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新型ランドローバー・ディフェンダー110:すべてが機能本位で設計された、現行モデルの中で最もコストパフォーマンスの高いランドローバー車


2019年9月のフランクフルトモーターショーで世界初公開された新型ランドローバー・ディフェンダーは、わずか2ヵ月後の11月1日に日本仕様の先行予約モデル「ローンチエディション」が150台限定で受注開始されるも、わずか4日間で完売。18日には第二弾の「スタートエディション」を2020年3月31日までの期間限定で予約受注し、2020年4月6日にはカタログモデルを発表するとともに、納期短縮を図るため5種類の「キュレイテッド・スペック」を設定するなど、爆発的なヒット作となっている。




今回は5ドア仕様「110(ワンテン)」の中間グレード「SE」に、都内およびその近郊の一般道や高速道路で試乗。日常での使い勝手やオンロードでの乗り心地、ハンドリングなどをチェックした。なお、今回のテスト車両には別表のオプション224万1920円分が装着されており、車両本体価格732万円と合わせて総計956万1920円の仕様となっていた。




REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●遠藤正賢、ジャガー・ランドローバー

<テスト車両装着オプション一覧>




【メーカーオプション】


ドライバーアシストパック…6万3000円


3ゾーンクライメートコントロール(リアクーリングアシスト付)…21万円


エアクオリティセンサー…8000円


空気イオン化テクノロジー…1万9000円


プライバシーガラス…7万3000円


コールドクライメートパック…10万9000円


アドバンスドオフロードケイパビリティパック…20万1000円


オフロードパック…21万3000円


ルーフレール(ブラック)…4万6000円


カーペットマット…1万8000円


コントラストルーフ(ホワイト)…12万9000円


ラゲッジスペースストレージレール…2万3000円


40:20:40分割可倒式リアシート(ヒーター、センターアームレスト付)…5万8000円


12ウェイ電動フロントシート(ヒーター&クーラー、メモリ、2ウェイマニュアルヘッドレスト付)…21万円


タスマンブルー9万5000円




【ディーラーオプション】*取付工賃別


エクスプローラーパック…55万4840円


フィックスドサイドステップ…17万2810円


プレミアムカーペットマット…3万9270円

 主役は遅れてやって来る。




 世界中がSUVブームとなり、オンロードを主眼とした造りのクーペライクなクロスオーバーモデルが林立する中、タフな外観と耐久性、悪路走破性を備えた本格オフローダーが次々と世代交代。ジープ・ラングラー、メルセデス・ベンツGクラス、スズキ・ジムニーが2017年末から2018年にかけて新型へと切り替わり、いずれも大きな注目を集めている。

初代ランドローバー・ディフェンダーのメカニズム透視図。写真は最終モデルの「ワークスV8」

新型ランドローバー・ディフェンダー110のオールアルミモノコックボディとベアシャシー

 それから1年強遅れ、ルーツであるランドローバー110の誕生から36年後に初めて世代交代し誕生した二代目ランドローバー・ディフェンダーは、初代ディフェンダーに対し大幅にモダナイズされた内外装デザインに加え、サスペンションは四輪リジッドから四輪独立式、ボディはラダーフレーム式に対し約3倍のねじり剛性を持つオールアルミモノコック式に変更した、新開発の「D7x」アーキテクチャーを採用。オンロードでの快適性と操縦安定性が大幅に高められているものと、大いに期待させる基本構成となっていた。

【ランドローバー・ディフェンダー110SE】全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm ホイールベース:3020mm トレッド:前1700/後1685mm 最低地上高:218mm

 では、肝心のオフロード性能はどうか。従来はインチ単位のホイールベースを表していたが、新型からは3ドアショートボディを表すグレード名となった「90(ナインティ)」のコイルサスペンション車は、最低地上高226mm、アプローチアングル30.0°、ブレイクオーバーアングル25.0°、デパーチャーアングル37.9°を確保。電子制御エアサスペンションが標準装備される5ドアロングボディの「110」は最低地上高218mm、アプローチアングル30.1°、ブレイクオーバーアングル22.0°、デパーチャーアングル37.7°だ。

「テレインレスポンス」に設定されている走行モードと制御イメージ

 また、電子制御フルタイム4WDと、路面に応じてパワートレインやシャシーを適切に制御する「テレインレスポンス」を基本としながら、地形をモニタリングして最適な車両設定を自動的に選択する「テレインレスポンス2」、パワートレイン・ステアリング・ディファレンシャル・トラクションコントロールを個別に設定できる「コンフィギュラブルテレインレスポンス」、電子制御アクティブディファレンシャル、電子制御エアサスペンションなど、ありとあらゆる地形を乗り越えるためのメカニズムが豊富に用意されている。




 このように、広報資料やカタログを見るだけでも、オン・オフ問わず極めて高いポテンシャルを備えている予感大の新型ディフェンダーだが、では実車に触れてみるとどうか。初めて目の当たりにした時の第一印象は率直に言って「デカい」の一言だった。

「エクスプローラーパック」に含まれる装着アイテム

 カタログ寸法上はトヨタ・ランドクルーザーより全高がさらに100mm高く、全長と全幅はほぼ変わらない程度だが、角張ったプロポーションに加え、ディーラーオプションの「エクスプローラーパック」に含まれるルーフラックやレイズドエアインテーク、ホイールアーチプロテクション、サイドマウントギアキャリアといった外装パーツが、それ以上にボディを大きく見せていた。

乗り降りの際に必須となる「フィックスドサイドステップ」

 また、最低地上高と全高が高い分だけフロア高も高く、ディーラーオプションのサイドステップがなければ身長176cmの筆者でも乗り込むのは一苦労。小柄な女性や子供、年配の人を乗せる機会が多い場合は、危なげなく乗降できるか、購入前に確かめた方がよいだろう。

機能本位で設計された運転席まわり

 だがその一方で、車種ごとの見分けがつきにくい他のランドローバー車とは明確に一線を画す道具らしさ、また柔和でレトロモダンなデザインテイストに、得も言われぬ安心感を覚えたのも事実。そしてその印象は、運転席に乗り込むとますます強まっていった。

充分以上のサイズ、弾力のあるクッション、滑りにくい表皮を兼ね備えフィット感抜群のフロントシート
後席は若干小ぶりフィット感は高く、頭上には15cm、膝まわりには25cmほどの余裕がある
荷室フロアと後席背もたれには滑り止め処理が施されている。後席を倒した状態の奥行きは1763mm、起こした状態は919mm

 シートはもちろんインパネやドアトリム、各部の操作系やスイッチ類、フロア、荷室に至るまで、すべてが機能本位で作られている。それらは砂漠や豪雪地帯、泥濘路や岩場といった、クルマにも乗員にも過酷な状況下でも確実に操作でき、無駄な疲労や気遣いを乗員に強要せず、傷や汚れを気にせず使い倒せることが、今回のオンロード試乗であっても瞬時に理解できた。こうした仕立ては、高級感や優雅さを重視した他のランドローバー車とはやはり、明確に一線を画すものだ。

運転席からの前方視界。ボンネット前端左右が見て取れる

 また、外から見た際はあれほど大きく感じたボディサイズが、運転席に座りヒップポイントを高めにセットすると、すべてが手の内にあるかのような感覚さえ覚えてくる。実際にボンネット前端左右を目視でき、四角く大きいドアミラーのおかげで後輪とボディ後端の位置も把握しやすい。

後席ヘッドレストを前に倒せば斜め後方の視界も良好

 また加飾パネルやサイドマウントギアキャリアが装着されていることから、斜め後方の視界が心配されたものの、それを遮るのはむしろ2列目のヘッドレストで、しかも前倒しできるようになっているため、1~2人で乗る分には視界の心配は不要。車庫入れも比較的容易だった。

300ps&400Nmを発する「インジニウム」2.0L直4ガソリンターボエンジン

 では、実際に走らせてみるとどうか。欧州仕様には300ps&650Nm、249ps&570Nm、200ps&500Nmの3種類からなる3.0L直6ディーゼルターボ+マイルドハイブリッド、400ps&550Nmの3.0L直6ガソリンターボ+マイルドハイブリッド、300ps&640Nmの2.0L直4ガソリンターボ+PHEVも設定されているが、日本仕様は300ps&400Nmの2.0L直4ガソリンターボのみ。ただしいずれの仕様も、組み合わされるのは8速ATとなる。




 2.0L直4ガソリンターボで300ps&400Nmというのはなかなかのハイスペックで、オフロードを走る際には好ましくないドッカンターボ的な特性の持ち主ではないかと心配したが、この新型ディフェンダーに関しては杞憂だった。アクセル操作に対する反応は程良くダルな一方、8速ATのおかげもあって2320kgの重量級ボディをスムーズに加速させることができる。

フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン式

 だがそれ以上に驚いたのは、速度域を問わず穏やかでリニアなハンドリングと、快適な乗り心地だ。フロントがダブルウィッシュボーン式、リヤがマルチリンク式の四輪独立式サスペンションは、いずれもロアアーム長が極めて長く、サスペンションストロークがたっぷり取られている。これは本来、悪路で巨大な凹凸を乗り越えるためのものと思われるが、舗装路でも多分にその恩恵にあずかることができる。

リヤサスペンションはマルチリンク式

 本格オフローダーの多くは、低速域が得意ならば高速域で不安定になりやすく、逆に高速域で安定性が高いクルマは低速域で強い突き上げに見舞われがちだ。その二者択一になるのだが、新型ディフェンダーは街乗りでも車体の揺れや突き上げは少なく、高速道路でもロール量・スピードとも適度に抑えられ安心して旋回できる。

テスト車両は255/60R20 113H M+Sのグッドイヤー・ラングラー・オールテレインアドベンチャーを装着

 しかも新車装着タイヤは、グッドイヤーのラングラー・オールテレインアドベンチャー。本格オフローダーでも新車装着タイヤはオンロード重視というケースが少なくないなか、新型ディフェンダーは泥濘路や雪道でも問題なく走れるタイヤを装着しながら、舗装路でも速度域を問わず快適な走りを実現していた。

新型ランドローバー・ディフェンダー90(左)、110(右)

 今回のテスト車両は総額1000万円に届こうかという仕様だが、ベースグレードは「110」が589万円、「90」は499万円と、ランドローバー車としては非常に安価。しかも悪路走破性は最も高く、かつ本格オフローダーという性格上、内外装を豪華に仕立てずとも全く引け目を感じることはない。さらに言えば、リセールバリューも期待できる。だから、現行モデルの中で最もコストパフォーマンスの高いランドローバー車と評しても、決して過言ではないはずだ。

■ランドローバー・ディフェンダー110SE(F-AWD)


全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm


ホイールベース:3020mm


車両重量:2320kg


エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ


総排気量:1995cc


最高出力:221kW(300ps)/5500rpm


最大トルク:400Nm/1500-4000rpm


トランスミッション:8速AMT


サスペンション形式 前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク


ブレーキ 前後:ベンチレーテッドディスク


タイヤサイズ:255/60R20 113H M+S


乗車定員:5名


WLTCモード燃費:8.3km/L


市街地モード燃費:6.6km/L


郊外モード燃費:8.3km/L


高速道路モード燃費:9.3km/L


車両価格:732万円
新型ランドローバー・ディフェンダー110SE

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