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ホンダCRF250L試乗|モトクロッサー“CRF”の名に臆せず、ビギナーにこそ乗って欲しい1台だ。


XR230の生産終了を受けて発売されたCRF250L。従来からのXRではなくモトクロッサーのCRFの名称となり、内外ともに一新! スタイリングのアップデートもちろん、エンジンが水冷化されて、ホンダ製トレールの新たな一歩を踏み出したモデルだ。現代流にアレンジされた滑らかな乗り味はオンもオフもOK! 等身大で付き合えるこの一台を、ステージ問わずじっくり乗ってみた。




REPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)


PHOTO&EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)

CRF250L/Type LD……715,000円

車体色はモトクロッサー、CRF譲りのエクストリームレッド(写真)とモノトーンが大人な雰囲気のブラックの2カラー。通常よりシート高を40mm低く設定したType LDもラインナップする。

 CRF250LはXR250の生産終了から5年後の2012年に発売された、ホンダオフロードファン待望の本格トレールバイクだ。ルックスはSL230直系であるXR230の後継というより、モトクロッサーのCRF250Rをデザインモチーフにしているため、アグレッシブなボディワークが特徴となっている。


 CRF250Lのファーストインプレッションは、率直に「カッコいい!」だった。このレーサー譲りのスパルタンな外観とは裏腹に、CRF250Lの開発コンセプトは『On(日常)を便利に、Off(週末)を楽しむ“ちょうどいい相棒 New On&Off Gear”』であり、オフロードだけではなく、ツーリングや日常の足としても使えるキャラクターに仕上げられている。なお、CRF250Lを基軸に、お馴染みのスーパーモタード仕様のCRF250Mに加え、パリダカマシン風に仕上げたCRF250ラリーが発売されているのも見どころだ。

1995年から2007年まで生産されたXR250は多くのオフ車乗りに愛された一台。2003年にタンクシュラウドが追加されてより精悍な出で立ちに。同年にモタード仕様も発売されてカワサキ・KLX250/Dトラッカーのライバルとしてストリートでも人気を博した。

 さて、突然だが私のオフロード話を少し。昔サーキットを走っていた時に、知人から「マルチの4発と並行して、オフ車でダート走行をしてスライドコントロールの練習をした方がいい」と、アドバイスを受けたことがあった。早速、私はXR250(MD30)の中古を購入してダートに繰り出した。初めて乗ったオフ車は、低速からとてもパワフルで、ダートでラフにスロットルを開け閉めすると、すぐにリヤタイヤがスライドしてしまう太いトルクに驚いたものだ!


 ただ、公道で回すとすぐに頭打ちするエンジンやオンロードに不向きなブロックタイヤのネガが先立ち、高速道路を使って遠出しようとは思わなかった。乗り味や使い方などを含め、「この割り切りがオンとオフの違いなんだなぁ~」と1人で納得した。

 話をCRF250Lに戻そう。今回試乗してみて、CRF250LにはXR250以前のホンダ製オフ車に見られた過激さは感じられなかった。CRF250Lは、CBR250Rの水冷単気筒エンジンをリファインして搭載しており、、XR250のようにスロットルにリニアに反応し、押し出されるような太いトルク感が希薄なのだ。CBR250Rより低中速トルクは厚くなっているけれど、なだらかに立ち上がるトルク特性のためか、ダートでタイヤを滑らすような走行は中々にコントロールが難しい。これはテクニックに左右される部分も大きいが(笑)。良くも悪くも、XR250は80年代後半のXLR250シリーズから続くパワーユニットを手直しして30年近くも採用し続けたモデルだから、現代のモデルとフィーリングが異なるのは当たり前か。

 しかし、ダートセクションとは逆に公道(オンロード)では想像以上に快適だった! エンジン特性が今時の250ccオンロードバイクそのものなので、発進からスムーズで扱いやすい。高回転域でも単気筒とは思えないほど良く伸びていく。ブロックタイヤによる違和感も少なく、エンジンのパワーに対してフレーム剛性が勝っているためか、安定志向で高速道路の走行も不安がないのだ。


 アップライトなポジションは視界も良好で気持ちよく走れる(走行風をまともに受けるのは我慢しよう!)。前後サスペンションのピッチングは当然ロードモデルに比べて大きいけれど、エンジンのトルクの出方が穏やかだし、ブレーキも必要十分な制動力を有し、コントローラブルだから不安はない。ロードモデルから乗り換えてもポジション以外にオフ車を意識することなく走ることができるはずだ。

 スパルタンな見た目やポジションからは想像できないくらいユーザビリティに優れていて、初めてオフロードバイクに乗る人でもオフ車という存在が身近に感じられる作りとなっている。かつてのXLR125/200やXR230のようなオフ車への間口を広げてくれる存在と言える。まさに「オンオフ楽しめる、ちょうどいい相棒(略)」のコンセプトを体現しているわけだ!

●足つきチェック(ライダー身長182cm)





シート高が875mmあるが、シートがスリムなことと、サスペンションの沈み込みが大きいので身長182cm、体重70kgのテスターの場合、シート前方に座れば両足がしっかり着く。ハンドル幅はあるが距離は遠くないので上半身はラク。ポジションが立ち気味で視線が高くなるため視界が広く感じられるのがオフ車ならでは! ちなみにローダウン仕様のType LDも併売されいて、こちらはシート高830mmに設定。

●ディテール解説

249㏄水冷4ストDOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載。ボア76mm×ストローク55mmは250オフの中でも結構なショートストローク仕様だ。低中速域のトルクを厚くしつつ、高回転までのスムーズさも併せ持つ。フレームはスチール製のツインチューブタイプで、メインフレームは楕円断面形状で車体のスリム化に貢献。最低地上高は255mmを確保している。

ラジエターは重量バランス最適化を考慮して車体左側に配置。導風効果を高めて冷却性能をアップさせるポリプロピレン製のグリルも装備している。

丸断面のテーパーマフラーは、2017年のモデルチェンジで内部構造を3室から2室に変更。若干小型化されるとともに、歯切れの良いサウンドを獲得した。

SHOWA製のφ43mm倒立フォークは250mmのストローク量を確保。ストリートから不整地まで幅広いシチュエーションに対応する。

リヤサスペンショはSHOWA製の倒立加圧シングルチューブ式。モトクロッサーCRFシリーズで熟成されたプロリンクサスペンション構造を採用している。

φ256mmのシングルディスクは軽量でクリーニング性の高いウェーブタイプを採用。2ポットキャリパーとの組み合わせはブレーキタッチのダイレクト感が高い。

φ220mmウェーブディスクと1ポットキャリパーを組み合わせたリヤブレーキは、オフロードバイクとして十分な制動力を発揮。フロントブレーキ同様、コントロール性も重視されている。CRF250R譲りの直張り式のスポークレイアウトは軽量かつ剛性にも優れる。 アルミ一体鋳造のテーパー状スイングアームも適切な強度と適切な剛性バランスを両立させている。

補強ブレース付きの幅広なバーハンドルは、スタンディング時の扱いやすさを考慮した形状だが、モトクロッサーに比べて手前にオフセットされているのでツーリング時などでも極端な違和感はない。ちなみにグリップ形状はCRFシリーズと共通だ。メーターはややコンパクトではあるがシンプルなので見やすい。

2017年のモデルチェンジでフルデジタルメーターのデザインを一新。回転計のメモリが強調されるレーシーなレイアウトとなった。メーター自体はやや小振りだがシンプルなので情報を確認しやすい。

エッジの効いたフロントフェンダーや、モトクロッサーのゼッケンプレートをイメージさせるメーターバイザーなど引き締まった印象のフェイスがグッド! 
2017年のモデルチェンジでテールランプ周りのデサインを変更。斜め後方に跳ね上がるリヤフェンダーとの一体感が増し、よりシャープになった。


オフロードブーツにも合うホールド性の高いステップやシフトペダルも、本格オフローダーらしく可倒式を採用。

マフラーと反対側にあるサイドカバーはキーロック付きのツールボックスになっている。車載工具のほかに小物が収納可。もちろんヘルメットロックも用意!
リヤフェンダーの左右4か所に荷掛けフックを装備。強いテンションにも耐えられ、取り外しもできるボルト式を採用。ツーリング時に活躍間違いなし!


■主要諸元■〔 〕内はCRF250L Type LD

車名・型式:ホンダ・2BK-MD44


全長(mm):2,195〔2,175〕


全幅(mm):815


全高(mm):1,195〔1,150〕


軸距(mm):1,445〔1,430〕


最低地上高(mm):255〔210〕


シート高(mm):875〔830〕


車両重量(kg):144〔143〕


乗車定員(人):2


燃料消費率*1(km/L):


 国土交通省届出値定地燃費値 (km/h)…44.3(60)〈2名乗車時〉


 WMTCモード値(クラス)…33.1(クラス 2-2)〈1名乗車時〉


最小回転半径(m):2.3


エンジン型式:MD38E


エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒


総排気量(㎤):249


内径×行程(mm): 76.0×55.0


圧縮比: 10.7


最高出力(kW[PS]/rpm):18[24]/8,500


最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):23[2.3]/6,750


燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉


始動方式:セルフ式


点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火


潤滑方式:圧送飛沫併用式


燃料タンク容量(L):7.8


クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式


変速機形式 常時噛合式6段リターン


変速比:


 1速…3.333


 2速…2.117


 3速…1.571


 4速…1.304


 5速…1.103


 6速…0.965


減速比(1次/2次):2.807/2.857


キャスター角(度):27° 35′


トレール量(mm):113


タイヤ:


 前…3.00-21 51P


 後…120/80-18M/C 62P


ブレーキ形式:


 前…油圧式ディスク


 後…油圧式ディスク


懸架方式:


 前…テレスコピック式


 後…スイングアーム式(プロリンク)


フレーム形式:セミダブルクレードル




■製造事業者/本田技研工業株式会社

●ライダープロフィール

川越 憲


1967年生まれ。有限会社遊文社・代表取締役にしてバイク誌を中心に活動するフリーライター・編集。現在所有するバイクはBMW R1150GS・BUELL XB9SX・TZR250(1KT)・NSR250R(MC18)etc.。 趣味は草野球、バレーボール、映画鑑賞(16mm映写技師免許所持)。

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