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特区民泊とは 基礎知識とメリット・デメリットを総まとめ




特区民泊の基礎知識と最新動向を総まとめ

2018年6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)施行の陰で、宿泊事業を考えている事業者を中心に「特区民泊」に注目が集まっている。


特区民泊は、「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」と呼ばれ、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した民泊のことを指す。


本記事では、住宅宿泊事業法の陰で事業者を中心に注目を集める特区民泊の概要からそのメリットとデメリット、そして今後の可能性に迫る。


 


国家戦略特別区域法とは


国家戦略特別区域法とは、国が定めた国家戦略特区において、規制改革などの施策を総合的かつ重点的に行うことにより、産業の国際競争力を高めることを目的として施行された法律。


「国家戦略特区」は民間企業が新しいビジネス展開をしていく上で立ちはだかる規制を大きく改革していくことを目的に指定された特区のことで、医療や教育、農業など計11分野で規制改革が行われている。


国・自治体・民間事業者の三者で構成される国家戦略特別区域会議 で区域計画案を作成し、国家戦略特別区域諮問会議を経て、内閣総理大臣の認定を受けると、区域計画に基づき、規制改革メニューの実施が可能になる。


 


出典:国家戦略特別区域法の概要pdf|内閣府地方創生推進室


 


国家戦略特区の指定区域とは


国家戦略特区に指定された区域は、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県成田市、千葉県千葉市)、関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)、新潟県新潟市、兵庫県養父市、福岡県福岡市、福岡県北九州市、沖縄県、秋田県仙北市、宮城県仙台市、愛知県、広島県、愛媛県今治市で、内閣総理大臣の認定を受けている。


これらのすべての指定区域で特区民泊を行うことができるわけではなく、特区民泊を行うことができるのはこのうち特区民泊条例を制定している自治体のみとなる。



 


特区で措置された規制改革メニュー


特区で措置された規制改革メニューには2017年11月現在、観光、教育、農業など計11分野で、86事業がある。様々な分野でのメニューがあるが、ホテルや民泊などの旅館業に関連するもののみをピックアップすると以下の通りとなる。






















規制改革事項概要
旅館業法滞在施設の旅館業法の適用除外

国内外旅行客の滞在に適した施設を賃貸借契約に基づき3日から10日間以上使用させ、滞在に必要な役務を提供する事業を行おうとする者が、都道府県知事の認定を受けた場合は、旅館業法を適用しない。
旅館業法(宅建法)旅館業法の特例対象施設における重要事項説明義務がないことの明確化

国家戦略特区における旅館業法の特例の対象となる滞在施設には宅地建物取引業法の適用はなく、滞在者への重要事項説明が不要であることを明確化。
古民家(旅館)古民家等の歴史的建築物に関する旅館業法の適用除外

地方自治体の条例に基づき選定される歴史的建築物について、施設基準の適用を一部除外し、ビデオカメラが設置され、緊急時の対応の体制が整備されている場合はフロントなしで認める。 

出典:特区で措置された規制改革メニュー



 


特区民泊とは


特区民泊とは、国家戦略特区において宿泊施設を賃貸借契約に基づき一定期間使用させ、滞在に必要なサービスを提供する事業として都道府県知事の認定を受けた場合、旅館業法を適用しないというもの。


2018年4月現在、東京都大田区、大阪府、大阪市、北九州市、新潟市の一部、千葉市が特区民泊の実施地域として指定され、内閣総理大臣の認定を受けている。


国家戦略特別区域において外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約に基づき一定期間使用させ、滞在に必要な役務を提供するもの。区長の認定を受けることにより、当該事業については、旅館業法の規定が適用されない。(国家戦略特別区域法第13条 旅館業法の特例)


《関連サイト》

旅館業法の特例について|内閣府地方創生推進事務局


 


特区民泊の最低滞在日数


旅館業法にはない特区民泊ならではの特徴として挙げられるのが「最低滞在期間」だ。特区民泊の施設を使用させる期間として3日から10日までの間で、自治体の定める期間以上とする必要がある。


最低滞在期間を自治体の条例で2泊3日以上と定める東京都大田区(※)、大阪府、大阪市、北九州市、新潟市、千葉市では、特区民泊の特定認定を受けた認定事業者は、2泊3日以上滞在する宿泊客のみしか受け入れることができない。


2泊3日以上の宿泊客しか受け入れることができないといった最低滞在期間の制限は、特区民泊特有のもので、旅館業法や住宅宿泊事業法にはない。


(※)大田区は、特区民泊開始当初は最低滞在期間を7日としてきたが、2018年3月15日に改正条例を施行し最低滞在日数を3日としている。


 


特区民泊は、全国8千件にまで拡大


2016年1月に東京都の大田区が全国で初めて特区民泊の事業者受付を開始。その後、2016年4月には大阪府の一部、2016年10月には大阪市でも開始。その他にも北九州市や千葉市、新潟市でも開始している。


内閣府地方創生推進事務局によると、特区民泊の居室件数(申請件数ベース)は2019年5月時点で過去最高の8,846件(認定件数ベース:8,145件)にまで拡大している。


エリア別でみると、特区民泊は大阪市だけで8千件を上回るなと人気のエリアが集中。大阪市の特区民泊は、2019年1月時点で約6,300件であったが5月時点で約8,200件になっている。このままのペースで増加した場合、大阪市の特区民泊は2019年8月に1万件の大台に達する見込みだ。


《関連記事》大阪市の特区民泊、1年で4倍で約1,500室に急増



 


特区民泊実施自治体比較


特区民泊は、2016年1月29日に東京都大田区で全国で初めてスタート。2016年4月には大阪府の一部でもスタートし2016年10月には大阪市でも開始。その他にも北九州市や千葉市、新潟市でもスタートしている。


しかし、認定施設の数については自治体により大きなばらつきがあり、羽田空港に近い大田区や関西空港や神戸空港、伊丹空港などから近く訪日外国人が増加している大阪府や大阪市に特に認定施設が集中している。




































条例施行日最低滞在日数認定施設数 
大田区2016年1月29日2泊3日51施設275居室
大阪府2016年4月1日2泊3日7施設14居室
大阪市2016年10月31日2泊3日527施設1485居室
北九州市2016年12月20日2泊3日1施設1居室

出典:国家戦略特区 特区民泊について



 


東京都大田区特区民泊


東京都大田区では、2015年12月7日に関連条例を制定し、翌年2016年1月29日に事業者受付をスタート。2018年3月2日現在、認定51施設275居室を数え、35事業者のうち個人が占めるのは12人となっている。


最低滞在期間は、2014年3月の国家戦略特区法施行令公布当初は6泊7日以上となっていたが、2016年10月の同施行令改正により3日に短縮。


大田区は、特区民泊開始当初は最低滞在期間を(6 )泊7日としてきたが、2018年3月15日に改正条例を施行し最低滞在日数を3日に短縮した。


《関連記事》大田区の特区民泊、来年3月15日に2泊3日に規制緩和へ


大田区特区民泊の実施地域


大田区では、市街化区域のうち「ホテル・旅館」が建築可能な地域で特区民泊を行うことが可能で、具体的には、第一種住居地域(床面積3,000㎡以下のものに限る)・第二種住居地域・準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域が該当する。


《関連ページ》大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の申請手続きについて


大田区における国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(旅館業法の特例)の実施地域


 


大阪市特区民泊


大阪市は2016年1月に特区民泊条例を可決。2016年10月から事業者受付を開始した。大阪市の特区民泊居室数は2018年2月28日時点で1年で4倍となる約1,500室にまで急増するなど、特区民泊エリアの中では最も人気の高い都市となっている。


民泊仲介サイト最大手のAirbnb(エアービーアンドビー)が発表した2018年上期の予約状況に基づく調査結果では、もっとも予約された都市として大阪が世界第3位にランクインしている。世界的にみても宿泊客が急増している大阪では、特区民泊が増えるとみられる。


《関連ページ》大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区)


大阪市特区民泊の実施地域


大阪市では、原則として建築基準法第48条の「ホテル・旅館」が建築可能な地域である第一種住居地域(床面積3,000㎡以下のものに限る)・第二種住居地域・準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域で特区民泊を行うことができる。



 


大阪府の特区民泊


大阪府では、全国で初めてとなる特区民泊条例が2015年10月に制定され、翌年2016年4月1日から事業者受付をスタート。(6泊)7日以上となっていた最低滞在期間が2016年10月の国家戦略特区法施行令改正により3日に短縮された際には、いち早く条例改正を行い(2泊)3日への短縮を行った。


2018年2月7日現在、認定7施設14居室を数え、7事業者のうち個人は1人となっている。


《関連ページ》「特区民泊」に関する情報提供 -大阪府-


大阪府特区民泊の実施地域


大阪府における特区民泊の実施区域は、市町村の判断により、(1) 住居専用地域を 含む市街化区域全域(工業専用地域を除く)(2) ホテル等が建築可能な地域 (3) 全ての地域で実施しない の3区分に定められている。



 


北九州市特区民泊


北九州市では、バックパッカーなど個人で訪れる外国人観光客が増えてことを受け、2016年12月に特区民泊条例を制定し翌年2017年1月から事業受付をスタート。


市は地域住民の方々に迷惑をかけないよう十分配慮しつつ、観光・地域振興を図るよう「自然体験」と「地域住民との交流」をテーマに特区民泊を実施し、賑わいのあるまちづくりを推進している。


しかし、もともと北九州市内には民泊物件が少なかったことから事業受付の開始から1年以上経つが、特区民泊の認定件数は伸び悩んでいる。


《関連ページ》北九州市の国家戦略特区について


北九州市特区民泊の実施地域


北九州市における特区民泊の実施区域は、下図に示したとおり、事業実施区域とした「第一種低層住居専用地域」、「第二種低層住居専用地域」、「市街化調整区域」とする。※国家戦略特別区域 区域計画認定: 平成28年10月4日



 


新潟市特区民泊


新潟市では、2017年5月に区域計画を認定、同年7月に特区民泊条例を制定。新潟市は特区民泊によりグリーン・ツーリズムをより一層推進し、田園部の活性化を図るとともに空き家の活用や移住の促進等を進め、地方創生の実現を目指すとしている。


《関連ページ》新潟市特区民泊事業を開始しました! -新潟市-


新潟市特区民泊の実施地域


新潟市における特区民泊の実施区域は、新潟市内の市街化調整区域内となる。なお、諸法令及び都市計画による制限を受ける場合がある。



 


千葉市特区民泊


千葉市では、2017年9月に区域計画を認定、同年12月に特区民泊条例を制定している。市は、特区民泊を導入することにより、地域資源を有効に活用した滞在型余暇活動の提供を促進し、グリーンエリアの実感価値の向上及び観光振興の推進を目指す。


《関連ページ》特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業) -千葉市-


千葉市特区民泊の実施地域


千葉市における特区民泊の実施区域は、若葉区及び緑区の市街化調整区域及び住居専用地域となる。



 


神奈川県、特区民泊を検討


神奈川県の黒岩知事は9月に開催された定例会本会議の中で「国家戦略特区による民泊は有効性がある。可能な地域から特区の活用を進めていく」との考えを述べたと神奈川新聞が報じた。


神奈川県は横浜市など外国人に人気の高い都市を持つが、保健所設置市(横浜市、川崎市、横須賀市、藤沢市、相模原市)では独自に特区民泊条例を制定する必要がある。神奈川県の特区民泊条例は保健所設置市には適用されないため注意が必要だ。


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