starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

アルツハイマー型認知症は死因なのか?朝丘雪路さんの死に思う「机上の介護行政」【生田よしかつ】



朝丘雪路さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。


朝丘雪路さん死去、82歳 アルツハイマー型認知症で先月27日 “おしどり夫婦”夫の津川雅彦残して:スポニチアネックス



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180519-00000174-spnannex-ent


 特に面識があるとか、お付き合いがあったことはないのだが、ご出身が東京都中央区築地だそうで、オレ自身30年超ファンである宝塚にも在籍されていた。だから昔からことあるごとにオレの身の回りで、お名前をよく聞いていた。

 実は昨日もたまたま市場内の喫茶店で、飲食店のおばあちゃんから「小学校の頃、朝丘雪路さんに宿題を教えてあげてた」って自慢話を聴いたばかりだった。まぁコレも縁っていやぁ縁なのかも知れねぇ。


 オレがこの記事に関心を持ったのは、朝丘さんが亡くなった原因についてだ。この記事でも他の報道でもそうだったが「アルツハイマー型認知症によって…」と書かれていた。アルツハイマーが死因って書き方に、ちょっとした違和感を感じた。


朝丘雪路の死因 アルツハイマー型認知症とは?症状進むと家族の顔が分からなくなったり…
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2018/05/19/kiji/20180520s00041000021000c.html


オレも調べてみたンだが、医学的にも認められたことなンだそうだ。アルツハイマーは脳の機能が衰えてしまう病気だが、それによって引き起こされてしまう身の回りの認知症状ばかりがついつい注目される。


実は4年前に亡くなったオレの母も、アルツハイマー型認知症だった。その介護のさなか、施設の職員に「いったい介護はいつまで続くンだろうねぇ……アルツハイマーの最期ってどうなるの?」と聞いたことがある。


職員の経験談として話してくれたンだが、脳の機能が衰えることによって、身体の機能も徐々に不自由になり、内臓も働かなくなり亡くなるケースもあると聞いた。簡単にいってしまえば、息をするのも、心臓を動かすのも忘れちゃうってことだ。きっと朝丘さんはこのケースだったのだろう。結局うちの母は大動脈乖離だったが。


認知症も進み…朝丘雪路さん死去 体調急変 献身介護の夫・津川雅彦も臨終に間に合わず:スポニチアネックス



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180520-00000004-spnannex-ent

 


夫の津川雅彦さんが臨終に間に合わなかったそうだが、前述したように最期は突然やってくることが多い。


記事によればご自宅で介護をされていたという。認知症の介護は想像以上に過酷なものだ。それをご自宅でやられていたというのは、本当に深い愛情がなければできないことだと思う。オレも介護をやっていた時、病院や施設等で老夫婦での介護いわゆる「老老介護」をよく見かけた。息子や娘なんかより、献身的だなぁと感じたことを思い出した。


実際、愛情を注いで介護をされてきていたのだから、臨終に立ち会えなかった悔しさは察するに余りあると思う。



■机上で作られた介護の行政? 10年目のグループホームが抱える問題

ウチの母の場合、最後の3年間は「グループホーム」という施設でお世話になった。4年間の自宅での介護から解放されて、本当に助かった。


これは介護がメンドクサイからって理由じゃなくて、認知症介護の場合、本人から一瞬たりとも目が離すことができないからだ。在宅介護の時はまさに仕事ができないという状態だった。言い方は良くないかもしれないが、認知症は何をしでかすか分からない。ウチの場合は古い家でガスだったから、火が最も怖かった。それとトイレの含めた水回り。


ガスは元栓を締めれば安心だが、水回りはそうはいかなかった。一度、本人が夜中に目覚めてトイレを使い、下着その他をトイレに流してしまったことがある。それもおかしいと感じた本人が、何度も水を流したからトイレは当然、廊下まで水浸しになった。


だからおちおち寝てもいられない。当然昼間は家政婦さんを頼んだり、ショートステイや、デイサービスに行かせて時間は多少作れたが、結局夜中は身内だけでやらなきゃならない。まさに寝ずの番をしなきゃならなかった。


グループホームへの入居が決まった時は、心から助かったと思った。ちなみにグループホームというのは、認知症対応型自立支援施設というヤツだ。軽度の認知症は補助があれば、身の回りのことは自分自身でできる。入所した当初、飯時前になると、おじいさん、おばあさんが分担して準備をしているのは、ナカナカ微笑ましい光景だった。その中で母も包丁を使っている姿をみて、とっても嬉しかった。


しかし自分のことは自分でやるという理念には賛同できるが、この施設にも最近新たな問題が露出してきている。


オレは世話になった恩返しで、そのグループホームでのイベントや会議にも、今でも時間があれば出席するようにしているのだが、今では前述したような本人たちによる食事の準備は行われていない。


それは入居者の認知症状が進んでしまって一人でトイレを使えなくなっていたり、歩行が困難になっていたり、寝たきりになってしまっている方たちばかりだからだ。


だから介護職員一人にかかる負担も増えている。その上給料はお世辞にも良くはない。介護現場は慢性的な人手不足だ。


研修で新設したグループホームに見学に行った、オレと親しい職員が「ウチもかつてはあーだったなぁと思い出しましたよ」と寂しそうに言っていた。


新設グループホームは、入居者がまだ軽度の方たちばかりだから、何とかその本来の形で運営できる。でも10年経ったグループホームは、何ら特別養護老人ホームと変わらない状態になる運命なンだ。


まさに机上で作った仕組みなんだなぁと感じた。


今、政治家は待機児童とか保育園なんかには熱心だけど、老人介護の話を聞くことはあまりない。現場は待ったなしの状態だ。行政による対応は大きく遅れていると思う。


自分たちもいずれは同じようになるのに……。


 

生田よしかつ <東京都中央卸売市場築地市場 仲卸業者「鈴与」三代目>

東京都中央卸売市場築地市場 仲卸業者「鈴与」三代目。著書に『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』(角川学芸出版)『たまらねぇ場所築地魚河岸』(学研新書)など多数。レギュラー番組に『報道特注』(文化人放送局)、『築地一揆+』(チーム・デジタル民主主義)。



Facebook:https://www.facebook.com/yoshikatsu.ikuta

Facebook page:https://www.facebook.com/ikutayoshikatsu/

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.