スバルは5月11日に決算発表と、中期経営ビジョン「STEP(ステップ)」の進捗報告を実施。22年3月期には純利益1400億円(前期比83%増)を見込むとともに、22年央に新型EV「ソルテラ」をグローバルで展開することを明らかにした。
21年3月の純利益は765億円だったが、22年3月は1400億円を見込む
スバルは5月11日、2021年3月期の決算を発表した。純利益は765億円で、前期比−50%という結果だった。生産台数は80万9900台で、こちらも前期比−13.5%。これらの落ち込みの要因は、新型コロナと半導体不足である。
22年3月期は主力の北米市場の回復が予想され、純利益は1400億円(前期比83%増)、生産台数は103万台(前期比27%増)を見込んでいる。依然として半導体不足の懸念は残るものの、20年3月期の実績レベルまで戻したいという意向だ。
決算発表に続いては、中期経営ビジョン「STEP(ステップ)」進捗報告説明会が行われた。「STEP」は18年7月に発表されたもので、25年に向けて「組織風土改革」「品質改革」「スバルづくりの刷新」の3つを重点取り組みとして掲げている。
まず「組織風土改革」においては、「意識を変え、行動を変え、会社を変える」を全社の合い言葉として活動を推進。古い組織文化を払拭し、風通しが良く何でも言える会社にする取り組みや、ITツールの活用により部門をまたいだコミュニケーションが活発化などが行われた今年度からは新人事制度を導入し、これらの活動をさらに加速させていくという。
「STEP」で特に重要視しているのが2番目の「品質改革」だ。開発初期段階から品質目標のゲート管理を強化して、クリアできなければ次の開発には移れないなど開発のプロセスを変更した。また、1500億円の予算を割り振り、日米両工場での品質改革に向けた設備投資や試験研究設備を導入するほか、新しい完成検査棟を22年度以降に稼働させる。これらの取り組みにより、品質問題の40%を占める生産準備段階以降の領域と、品質問題の60%を占める商品企画から開発設計の領域、その両方から品質改革を実現するという。
最後に「スバルづくりの刷新」については、電動化の時代であってもスバルらしさは決して失われない、ということを改めて強調した。スバルが得意とする安全性能の重要さはEVの時代でも変わらず、またAWDの制御知見を緻密で応答性の高いモーターでより生かすことができると見込む。
その第一弾として、トヨタと共同開発するCセグメントSUV「ソルテラ」を来年からグローバル展開する。EV専用プラットフォーム「e-スバルグローバルプラットフォーム」を採用。両社の強みを持ち寄り、スバルが長年培ってきたAWD技術もさらに進化させているという。ソルテラは日本・米国・欧州・中国などの市場で、2022年年央に販売開始予定だ。
開発体制にもメスを入れる。これまでの車体やパワーユニットといった機能・部位別の開発から、価値軸と機能軸とを有機的に組み合わせる開発体制とした。これにより縦割型の部門最適・車種最適といった考え方から、全社最適へと視点を移行。開発効率と機動性を高め、将来技術に柔軟に対応できる体制とする。