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「燻製」は楽し! ドイツ流燻製、桜チップでベーコンづくり。【スズキ・ジムニー(JA71型)でアウトドアへ 】


ヨーロッパの食文化のひとつである「燻製」。ジムニーで出かけたら、アウトドアで冬のドイツを思い出しながら、薫製にチャレンジだ。使うのは、薪ストーブとスモーカー代わりのコールマンのキャンプストーブ・オーブンと桜のチップだ。さて、出来映えは如何に?




TEXT &PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)

ワインを持参しているので、宿泊用のテントを用意している。テントはシングルウォールのゴアテックス。タープの中へテントを入れ込むカンガルースタイル。

12月になるとドイツのエッセン・モーターショーを思い出す。ヨーロッパでのチューニングカーの一大イベントである。チューニングカーの他にもクラッシックカーのブースもあるし、ミニチュアカーや書籍の販売ブースもあったりする。出展者とユーザーの距離がとても近いイベントで、どこも熱気で溢れている。どうしても欲しかったのだろう、大きなエアロパーツをしょって出口へ向かうユーザーを見たこともある。「あらぁ、そんな大きいのを買って、今すぐに積んで帰るんだね」身体中から喜びが溢れている。

ドイツは緯度が高く、冬は日の射す時間が極端に短い。エッセン・モーターショーの取材時の朝食は、まだ陽が昇っていない頃に済ませる。また、ドイツの朝食は温かい物が少ない、当然撮影する会場は屋内なので、取材の帰りはすでに陽は落ち、ホテルまでは暗い夜道を帰ることになる。その上にこの国の湿度は「水は少しも存在していないのか!」と思うほどカサカサに乾燥している。「日照時間が少なくて湿度ゼロ!」僕のドイツの冬はそんなイメージだ。

ドイツやその周辺の先人達はこの乾燥した大気と日照時間が少ないことを利用して、生活を豊かにする調理法を生み出した。


「薫製」である。


森の国、木の文化。長い冬。保存が効き味も豊かにする食材への加工法だ。




ドイツに限らず、各国、各地域の先人達は自分の周りの環境を利用して生活を豊かにしてきた。僕ら日本人の先人達も、ヨーロッパの先人達に負けてはいない。太陽と海水を利用して作る干物や醗酵食品などは、決して「薫製」に劣る食文化ではないと思う。




相手の文化を認めつつ、自分たちの文化も大切にしていく。これは食だけに限らない。クルマを含めてすべての工業製品にも言える事ではないかと思う。

今回もキャンパル・ちびストーブを使う。薪は自宅の木を伐採したものを使う。吉と出るか凶と出るか。

かなり前に手に入れたコールマンのキャンプストーブ・オーブンをスモーカーとして使用する。温度計付き。

冬のドイツを思い出しながら、今回のキャンプの食事は薫製にチャレンジだ。




「薫製」は80℃以上で燻す熱薫、30℃から60℃で燻す温燻、15℃から30℃で燻す冷薫と3種類に分けられる。アウトドアに適した方法は熱薫である。




熱薫はスモークチップを不完全燃焼させ、高温の煙で燻す。短時間で燻すので食材の乾燥をそれほど進まないため、保存食にはならない。それでも充分に「薫製」の味は堪能できるはずである。

順調にスモークし始めたが、ちょっと目を離した隙に温度が上昇し、スモーカーの中へ炎が入ってしまった。予定では、100℃以下でしっかりとスモークし、その後温度を200℃まで上げ、オーブンとして火を通す予定だった。

幸い出来上がりはしたが、スモークの香りは物足りず、焦げた分、苦みが増してしまった。

「薫製」での食材はそのまま燻せば良い物と下準備が必要な食材に分けられる。塩さえも薫製にしてしまう強者もいる。鯛の刺身を燻した塩で頂く。いつか僕もこれは作ってみたいと考えている。




一泊2日等、短いアウトドアでの薫製作りなら、下準備をせずに燻すだけで済む食材を選ぶと良い。すでに乾燥されている干物やウインナーソーセージ等。燻すだけでも味は激変する。お昼から燻し始めても、夜の酒のつまみには余裕で間に合うだろう。下準備が必要な食材なら、自宅で冷蔵庫等を使って済ませておく方法もある。

カットしてチェックする。もう少し時間をかけてスモークさせたかった。残念。

スキレットで充分に火を通す。ワインとサラダとベーコンの夕食。

「スモークチップ」と呼ばれている、燻すための粉砕された木材を自由に選べるのも「薫製」の楽しみ方のひとつ。食材により、肉ならこの木のスモークチップ、魚ならこれ!とベストな物が用意はされている。でも、これにこだわらず自分でブレンドしたりしてみるのも良いと思う。出来上がりは毎回違っても良いではないか。それが自分で作る楽しみのひとつでもある。




薫製作りのプロフェッショナル達の味への探求は高度であり、とても素人が追いつけるものではない。僕は塩分を極力少なくして、出来上がったベーコンに火を通し、粗挽きマスターをたっぷりと。そんなベーコン作りを目指してみよう。

W.G.Rと名付けられた折り畳み式のワインラック。婦人発明協会が主催する発明コンクールで「なるほど賞」を受賞。上質な桜の木で丁重に作られている。このラックの素材に合わせて薫製のスモークチップを桜にする。

今回のベーコン作りには桜のスモークチップを使う。理由はワインスタンドだ。このワインスタンドは桜の木を丁寧に加工して作られており。コンパクトに折り畳め、アウトドアの雰囲気作りにも最適だ。このワインスタンドの材質に合わせて、桜のスモークチップを選んでみた。もちろんスズキ・ジムニーで来ているので、日帰りではアルコールは厳禁である。明日の朝食は温かいベーコンエッグとバターたっぷりの厚切りトーストだ。




最後に注意点を書き添えると、作ったベーコンは必ず火を通してから食する事。殺菌が完璧にはできていないし、燻すだけでは確実に中まで火が通っているとは限らない。それと出来上がったら、最低でも1時間、出来れば一晩ほど、クーラーボックスや冷蔵庫など、冷えた場所で保管する。そうすれば味はさらにしっとりと馴染んでくる。


 

朝食は厚切りベーコンとたっぷりバターのトーストで。

アメリカ産豚肉ブロック(肩ロース)を約1200グラム。今回は豚バラのブロックが入手できず、硬くなるのは覚悟する。種類別の部位を用意して味比べも楽しいはずだ。

豚肉ブロックから水分を抜く作業。塩を軽く振りキッチンペーパーで包む。キッチンペーパーを替えながら3回ほど。

調味液を作る。水1500mℓ、塩20g、砂糖10g、醤油大さじ1、ローリエ3枚、ニンニク、生姜はお好みで。おっと大事な黒胡椒を忘れている。10gぐらい入れておこう。

豚ブロックを調味液に漬け込みラップをして冷蔵庫へ。約12時間。

12時間ほど漬け込んだ後に豚肉ブロックを冷水で軽く洗い、キッチンペーパーで包む。ある程度表面の水分が取れたら、キッチンペーパーをはがして冷蔵庫で3時間ほど。

豚ブロックを約12時間漬け込み、冷蔵庫で乾燥させた状態。柔らかくなり血抜きもされて色がピンク色に変化している。既製品のように長いベーコンが僕も好みなのだが、肉類は吊るすと重力で延びるので、スモーカーの高さを考えて長さを整える。

豚ブロックを吊るすフックを作る。2mmの針金を適当な長さに切り、先を尖らせてペンチで形を整える。このようなフックは市販されているので購入でもオッケー。当然だが見た目は既製品の方が綺麗。

黒胡椒をお好みで。もちろん胡椒挽きはプジョー製。その後フックを掛ける。

干物用の乾燥ネットに入れ、風通りの良い日陰で24時間ほど乾燥をさせる。気温、湿度も低く、虫も少ないこの季節は薫製を作るには絶好の時期である。これで下準備は終り。その後冷蔵庫等で保管し、クーラーボックス等でアウトドアへ持ち出す。

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