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日本アニメ界が屈した中国市場の闇…人気ラノベのアニメ化・出版中止の裏に「中国人の声優殺人予告」の存在【孫向文】



こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。


今年の6月、小説とコミックの累計発行部数100万部を突破した『二度目の人生を異世界で』というライトノベルのアニメ化が中止されるという事件が起こりました。


「二度目の人生を異世界で」アニメ放送・製作中止へ 製作委員会が発表「心よりお詫び申し上げます」https://t.co/QOzg8qen5A#二度目の人生を異世界で pic.twitter.com/WmdQy3nzkb

— アニメ!アニメ! (@AnimeAnime_jp) 2018年6月7日


この作品のアニメ化が発表されたのは5月22日で、当初は10月から開始の予定でしたが、制作や放送の中止が発表される前に、声優陣が一斉に降板するという奇妙な動きがあったのです。



一体、何があったのでしょうか。


アニメ化の中止、さらに同著作の既刊書籍の出荷停止という措置の背景には、作者である作家・まいん氏が、2013年にTwitterで中国人や韓国人への不適切な表現の投稿をしていた、という指摘がありました。しかし、実は、理由はそれだけではありませんでした。声優陣が降板する舞台裏では、とある中国人がSNSで主人公の声優を予定していた増田俊樹さんへ殺害予告を投稿していたのです。



内容は「在日中国人の殺し屋を募集しています。増田俊樹氏の事務所の住所を調査した結果、港区の南青山にあります。彼の主な交通手段も調べています。声優を降板しないと待ち伏せして刺殺しに行く。東京在住の同胞たちへ、この殺害計画を一緒に遂行するために、連絡をください」というもの。他の声優陣や所属事務所も、同様の脅迫を受けるかもしれないという恐怖心を抱けば、降板せざるを得なかったのではないでしょうか。


この投稿は氷山の一角に過ぎません。殺人予告ではなくても、中国のSNSでは以下のような抗議の呼びかけは多く投稿されているのです。



(翻訳)
在日中国人に呼びかけ「二度目の人生を異世界で」を担当する声優の事務所だけに抗議するだけでは、効果が無い。効果がありそうな他の手段も取ろう
1)駐日中国大使館へ抗議のメール
2)日本のBPO放送倫理・番組向上機構へ抗議のメール
3)ホビージャパンへの抗議のメール


これこそ、中国お得意の「人海戦術」と呼ばれるスパムメールの攻撃で徹底的に潰そうとする、極めて陰湿な言論弾圧です。中国共産党の統治下ではこのようなファシズムがあふれていることは、これまでも言及しているのでご存知かと思いますが、今後の習近平政権の在り方次第で、さらに強化されることも懸念されます。







■日本アニメ界は中国市場に屈するしかないのか?


しかし、私にとって残念だったのは、日中のマスメディアはこの脅迫を報じてはおらず、出版社・ホビージャパンがその問題にフタをしてしまったことです。


「二度目の人生を異世界で」出荷停止、出版社は「脅迫などは把握していない」とネットの噂否定 https://t.co/oTOY0yosuE

— キャリコネニュース (@kigyo_insider) 2018年6月7日


この作品が仮にアニメ化でも大ヒットをしていたら、作家のまいん氏や声優陣の職業実績になったかと思います。また、日本経済を活性化させる一部の佳作であると思います。それにも拘わらず、出版社・ホビージャパンは、謝罪をしているまいん氏の作品を出版停止にしました。これは、出版社としてのメンツを選んだと捉えられてもやむを得ないでしょう。


またアニメ化が中止になった背景には、今作を含む「なろう産アニメ」(「小説家になろう」発で発表されたラノベのアニメ化)がビリビリ動画(ニコニコ動画を模した中国サイト)で大人気になっていることもあるでしょう。『Re:ゼロから始める異世界生活』などは同サイトの公式配信で2億再生を記録しているそうです。製作委員会形式で予定されたアニメ化の参画団体が中国とのトラブルに尻込みしてしまったのも、致し方ないといえます。


しかし、私自身も漫画家で出版契約をしていますが、「作者がSNS上で不適切な表現をしたため、作品の出版停止する」という項目などありません。この出版停止は作者にとってあまりにも理不尽ではないでしょうか。私自身、漫画家として、今回の中国人らの行動に大変憤りを感じており、作家、ならびに声優の方々の心情を思うと、非常にやるせない気持ちになります。表現の自由を封じる行為に屈することなく、胸を張って、再び出版やアニメ化の動きがあれば、と願っております。


漫画やアニメ業界がブレイクするのは容易ではありません。時には20年、いやそれ以上の汗と努力の結晶の証として、名を馳せる事もあるのです。このような惨事が再び起こらないように、中国からの圧力に屈服しない心構えをもった、逞しい日本人であって欲しいと思っています。


 

孫向文 <漫画家 / 評論家>

1983年生まれ、漫画家、評論家。中華人民共和国浙江省杭州市出身。『本当にあった愉快な話』(竹書房)にて「日本に潜む!!中国の危ない話」、 隔月刊『ジャパニズム』(青林堂)にて「大和撫子が行く」を連載中。近著『日本人に帰化したい!!』(青林堂)が好評発売中。そのほか『週刊文春』にて実録中国猛毒食品「僕らだって怖い!」を掲載し、TBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター』にて「中国超監視社会」に出演。

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