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ATR、2025年までに日本で100機の受注見込む 記者会見と体験搭乗実施




飛行機メーカーのATRは、記者会見と体験フライトを実施した。



ATRは、レオナルドとエアバスが50%ずつ出資しているターボプロップ機メーカーで、受注機材数はこれまでに約1,500機、うち引き渡し済みは約1,200機。約100カ国の200社が運航している。50席から90席クラスの市場では約35%、ターボプロップ機市場では約75%のシェアを誇る。2016年2月に天草エアラインで日本初の商業運航を開始。現在は日本エアコミューター(JAC)にも2機を導入しており、国内で3機が運航している。今後JACが7機の引き渡しを受ける。いずれもATR42-600型機で、48席を配置している。



ATRの資料によると、ATR72-600型機と競合のターボプロップ機であるボンバルディア社製のDHC-8-Q400型機を比較すると、消費燃料は20%、1フライトあたりのコストは20%、座席あたりのコストは10%低いという。さらに、騒音が小さく、低い高度を飛ぶことから頭痛や疲労の軽減も見込めるとした。機内の与圧は軽井沢と同等となっている。





現在、ATR42-600s型機を開発中で、従来より200メートル短い800メートルの滑走路でも離着陸が可能となる。礼文、佐渡、調布、新島、神津島、波照間などの空港への就航も可能となる。ATR42-600s型機では競合機に劣る速度を向上させることではなく、ラダーの改良やキャビンの軽量化に重点を置いた開発を行っているという。これは、離島や滑走路が短い空港では環境上、様々な制限があることが多いためとした。



日本では更新が見込まれる経年機が50機あり、そのうち30機をATR機に切り替えることでメリットがあるという。従来機や競合機より低コストであることから、新路線の開設も容易になる。ATRでは日本でのシェア拡大に向けて、東京にオフィスを開設しており、2025年までに100機を販売することを目標としている。



体験フライトでは、JACの鹿児島〜沖永良部線を往復した。



一般的には機体前方左側の扉から乗降するものの、ATR機では機体後方左側から搭乗する。JACでは直線タイプと折り返しタイプの2つのスロープをATR機の就航に合わせて導入し、階段を昇る必要がないのも、離島に多く住むお年寄りにも優しい。





鹿児島発は前方、沖永良部発は中央部分の座席だったが、機内は静かで通路を挟んだり前後の座席で会話をしても大きな声を出さなくて済む点や、ジェット機のようなキーンとした音がないのも特徴だといえる。1列目のCD席は後ろ向きで、2列目のCD席と向き合う形となるのも初めて乗る人には戸惑う点かもしれない。



機体は胴体が太く、機内は従来のプロペラ機と比較すると空間が広く感じた。荷物棚も大きく、収納容量はナローボディー機と同等といえる。機内に持ち込むことができるのは、45センチ×35センチ×20センチ以内の合計100センチ以内のもので、一般的な機内持ち込みサイズのスーツケースは入らず、預け入れる必要がある。巡航高度が最大でも20,000フィート(約6,100メートル)と低く、高翼機であることから、島々を眺めながらの飛行は格別だった。







巡航速度は、ATR42-600型機は時速約550キロ、DHC-8-Q400型機は同667キロと遅く、鹿児島〜沖永良部間では、ATR42-600型機では1時間30分、DHC-8-Q400型機では1時間15分とATR機のほうが15分余計に時間がかかる。短距離路線であればあまり気にならないが、地方空港など運用時間に制限がある空港を利用する場合や効率良い機体運用という点ではネックとなる可能性はある。

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