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日本の”クジラ食”信仰は「中高年者のノスタルジー」なのか?国際的に対立してまで捕鯨に固執する不思議【生田よしかつ】



実は水産ってトコもご多分に漏れず、いろんな問題を抱えてる。水産資源の枯渇というのは、もうすでに何回か書かせてもらったが、もう一つの大きな問題がこいつ、クジラだ。


IWCは機能不全と非難 脱退可能性に再び言及 商業捕鯨否決で谷合正明農水副大臣https://t.co/3ueVMNAH67 pic.twitter.com/8cuLqPnGg2

— 産経ニュース (@Sankei_news) 2018年9月15日


この記事の見出しにもあるように「IWC(国際捕鯨委員会)は機能不全」ということは、以前からたびたび耳にしてきた。それも今始まったことじゃなく、10年以上前からのことだ。


ここでIWCのことについて書くには歴史が長すぎるし、各国の思惑が入り乱れていて、とてもじゃないが書ききれないし、外交問題でもあるからオレみてぇな魚屋風情が書ききれる話ではない。


ただ現在は、日本のような捕鯨維持を訴える国、反捕鯨国、そして今の反捕鯨のやり方は手ぬるいと、世界的著名人等から集めた潤沢な資金をバックにした過激な環境保護団体といった反反捕鯨の立場をとるものと役者が揃い、ぐちゃぐちゃになっていると聞く。


この件にもしご興味のある方がいたら『クジラコンプレックス捕鯨裁判の勝者はだれか 石井 敦 (著), 真田 康弘 (著)』がなかなかエグく書かれているので、ぜひご一読願いたい。


国内の話に戻す。記憶は定かではないが、ネットだったか、本か雑誌で見かけたことがある若い人の意見が強く印象に残っている。


「僕はクジラを食べたことがない。だからもちろんおいしいかどうかも知らない。でも別に今までクジラを食べたことがなくて困ったことは一度もない。そんなおいしいかまずいかも知らず、食べなくても困ることがないクジラで、国際的にギクシャクするなら、止めてしまえばいいと思う」


なかなか鋭い指摘だと思う。たぶん今の世でクジラを食べたことがある若い人って、少ないんじゃないかな?どちらかというと、おいしいから食べたいというより、中年以上の人たちのノスタルジーを刺激して売られているというのが本当のところだと思う。


またクジラを食べないのは、お値段が高いということもある。昔のように値段が安ければ、若い人たちの口にも入り、味にはクセがあるけど、オレみたいな変わり者がいて、そのクセがたまらねぇってヤツも出てくると思う。


しかし実際クジラがなかなか売られていないことが、最も大きな原因だと思う。


ここで面白い話がある。我々の業界の噂では、現在クジラの在庫は山のようにあるとのことだ。そしてなぜかそれを買わせてほしいと申し出ても、ハイそーですかと簡単に事は進まない。昔から決まったところからしか、流通していないみたいなンだ。


とにかくクジラに関しては疑問ばかりだ。そもそも今ほとんど需要と言えるほどの需要がないクジラを、なぜ国際会議で他国と激しい対立をしてまでも“わざわざ南極海まで”捕りに行かなきゃならないのか? 日本国内各地でもホェールウォッチングが出来るほど、クジラは沢山いるのに、だ。


IWCで議論されているのは、南極海における日本の調査捕鯨の継続が中心だ。南極海捕鯨というのは先の大戦後、食糧(特にたんぱく質)不足にあえぐ日本がGHQに願い出て、はじまったことだと聞く。そしてそれは当然歴史的役割をとっくに終えているのだと思う。


それを戦後70年も過ぎた今、なぜ維持しようとしているのか? オレには皆目わからない。


 

生田よしかつ <東京都中央卸売市場築地市場 仲卸業者「鈴与」三代目>

東京都中央卸売市場築地市場 仲卸業者「鈴与」三代目。著書に『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』(角川学芸出版)『たまらねぇ場所築地魚河岸』(学研新書)など多数。レギュラー番組に『報道特注』(文化人放送局)、『築地一揆+』(チーム・デジタル民主主義)。



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