と重なったと語る西村氏は、日本経済と企業の成長について具体的に二つの道があったと列挙しました。

一つ目は“新市場を創出して新しい付加価値を作り出す”という道。これは、新しい技術を、分野を超えて組み合わせ、革新的な商品・サービスを実験的に世に出し、消費者の反応を先読みしながら矢継ぎ早に変更していくもので、消費者の需要も拡大していき物価は上昇傾向になると説明した。

そして二つ目は“生産の絶え間ない効率化・費用削減”という道。これは、生産を効率化し低価格で商品を提供するということ。

「本来日本は新市場創出と生産性効率化、この二正面で戦えたものの、金融危機以来、リスクを回避する傾向が強くなり、インターネットを通じたオープン化と連携の強化に企業や政府が乗り遅れ、結局生産効率化の道を選ぶことになった訳です」と振り返り、「“効率的に生産する”ことが重要なのはもちろんなのですが、今は“新たな価値”を創造する仕組みが求められていると思っています」と考えを述べた。

西村氏の話を受けたMCが、日本経済が効率化への道を進んできた流れは金融業界にどのように影響しているのかと臼井氏に質問すると、「日本でのインターネット銀行の登場は2000年からでした。店舗の運営費や人件費をかけずにインターネットを通じて低コストで金融サービスを提供できるので、その分ATMや振込手数料は低くしたり、ローンは低金利で提供したりすることで従来型の銀行に対抗していました。“革新的な商品やサービスの提供”という道を目指しつつも、金融法制下における新商品・サービス開発は大変だということを言い訳に“効率化”の道の中で誕生したということなのでしょう」と、効率化に突き進む中での、IT革命のひとつの端緒としてインターネット銀行が誕生したことを語りました。

この変化に合わせ、auじぶん銀行は2008年にモバイルバンクを設立。

臼井氏は、「実店舗を持たないという点では効率化と言えるかもしれませんが、それよりも、生活に浸透し始めたスマートフォンに特化してすべてのサービスを展開するという新たな市場を開拓し、顧客体験価値を提供することを目指しています。『手のひらの上の銀行』というコンセプトのもと、例えば、ネットだけで完結する住宅ローンなど新しい金融の形を見出せたと思います。現在は各社ともFintechやAI技術を取り入れた新たなサービスにも力を入れていますので、急速に発展してきています」と時代の流れに即して進化を続けてきたことを強調した。

その他にも、auじぶん銀行が提供する金融教育の取り組みやSDGsの重要性についてなど、熱いトークが続く。

イベント終盤、話は日本経済、そして金融の“これから”について話題が。

西村氏は、20年後の日本の銀行について今のような形の銀行がなくなっていると話し、「地方銀行も再編され、今我々が慣れ親しんでいる銀行店舗、そして銀行そのものも次々に減ってきています」と銀行の変化を予測。

さらに、「暗号資産のような全く新しい資産が作られ、今まで存在した資産もインターネット上で形を変えようとしています。さまざまなプレーヤーが、インターネット上、クラウド上で、オープンに連携しています。金融と融合した多種多様なサービスを、即座に仮想的な市場で実験を繰り返しながら、形を変え矢継ぎ早に開発し、実際の市場に繰り出しています。この中で、モバイルバンクの先駆者であるauじぶん銀行がどの様に変身していくか、に注目が集まっていると言っても過言ではないと思います」と自身の見解を述べた。

この見解に対して臼井氏は、「無くなると言うより、生まれ変わるんだと思います。無くなるという意味では、メガバンク・地方銀行・信金・ネット銀行というような『構造』は無くなると思います。インターネット銀行といえば、低コストで、金利や手数料などで従来型のメガバンクや地方銀行に対抗していくということが以前までの構図ですが、今は低価格だけでは立ち行かない局面にきている。金融業界は競争の中で淘汰され、今までの銀行の姿のまま成長していくことは難しいでしょう」と構造の変化を語り、「我々の競争者は、今後、革新的な技術力で進化していくプラットフォーマーやリテーラーとなり、我々も意識していかなければならない状況です」と西村氏の発言に納得した様子を見せた。

加えて臼井氏は、KDDIや三菱UFJ銀行との連携強化や、グループ内でも存在感を出していきたいと意欲も。

「10年後、20年後、我々がグループを牽引するような企業へと成長していくためには、お客さまの目線に立ち、今までの発想にとらわれない商品・サービスを展開していきたいですね」とauじぶん銀行としてのスタンスを明らかにした。

最後に臼井氏は、事業者側ではなく客側がサービスを選ぶ時代になったと話し、「銀行のみのサービスに閉じるのではなく、新たな金融体験を提供できるよう、グループ一体となってサービス提供を行っていきたい」と語った。

そして、「我々はさらにお客さま一人ひとりの声を聞かなくてはいけない。“じぶんにとって便利で利用しやすい”と感じていただける銀行に磨きあげ、ユーザーファーストを徹底して追求して、私どものブランドスローガンである『銀行を連れて、生きていこう。』を体現し、お客さまに選ばれる銀行であり続けたいです」と対談を締めくくりました。

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