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進むクルマの小排気量化 “信仰”を崩せるか?



最近、特に欧州車で「ダウンサイジング」が進行しています。日本車でも今後、それが広がっていくのでしょうか。またそこには、どんな意味があるのでしょうか。

欧州で広がるダウンサイジングの波

 最近クルマ関係で、「ダウンサイジング」という言葉をよく耳にします。大きなクルマから軽やコンパクトカーといった小さなクルマに乗り替えることも指しますが、話題になっているのはそれではなく、エンジンの小型化という意味でのダウンサイジングです。従来であれば、クルマの排気量は2リッターあたりが基本で、高級車やスポーツカーでは余裕を持たせるため、排気量が大きくなるのが当たり前。バブルの頃では“大排気量=偉い”という風潮すらありました。

 しかし、最近は環境や資源に配慮するエコの時代。高級車でも例外ではなく、闇雲に大排気量を追求する時代ではありません。排気量を小さくすると燃費の向上、また温暖化に関係がある二酸化炭素の排出量低減につながります。

 その流れで出てきたのが、排気量を小さくしたダウンサイジングのエンジンです。もちろん、組み合わせるのは従来と同じ大きさのボディ。排気量1.5リッター以下で3気筒というのが主流で、フィアットの「ツインエア」のように875ccの2気筒というユニークなものもあります。

 先駆けは、2005年に登場したフォルクスワーゲンの「TSI」と呼ばれる1.4リッターエンジンで、その後はメルセデス・ベンツやBMWといったプレミアムメーカーも続々と採用。いまもその勢いは止まるところを知りません。また、日本車でも日産「ノート」やホンダ「ステップワゴン」が採用して話題となりました。

 3気筒というのは軽自動車のようで普通車には違和感がありますが、エンジン理論として、一番バランスがいいのは1気筒あたり400~500ccといわれています。つまり総排気量を1.5リッターとした場合、500ccで割ると3気筒。理屈にも合っているのです。

 しかしダウンサイジングは簡単な話ではなく、問題もあります。一番は、排気量を小さくするとパワーも小さくなることです。

 この点をカバーするのが、ターボやスーパーチャージャーによる過給です。排気量が小さくとも、これでパワーを補うことができます。

 しかしこれもまた、簡単な話ではありません。「ターボを付けると燃費は悪くなるし、突然パワーが出て扱いづらいのでは?」と思う人もいるでしょう。確かに本来、過給の問題はここにありました。そしてこの問題の解消こそが、ダウンサイジング最大のポイントになります。

日本でダウンサイジングは普及するのか?

 従来のターボは、エンジンにとにかく空気を押し込んでやるもので、細かい制御はあまりできませんでしたし、コンピュータシステムもそれほど高度ではありませんでした。

 一方、ダウンサイジングエンジンに組み合わされるターボは、すべて直噴なのが特徴です。「直噴」とはその名の通り、各シリンダー内へ燃料をダイレクトに噴射するもので、高圧力化や複数回の噴射を行なうため、燃焼状態に応じた緻密な制御が可能。つまり、エンジンの効率を最大限に引き出すことで小排気量でも大きなパワーを出すことができ、また、きめ細やかな制御によって滑らかな出力が得られるのです。効率が良く排気量が小さいことから燃料の噴射量に無駄がなく、省燃費につながるのもポイントです。

 しかし3気筒は振動が出やすく、特にアイドリング時は大きくなるというデメリットがあります。エンジンマウントの位置や形状を工夫するといった対策が行われていますが、最近ではアイドリングストップが普及しているため、それほどの問題ではないでしょう。

 ただ、ダウンサイジングエンジンではPM2.5の排出が増えるという研究結果も出ているため、この点について今後、何らかの対策が必要になるかもしれません。

 またダウンサイジングは、日本では税制面のメリットもあります。自動車税は排気量で決まるため、排気量が小さければ税額が下がるのです。1.5リッターは年額3万4500円ですが、2リッターは3万9500円、3リッターは5万1000円なので、大幅な節税になります。

 とはいえ日本の場合、現在でも“排気量信仰”的な風潮は残っていますし、そもそもハイブリッドのほうが人気です。ダウンサイジングの恩恵を最大限に引き出せる中~大型のクルマも少なく、その普及はいまひとつといったところです。

 ですが、ハイブリッド車や電気自動車がバッテリーの問題をなかなかクリアできない以上、日本にも“ダウンサイジングの波”がやってくる可能性は大いにあります。

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