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Alpine A110 × Renault Megane R.S. Trophy比較試乗記


究極の雪道と言えば、モンテカルロラリーだ。新生アルピーヌA110ピュアで雪道を走った。帯同するのはルノー・メガーヌR.S.トロフィー。2台の対極のクルマで仮想ウインターラリーに挑戦した。




REPORT◉荒 聖治(ARA Seiji) 


PHOTO◉平野 陽(HIRANO Akio)




※本記事は『GENROQ』2020年4月号の記事を再編集・再構成したものです。

 走り出す前からイケると感じていたのだろうか。コクピットに座ると、無意識にスポーツモードを選び、ESCをオフにしていた。




 今回雪上コースで試乗するのはアルピーヌA110とルノー・メガーヌR.S.トロフィー。この2台で仮想モンテカルロ・ラリーを走破しようという目論見だ。2台ともスタッドレスタイヤを装着しており、圧雪路もアイスバーンもどちらもレベルの高いグリップを見せる。ステアフィールやブレーキの制動感も確認できたので早速走行してみよう。




 まずはA110から。テストコースをSSに見立てて、合図と共に全開でスタートした。トラクション性能、スタッドレスタイヤのグリップも良い。スロットルを深く踏み込んであえてスライドを楽しむ。その感覚は楽しい!のひと言。そのままひとつ目のコーナーまでプッシュする。ブレーキングはABSが介入するかしないかのギリギリを狙ってコントロール。1発目からイメージしていたブレーキング通りにコントロールできた。これは車重の軽さと44対56というリヤ寄りの重量配分も利いているのだろう。4輪がきちんと接地して減速している感じがある。




 そのままコーナーに進入すると、ターンインでオーバーステアに持ち込めた。もちろん唐突にグリップを失ってスピンするような挙動ではなく、グリップを感じながら穏やかにスライドしていく。この感覚を感じると、ついそのままテールスライドを維持してコーナーを立ち上がりたい欲望が出てくる。低回転域ではスロットル操作に対して少しもたつく感じがあるので、積極的にダウンシフトして高回転をキープした方がいい。欲しいところで必要なパワーを得られる。モンテカルロを彷彿させる、狭い雪のワインディングで積極的に2速ギヤを使って走る。




 A110が良いクルマだと感じるのは、フロントタイヤの位置をドライバーが把握しやすいだけでなく、リヤタイヤの通っている軌跡もイメージしやすいところだ。走らせている内にハイテンションになってきた。アウト側の雪壁ギリギリまでコース幅を使って、雪を巻き上げて走ると気持ち良い。スロットルを積極的に踏んでいくほどバランスが良く、安定したリヤに対して、ステアすればフロントがシャープに入っていくイメージだ。雪の中でも252㎰を積極的に使って攻められる。ミッドシップの走りを楽しむと、ゴールの山頂はあっという間だった。



ステアリングにある「スポーツ」スイッチを押すと、ESCのアクセルのつきが変わる。

〈SPECIFICATIONS〉アルピーヌA110


■ボディサイズ:全長4205×全幅1800×全高1250㎜ 


ホイールベース:2420㎜ 


■車両重量:1110㎏ 


■エンジン:直列4気筒DOHCターボ 


総排気量:1798㏄ 


最高出力:185kW(252㎰)/6000rpm 


最大トルク:320Nm(32.6㎏m)/2000rpm 


■トランスミッション:7速DCT 


■駆動方式:RWD 


■サスペンション形式:Ⓕ&Ⓡダブルウイッシュボーン 


■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク 


■タイヤサイズ:Ⓕ205/40R18 Ⓡ235/40R18 


■車両本体価格:790万円

 次はメガーヌR.S.トロフィーだ。スタートからフル加速すると、いきなり強いトルクステアが発生し、思わずステアリングを握る手に力が入った。やはり滑りやすいコンディションでは、効きの強いLSDが装着されたFWD車の特性が顔を出す。しかしステアリングをしっかりと握り、フロントタイヤを自分が狙った方向にしっかりと向ければクルマは狙ったところに突き進む。スロットルを開け過ぎてしまうと300㎰がフロントタイヤの限界をすぐに超えてしまうが、丁寧にコントロールすれば、クルマの動きやステアバランスも乾燥路面での挙動に近づく。




 コースの中盤あたりから特性が掴めてきたので、ブレーキもギリギリまで攻め込んていく。ブレーキング時の制動力や安定性も高い。コーナー進入時にトレイルブレーキを使ってコーナーに入ると、クルマはリヤが流れてオーバーステアの姿勢になった。リヤが流れても不安はなく、むしろ積極的にリヤを流して走りたくなるほどだ。ドリフトに持ち込むテクニックのひとつにフェイントという技があり、これはラリードライバーが多く使うテクニックだ。ブレーキングしながら左右に揺り返しを使ってクルマの姿勢を変化させると、これが驚くほど気持ちいい。




 今回の雪上テストでは、2台ともまるでラリードライバーになったような気持ちにさせてくれた。特にA110は雪の状況に関わらずバランスの良さと軽量が強い武器となるのを確認できた。

メガーヌR.S.トロフィーはヨコハマタイヤのアイスガード6を装着していた。


マルチセンスというドライブモードを切り替えると、エンジンとESCの制御が切り替わる。

〈SPECIFICATIONS〉ルノー・メガーヌR.S.トロフィー


■ボディサイズ:全長4410×全幅1875×全高1435㎜ 


ホイールベース:2670㎜ 


■車両重量:1470㎏ 


■エンジン:直列4気筒DOHCターボ 


総排気量:1798㏄ 


最高出力:221kW(300㎰)/6000rpm 


最大トルク:420Nm(42.8㎏m)/3200rpm 


■トランスミッション:6速DCT 


■駆動方式:FWD 


■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡトーションビーム 


■ブレーキ:Ⓕベンチレーテッドディスク Ⓡディスク 


■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ245/35R19 


■パフォーマンス 0→100㎞/h加速:5.7秒 


■車両本体価格:499万円
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