今年のノーベル文学賞に選ばれた日系イギリス人、カズオ・イシグロさんがストックホルムで記念講演を行い、日本での記憶が自身に与えた影響に触れながら、作家活動を振り返りました。
 「そのとき私は日本、そして私が生まれた第二次世界大戦末期の長崎について、新しく切迫した強い気持ちで書いていました」(カズオ・イシグロさん)

 長崎で生まれ、5歳の時に両親とともに渡英したイシグロさんは、終戦直後の長崎を描いた長編第一作「遠い山なみの光」について、「少しずつ薄れていく私の中の日本」を「書き留める作業だった」と説明。この経験が無ければ「作家にはならなかったかもしれない」と、日本への思いを強調しました。

 講演の終盤では「危険なまでに分断が進んだ時代」にあって、「なお、文学が重要だと信じる」「良い作品が書かれ、読まれることで壁は壊される」と訴えました。

 イシグロさんは10日、文学賞の授賞式に臨みます。(08日12:59)