6月6日にイタリア・ローマで行われたストリート世界選手権で、男子は堀米雄斗が優勝、白井空良が3位の快挙。女子は西村碧莉が優勝、西矢椛が2位と最高の結果を残した。

ストリート世界選手権は東、45秒間自由にコース内を滑走する“ラン”を2本と、一発技で得点を競うベストトリックを5本行い、そのうち上位4本の合計得点で争われる。今大会は、東京五輪予選大会の最終戦となり上位3人の選手には、自動的に東京五輪への出場権が与えられる。

今大会の結果で女子ストリートは19歳の西村碧莉、15歳の中山楓奈、13歳の西矢椛が五輪出場確定。男子ストリートは22歳の堀米雄斗、19歳の白井空良、17歳の青木勇貴斗の3人が五輪出場を確定させた。

【新世代の攻防!女子決勝】

 
 
 
 
 
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新世代のスケーター代表とも言える、13歳のライッサ・レアウはベストトリック3本目でミスをし、膝を地面に強打。痛さなのか悔しさからなのか、泣いてしまう場面もあったが、最後にはフロントサイドフィーブルグラインドを決め3位に。

3位の西矢椛は、どんなに難しいトリックも力の抜けたスタイルで簡単そうに決め、解説者も「ビューティフルスケートボーディング」の一言。まだ13歳ながら、完成されつつある圧巻のスタイルに驚きを隠せないでいた。

19歳の西村碧莉は、準決勝でも高得点をマークした、ハーフキャブノーズスライドを決勝の大一番でも決め、4.30点を獲得。ベストトリック4本目には、バンクからギャップ越えのフロントサイドオーバーK(クルックド)グラインドを決めて4.04点を獲得。この時点で4位につけ、ラストトリックで全てが決まるという展開に。最後のトリックは、バンクからのフロントサイドリップスライドをチョイスし、これを見事に決めて逆転1位に。

彼女のすごい所は、技術の高さはさることながら、精神面での強さがずば抜けていて、どんな状況でも“ここで決めれば勝てる”という場面では、必ず決めてくれる勝負強さがある。今大会でも、その勝負強さをいかんなく発揮し、見事世界女王の座に輝いた。

【いつだってドラマチックな2人!男子決勝】

2020年1月キメラAサイドでの写真 Photo by Katsumi Kojima

ラン2本を終えて、ライバルのナイジャ・ヒューストンがトップで折り返す中、堀米はランでミスが続き、8位の最下位という厳しい展開で、ベストトリックに進む。

しかし、ベストトリックでは堀米の真骨頂とも言えるノーリートリックで会場を魅了する。

1本目にノーリーバックサイド270ボードスライドを決め、8.98点。

2本目に、ノーリー270スイッチバックサイドテールスライドを決め、9.20点。

3本目に、ノーリーバックサイド180ノーズグラインドリバートを決め、9.10点

4本目に、ノーリーバックサイド270ノーズスライドを決め、この日最高得点となる9.47点を獲得。

神がかった集中力とメイク率で、4本連続で高得点を出し、一気にトップに躍り出る。

一方のナイジャは、珍しくベストトリックを3本ミスしてしまったが、それでも2位に輝くという、強さを見せた。

3位の白井は、これまでの五輪予選大会では誰もやっていない技、バックサイド180フェイキーフロントサイド5-0グラインド(スイッチフロントサイドノーズグラインド)を決めて9.39点を獲得し、見るものの度肝を抜いた。

この技は、一昨年に世界を驚かせ、通称ソラグラインドとも呼ばれた、フロントサイド180フェイキーバックサイド5-0グラインド(スイッチバックサイドノーズグラインド)のバックサイドバージョン。

五輪予選大会の最終戦で、さらなる進化を見せた。

【スポーツ競技としてのスケートボード】

 
 
 
 
 
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ジェイク・イラーディが最後のベストトリックで、バンクからギャップ越えのキックフリップ フロントサイドブラントスライドにトライし、ミスしたのだが、諦めきれずに再度挑戦し(もちろん採点には関係ない)失敗。さらに、再度トライする姿勢を見せた時に、MCが観客を煽り、観客もそれに応えて大盛り上がりを見せた。

これは、世界選手権という競技としての舞台でも、こういったスケートボードコンテスト本来の“楽しむ”部分が残っていることを再確認できて、嬉しく思える場面でもあった。

その反面、採点方法など難しい問題もある。

セミファイナルで堀米が最後に見せたノーリーヒールフリップバックサイドノーズスライド ビッグスピンアウトの得点が低い事に対する観客からのブーイング(ナイジャも一緒にブーイング)。

ファイナルでは、白井のラン1本目において、ラストトリックであるバックサイドシュガーケーングラインドでトラック(軸の部分)がレールから外れ、完璧なメイクとは言えず、8.03点だったが、2本目では1本目と全く同じルーティンで、最後のシュガーケーンを完璧に決めたにも関わらず8.0点という採点に、これまた観客からはブーイングが(1本目はフルメイクとみなされていて、2本目は全く同じ構成という事で、減点されたのか?)。

他にもいろいろ「ん?」と思う場面もあったが、50年以上前にカルチャーとして生まれ、発展してきた歴史を持つスケートボードが、突然“スポーツ競技”となった事により、その採点方法にも戸惑いが生まれるのは、ある種の必然なのかもしれない。

しかし、競技としてのスケートボードが発展することによって間口が広がり、日本人スケーターが海外でも注目を集め、活躍できる舞台が増えたのは確かだ。

堀米雄斗、白井空良を始め、五輪に出場する日本人選手は、オリジナリティ溢れるトリックに加え、大きなセクションにも適応性を持つ、高いスキルを持っている。

彼らの独創的で、完成度の高い技の一つ一つに注目し、東京五輪では多くのメダルに期待したい。

ストリート世界選手権2021・女子結果

 
 
 
 
 
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1位 西村 碧莉–14.73

2位 西矢 椛–14.17

3位 ライッサ・レアウ(Rayssa Leal)–13.47

4位 パメラ・ロザ(Pamela Rosa)–13.44

5位 レティシア・ブフォーニ(Leticia Bufoni)–13.36

6位 中山 楓奈–11.94

7位 マライア・デュラン(Mariah Duran)–11.64

8位 ローズ・スヴェッツロット(Roos Zwetsloot)–0(棄権)

ストリート世界選手権2021・男子結果

1位 堀米 雄斗–36.75

2位 ナイジャ・ヒューストン(Nyjah Huston)–35.75

3位 白井 空良–34.58

4位 ジャガー・イートン(Jagger Eaton)–34.36

5位 ケルビン・ホーフラー(Kelvin Hoefler)–33.71

6位 マット・バージャー(Matt Berger)–32.15

7位 ジェイク・イラーディー(Jake Ilardi)–30.12

8位 ミッキー・パパ(Micky Papa)–24.29

男女決勝の映像はこちらから

【https://www.redbull.com/int-en/live/world-skate-championships-rome-finals-2021】

 

文 小嶋勝美 Twitter: @katsumikojima1

スケートボードを趣味としており、ライターとしてスケートボード関連の記事を執筆。

約10年間芸人として活動後、現在は放送作家としても活動中。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 堀米雄斗と西村碧莉が世界王者に!スケートボード・ストリート世界選手権