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ドゥカティ・ストリートファイター V4S|世界最強の遺伝子が自慢! だけど意外なほど街を意識した、過激派カジュアル系。


ストリートファイターV4Sは、パニガーレV4Sのネイキッドモデル。MotoGPマシンに最も近いと言われるドゥカティのフラッグシップモデルをベースにカウルを剥ぎ取りアップライトな姿勢で乗れるパイプバーハンドルを備えたプレミアム・ハイパースポーツモデルである。




REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


取材協力●ドゥカティジャパン株式会社

ドゥカティ・レッド(左はパニガーレV4S)

ドゥカティ・ストリートファイター V4S.......2,809,000円〜

ダークステルス
ドゥカティ・ストリートファイターV4.......2,445,000円

エッジの効いたダイナミックなフォルムが表現されている

 ストリートファイターV4Sは、見るからにプレミアムなモデルである。ダークカラーのホイール&フレームに真っ赤なイタリアンレッドが艶やか。ゴールドの倒立式フロントフォークや細部に組付けられたパーツのひとつひとつに至るまでの全てがデザインにこだわりを込めた上質な仕上がりを誇っている。


 その佇まいを4輪で例えるなら、イタリアン・スーパーカーのそれだ。なるほどプライスも300万円に迫りそうなレベル。おいそれと簡単に手の届く存在では無いだけに憧れが膨らんでしまう。


 


 乾燥重量ながら180kg を切るシェイプされた車体に軽~く200psをオーバーする90°V4のデスモセディチ・ストラダーレ・エンジンを搭載。同エンジン搭載のパニガーレV4Sより少しデチューンされたとは言え、基本的にMotoGPマシンに最も近いエンジンであることに変わりはない。


 V4は直4と比較するとクランクシャフトが短く剛性負担が軽くなるので、その点では高回転高出力の追求に有利。クランクケース幅が短く済むのでスリムな車体設計にも貢献する。またこのエンジンは逆回転クランクを採用し、前後ホイールの回転慣性力を打ち消す作用を狙っている事も見逃せない。


 少しでも軽快なハンドリングを追求しようとする考えがそこに表現されている。メカニズムについての詳細解説は割愛するが、フライバイワイヤーでコントロールされる電子スロットルでは気筒当たりダブルインジェクションを装備。NGK製のスパークプラブもマイナス2極タイプのLMDR10A-JSを使用。バルブはもちろんドゥカティのお家芸であるデスモドローミック(バルブ強制開閉機構)を持つ。


 ライディングモードを始め各種選択可能な電子制御の数々が組み込まれ、コーナリングABS等、各種制御システムも最新鋭のアイテムが奢られている。前後サスペンションとステアリングダンパーもオーリンズ製の電子制御アジャスターを持つ豪華仕様。


 ハイパフォーマンスの追求に余念はなく、ネイキッドながらもエアロダイナミクスを徹底研究。コンピューター解析も駆使しながらバイプレイン・ウイングの装備でダウンフォースも活用して、ストリートファイターのネーミングに相応しいポテンシャルに仕上げられている。


 なおV4は廉価な標準仕様で、次の表に示す通り、ホイールやサスペンション等の装備パーツが異なっている。フレームやエンジン、ブレーキ等、基本部分は共通である。

エンジン性能曲線
空力特性も徹底的に研究されている。
V4とV4Sの装備比較表

遠巻きに周囲の視線を集めるオーラは半端無い。

 のっけから「タラレバ」の話で恐縮だが、もしも筆者がコレを購入したらどんなバイクライフが楽しめるのだろうか。どこを見ても造形処理の美しい部品の数々に目を奪われ、ウットリしながら、しばし空想の時間を費やしてしまった。


 使用部品のひとつひとつに厳選され抜かれた誇りが感じられる。しかもそれぞれが、限られたスペースを奪い合う中で巧妙に干渉を避け合いながら全体の美しいフォルムに集約させた巧みなデザインワークには感心させられてしまう。


 今日は走らなくてもイイ。大きめなマグカップにカプチーノを注いでガレージに持ち込み椅子に腰掛けて赤いマシンを愛でる。ふんわりとソフトなウエスで磨き上げてやるだけでも和やかな休日を過ごせそうである。


 個人的には現実離れしたそんなシーンが浮かんで来たわけだが、贅沢なひと時を過ごす相棒としてはとても良いに違いない。走りの性能だってコレ以上を望むべくもないことは乗る前から分かる気がするし、恐らく買ったらもう手放さない、一生の「お宝」になる事は間違いないのである。




 さて、そんな逸材に跨がって見ると、腰高な印象だがアップライトな姿勢で乗れて、結構親しみやすい。ハンドル幅と高さがあるので、パニガーレよりも明らかに軽く扱えてしまう。高価なバイクである事を考えると扱いは慎重になるが、車体の軽快感はミドルクラスに迫り、意外と気軽に乗れる。


 エンジンを始動すると排気音は太く、音量が少し気になるレベル。恐らく騒音測定モードの関係か、4速ギヤで50~54km/hの一定速度で走ると、マフラーから弾ける音がピタリと静かになる領域があったが、ライダーの任意操作でサイレントモードが選択できるなら、実用的で嬉しいのにな~と思えた。


 ちなみにアイドリングは1,400rpm。ファイナルのギヤ比が少し低いこともあって、パニガーレV4Sよりもさらに発進しやすく、市街地に乗り出す上での気軽な使い勝手と言う意味でもいくらか楽であった。


 クラッチミートしようとすると、回転は殆ど変わらないが、排気音が太く明快になりトルクが増す感じ。ローギヤで5,000rpm回した時のスピードは48km/h。6速トップギヤの100km/hクルージング時のエンジン回転数は4,800rpmだった。


 ライディングモードはRACE、SPORT、STREETが選択できるが、ギヤ比と乗車姿勢の関係で発進加速性能はパニガーレを凌ぐ勢いが感じられる。


 そのパフォーマンスはまさにネイキッド最強最速レベル。正直、日本の公道では殆ど宝の持ち腐れになってしまう。STREETを選択すればとてもジェントルで穏やかな走りを楽しむ事もできる。もっともフルパワーモードでもスロットルを開けなければ、それなりの走りをしてくれるから実用的な場面でモードを切り換える必要性はそう多くないとは思う。


 むしろ様々な電子デバイスの組み合わせを自分好みにプログラミングするだけでも、相当な時間を楽しめ(費やし)そうである。


 電子制御サスペンションは動きがとてもしなやか。特にリヤのフットワークが絶妙で、車体は軽いのに少し大きく重いバイクに乗っているかのような、しっとりと上質な落ち着きがあって乗り心地が良かった。操縦性も小回りが得意でない事を除き、素直で思い通りに扱いやすく、コーナリングの気持ち良さも絶妙である。


 ちなみにプロモーションムービーでサーキットを攻める実映像では、5速ギヤ13,200rpmでスピードメーターは251km/hを示していた。トップ6速で14,000rpmまで(レッドゾーンは14,500rpmから)回ったとすれば、ポテンシャルは290km/hになる。


 その実力をネイキッドで楽しめる凄まじさは想像を絶するレベル。まさにライダーは風圧と闘うことになるのではないだろうか。


 今回市街地に繰り出して、先ず驚かされたのは人目を集めること。ただし皆一様に遠巻きにするだけで近づいて声を掛けられることはなかった。やはりオーラが違うのか、どこか近寄りがたい雰囲気を醸しだしているのも事実のようである。


 いずれにせよ注目度及びお宝度満点のハイパーネイキッドなのである。

足つき性チェック(身長168cm)

車体はスマートに感じられるが、シートに跨ると腰高な印象。高さは845mmあり、ご覧の通り両足の踵は大きく浮いてしまう。かろうじて指の付け根が接地するので足つき性にそれほど不安は無いが、高価なバイクだけに扱いは慎重になる。

ディテール解説

スモークのミニスクリーンが装備されたフロントまわり。デュアルヘッドランプ下のチンスポイラーを始め、バイプレイン(左右2段翼・計4枚)ウイングデザインが目立つ。マスクデザインは、映画「ジョーカー」の主人公から閃き、描かれたと言う。

φ43mmの倒立式フロントフォークはオーリンズ製の電子制御式だ。ダブルディスクはφ330mm。ブレンボ製モノブロックの対向4ピストン油圧キャリパーがラジアルマウントされている。カーボンフェンダーはオプション。

200馬力を軽くオーバーする1.1Lの水冷90°V4エンジン。GP用ユニットと基本は共通。後傾42°でマウントされコンパクト設計とマスの集中化を果たしている。

デザインに新しさを覚えたミッドアンダーマウントの4-2-1-2マフラー。排気口は左右対称位置の両側にある。ちなみに試乗車はオプションのAKRAPOVIC製のチタンマフラーを装備、何とその価格は876,513円なり。

オーリンズ製の電子制御モノショック(ボトムリンク式)がマッチされた左片支持ロングスイングアーム・サスペンション。

片支持に合わせたオフセットデザインのリヤホイール。ハブセンターにはφ245mmのディスクブレーキを備え、ブレンボ製1ピストンのピンスライド式油圧キャリパーが採用されている。

ブラックのパイプバーハンドルはテーパードタイプ。ブレーキ/クラッチ共に油圧タイプだ。レバー間隔の調節範囲は9クリック。イグニッションキーはタンク前端部に位置している。

各スイッチの文字はバックライトで浮かび上がるイルミネーション付き。左側の下から順にホーン、ウインカー、モード切り替え、赤いのがハザード、そして向こう側に人差し指で扱うディマーがある。
ハンドル右側スイッチ。下から順にDPL(ドゥカティ・パワー・ローンチ)用スイッチ、セルスターター、赤いキルスイッチ、そして上に少し見えているのがグリップヒーター。
表示モードはTRACKとROADの二つが選択できる。タコメーターは200rpm毎に刻まれたアナログ式表示。写真はROADモードだ。情報表示は14項目に及ぶ。

ハンドルバーと並行にレイアウトされたステアリングダンパーはオーリンズ製の電子制御式。

基本は二人乗りだが、試乗車はオプションのパッセンジャーパッチカバーが装備され一人乗り仕様になっていた。
リヤシート下部の中央には小さな収納BOXがあり、僅かな車載工具とタンデム用ハンドグリップベルトが収納されている。
センスの良いイタリアンデザインを象徴するテールビュー。いかにもプレミアムな製品らしい美しさがある。

アグレッシブなタンクデザインと抜けのあるテールカウルが印象的。

◼️主要諸元◼️

全長×全幅(含むミラー)×全高:2112×833(888)×1040mm


シート高: 845 mm


ホイールベース: 1,488 mm


最低地上高:121mm


車両重量(乾燥):199kg(178kg)




エンジン形式:デスモセディチ・ストラダーレ、カウンター・ローテーティング・クランクシャフト、


エンジン種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ(4デスモドロミック・タイミング)


気筒数配列:90°V型4気筒


排気量:1,103 cc


ボア×ストローク:81 x 53.5 mm


圧縮比: 14.0:1


最高出力: 153 kW(208 hp)/12,750 rpm


最大トルク:123 Nm (12.6 kgm) /9,500 rpm


燃料供給装置: 電子制御燃料噴射システム、ツイン・インジェクター、フルライド・バイ・ワイヤ、φ52mm


        相当楕円スロットルボディ


エグゾースト:4-2-1-2レイアウト、O2センサーx2、触媒コンバーターx2


ギアボックス:6速、ドゥカティ・クイックシフト (DQS)アップ/ダウンEVO 2


1次減速比: ストレートカットギア、減速比 1.800


減速比:


 1速 2.714(38/14)


 2速 2.118(36/17)


 3速 1.737(33/19)


 4速 1.524(32/21)


 5速 1.364(30/22)


 6速 1.250(30/24)


最終減速:チェーン 2.800(15/42)


クラッチ: 湿式多板、油圧制御、セルフサーボ/スリッパー・クラッチ機構付


フレーム: アルミニウム合金フロント・フレーム/アルミニウム合金リアサブフレーム


ホイール(前/後):3.50-17 マルケジーニ製 鍛造アルミニウム 5本スポーク/ 6.00-17 合金鍛造 3本スポーク


タイヤ(前/後):120/70 ZR-17 ピレリ製、ディアブロ・ロッソ・コルサ2 / 200/60 ZR-17 ピレリ製、ディアブロ・ロッソ・コルサ2


サスペンション(前/後):


 オーリンズ製NIX3 TiNコーティング、φ43mm フルアジャスタブル倒立フォーク


 電子制御 / アルミ片支持スイングアーム、オーリンズ製TTX36 モノショック、フルアジャスタブル、電子制御


ホイールトラベル(前/後):120 mm / 138.5mm


ブレーキ(前/後):


 ブレンボ製4ピストン・ラジアルマウントStylema®(M4.30)モノブロックキャリパー、φ330mmセミフローティング・ダブルディスク、コーナリングABS EVO


 ブレンボ製2ピストン・キャリパー、 φ245mmディスクコーナリングABS EVO


メーターパネル:5インチTFTカラー液晶ディスプレイによる次世代デジタル・メーターパネル




キャスター: 24.5°


トレール: 100 mm


ステアリング切れ角(左/右):28° / 28°


燃料タンク容量: 16L(予備4.5L含む)


乗車定員数:2名


燃料消費率:13.2km/L

⚫️試乗後の一言!

目立つ存在としてピカイチ!細部までこだわり抜かれたデザインと各部の上質なパーツにはウットリする。

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