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内燃機関超基礎講座 | パズルのように緻密な狭角12気筒の構造[VW/AUDI EA398:6.0/6.3 W12]


狭角6気筒を2丁掛けして12気筒にするW12気筒エンジン。ぎゅうぎゅう詰めであることは容易に想像できる。ではその芸術的なまでのパズル配置をご紹介しよう。

フォルクスワーゲン/アウディグループの12気筒エンジン車には「W12」と称する機関が搭載されている。W型エンジンには古来さまざまな方式が考案され、3バンク配置のエンジンも試作されたりしているが、VW/AUDI(というよりフェルディナント・ピエヒ氏)がとった手段は4バンク配置方式だった。すなわち、片バンクですでに狭角配列を成立させ、さらにそれをV型配置するという機械構成である。

(参考)真の、というべきか。3バンク式W型であるアウディ・アヴスのエンジン。いかにも中央バンクのマネジメントに苦労しそうな雰囲気が漂う。(FIGURE:AUDI)

ご存じ、VW/AUDIはW12に先立ってWR型という狭角エンジンを実現させていた。5気筒、6気筒、8気筒のバリエーションがあり、それらは直列エンジンに対して全長を短くできることをメリットとしていた。しかし吸排気菅が不均一なこと、クランクピンの幅が充分にとれないこと、バルブトレインが複雑になることなどのデメリットがあり、WR6はポルシェ・カイエンに一部残っていたものの、2020年11月現在では採用する車種はすでにない。




ではW12にすればそれらが解決できるかといえば、その逆で、より難しさが増す印象である。通常のV12であれば、併進力/偶力ゼロ(振動ゼロではない)の直列6気筒を60度バンクで2丁掛けしているエンジンだけに、きわめてバランスのいいエンジンとして仕立てることができるが、W12ではそれらを望むことができない。見た目だけではなく、性質としてもなかなかトリッキーな性質といえる。

AUDI 6.3 W12のメカニカルレイアウト(ILLUST:AUDI)

狭角V型エンジンには世代があり、当初は15度の角度で登場したが、のちに10.6度に改められている。バンク角を狭くすることでシリンダーヘッドの小型化をはじめ、バルブトレインおよび吸排気管の最適化を図ったのだろうか。VWからはなぜ狭くしたのかについての明確な主張はなく、「狭くしたけどシリンダー壁の厚さは充分に確保している。エンジン長も変わらない。ただしシリンダー裾部が干渉してしまうのでオフセットを12.5mmから22mmに増やして対策した」という結果だけが述べられている。




 W12に用いられている狭角は、15度/12.5mmのタイプである。これを72度のバンクでV型配置している。したがって、等間隔点火のために12度のピンオフセットが設けられている。




 ▶︎ ワンサイクル720度 ÷ 12気筒 = 60度が等間隔点火


 ▶︎ 72度のバンク角 - 60度 = 12度のピンオフセット




 また、先述のように片バンク内では15度の狭角配置であり、V12なら120度毎のクランクピン配置にも工夫が必要なことから、同一位相内のピン同士については21.833度のオフセットが設けられている。もう頭がこんがらがりそうだ。

シリンダー配列[左]とクランクピン配置[右](ILLUST:AUDI)

クランクピン配置図(ILLUST:AUDI)

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