アジアを舞台に行われ各国の首脳が集結した一連の国際会議で、各国の綱引きは14日が最終日となります。会議の主要議題は北朝鮮問題で占められていたようですが、各国の足並みはそろったのでしょうか?
 ASEANの10か国には全て北朝鮮と国交があります。そのため、国連安保理の制裁に従うとは言っても、伝統的な友好関係もあって、抜け穴が出来やすいのが現状です。ただ、そんなASEAN側にも、金正男(キム・ジョンナム)氏の暗殺事件をきっかけに温度差が生まれつつあります。事件があったマレーシアや実行犯となった女たちの出身国インドネシアとベトナムなどは、国民感情の悪化もあって北朝鮮と距離を置くようになりました。今回、安倍総理は、各国の首脳との会談で、北朝鮮の方から対話をしたいと言ってくるまで圧力を最大限に強化すべきだと訴え、同意を得たということです。ただ、依然として「対話による解決」が最優先だとしている中国の協力がない事には、アメリカや日本が考える「北朝鮮包囲網」は完成しません。

Q.その中国とASEAN諸国といえば、南シナ海の領有権問題がかなり根深いと思います。今回の会議では議論されたのでしょうか?

 結局、ほとんど争点にはなりませんでした。今回、話題の中心が北朝鮮になったことは、中国にとっては南シナ海に関する批判を避けられるという点では好都合だったと言えます。南シナ海での主張が仲裁裁判所に退けられてから1年あまり、中国はあらゆる手を使ってASEANの国々を懐柔し、アメリカや日本に対しては「関係のない国は口を出すな」と牽制してきました。今回の会議で、ASEANの国々は、初めて参加するトランプ大統領が自分たちにとって何か魅力的な提案をしてくるのか注目していたに違いありません。しかし、トランプ大統領は中国とASEANの関係にくさびを打つような提案を示すわけでもなく、あげくの果ては、開始時間が遅れたことを理由に東アジアサミットに参加せず、写真だけ撮って帰ってしまいました。南シナ海に関しては、もはや中国から流れを引き戻すのは難しい状況になったと言わざるを得ません。(14日17:54)