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自殺大国・韓国の有名スポット「ソウル自殺橋」政府の防止キャンペーンが生んだ意外な結末とは?【村田らむ】



日本は自殺率の高い国として知られている。WHOが2014年にまとめたレポートによれば日本は第6位という高さだ。


しかし韓国はもっと高い。なんと世界第2位だ。日本は10万人中19.5人が自殺、韓国は10万人中28.5人が自殺、とかなり差が開いている。日本の自殺原因である、就職難、失業に加え、軍隊内でのいじめなども自殺の原因だという。


日本では、富士の青木ヶ原樹海、東尋坊、三段壁、などが有名な自殺スポットだが、韓国で有名な自殺スポットはマポ橋である。



ソウル市の真ん中には漢江という大きな川が流れている。そこを渡す大橋だ。もちろん漢江を渡す橋は他にもあり、20本以上の橋がかけられている。マポ橋は金融街から近くにかかっている。株などに失敗した人が、そのまま飛び降りることもあるそうだ。


2010年には23件、2011年には15件、2012年には15件と自殺が続き(自殺未遂も含む)、国は対策を講じた。『命の橋』プロジェクトである。


僕は2014年の冬に韓国に行った。冬の韓国は寒い。ガチガチと震えながら、マポ橋に行ってみた。


かなり大きい橋で、向こう側が見えない。



おそるおそる下を見るとかなり高い。川の表面には氷が張っていて白くなっている。こんな冷たそうな川に飛び込むの嫌だな〜と思う。


橋の名前が書かれたモニュメントには、手書きのメッセージが所狭しと書かれていた。


歩道をテクテクと歩いていく。この距離は確かに監視はできない。橋の欄干には文字が書かれていた。これが『命の橋』プロジェクトのメインである。



「ご飯食べた?」


「辛かったんだな」


「ゴリラの血液型は全部B型なんだって」


「カラオケに行きたいね」


などとハングルで書かれている。夜になるとライトアップするそうだ。


「自殺をやめよう!!」などと直接的なことを書かず、心が落ち着くようなコメントにしているだろう。



歩いていると写真のコーナーがあった。子供の写真や、家族の写真が並んでいる。たしかに家族を思い出して自殺を思いとどまる人はいるかもしれないけど、家族が原因で自殺する人や、家族がいなくて寂しくて自殺する人には逆効果なんじゃないの? と思った。


しばらく歩いていると、赤い写真が並んでいるのが見えた。


「グロ画像を並べて自殺を思いとどまらせるつもりなのか??」


と思ったら、よく見たら食べ物の写真だった。トッポギ、ジャージャー麺、キムチ、などの写真が並んでいる。


……それって効果あるんだろうか?


『じゃりン子チエ』のおばあさんは、「人間に一番悪いのは腹がへるのと寒いゆうことですわ」「ひもじい 寒い もお死にたい 不幸はこの順番で来ますのや」と語っていたが、たしかにこんなに寒い橋の上で、お腹が減っていたら死にたくなるかもしれない。


でも食べ物の写真を見たら死にたくなくなるのだろうか? よく分からない。


他にも仲良くしている二人の像が置かれていたり(つくづく像が好きな国民性)、ホットライン(いのちの電話)がひかれていたりしたが、どれも効果はどんなもんなんだろう? というものが多かった。



日本に帰国後、ネットで検索をしてみると、効果の結果が出ていることが分かった。


完全に逆効果になっていたのだ。キャンペーンが注目を集めた結果、自殺志願者が急増した。2013年には93人、2014年には184人と、大幅に増えた。マポ橋以外の橋での自殺者も大幅に増える結果になった。


結果的に橋の欄干には、乗り越えづらい高い塀が作られることになった。……最初からそうしとけばよかったんでは?



 

村田らむ <ライター / 漫画家 / カメラマン / イラストレーター>

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教、富士の樹海などへの体験取材、潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ゴミ屋敷奮闘記』(有峰書店新社)など多数。

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