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トヨタ・グランエースのメカニズムを徹底解説!要人を満足させるためのメカニズム


ショーファーカートして、海外の賓客や企業のVIPを送迎することが念頭に置かれ、海外で先行発売されたグランエース。広大な室内空間こそ世界共通だが特に国内仕様では、内装の装飾やサスペンションセッティングなどもさらに上質に磨きがかけられ、違いのわかるエグゼクティブを満足させるクオリティに仕上げられた。




REPORT●安藤 眞(ANDO Makoto)/編集部


※本稿は2020年3月発売の「グランエースのすべて」に掲載されたものを転載したものです。

贅沢にくつろげる6人乗りと多人数乗車可能な8人乗りを設定

全長5.3mのボディに3列シートを並べたプレミアムグレードの乗車定員は6名。2〜3列の居住空間は平等で、「 VIP4名仕様」と言える。4列シートを並べた8人乗り仕様でも、4列目席に大人が座れる。広くはないが、窮屈ではない。

荷物の積載性は乗車定員で差異が発生

3列シート車はラゲッジに人数分のスーツケースを載せても、2〜3列目席のレッグスペースは十分に確保できる。4列シート車の場合、人数分のスーツケースを載せるには4列目を畳み、6名乗車で使用することになる。

死角がなく開放的な見晴らし

運転席に座ると、ボリューム感満点のインパネが目に飛び込んでくる。逆に側方は開放感が高く、ベルトラインが前に向かって切り下げられているため、斜め前方の視界は良好。Aピラーとミラーの隙間も広く死角は少ない。

バッテリーも快適な設置場所

鉛バッテリーはエンジンルームではなく、助手席の床下に搭載。助手席ステップの壁面にリッドがあり、ここから容易にアクセスできる。重量物が低く、重心に近いため、操縦安定性の向上にも効果のあるレイアウトだ。

大人数乗車でも後方視界は良好



ルームミラーには、光学/デジタル切り替え式を採用。光学式にしておけば、焦点移動の少ない自然な視界が得られ、デジタル式に切り替えれば、荷物や乗員数にかかわらず、常に広い視界が確保できる。

豪華なシートだが乗降性も問題なし

6人乗り、8人乗りともに2列目シートは豪華で多機能なエグゼクティブパワーシートを採用する。3列目以後に乗り込む際には、操作性の高いサイドレバーで、素早く前方へスライドさせることができる。

ステップだかは少々高め

ボディサイズに応じて大きく開かれた開口部は幅と、高さともに余裕がある。ただし、ステップ高が高いので階段を上る時よりも足を上げる必要があり、高齢者の乗降には介助が必要になることもあるだろう。

国内仕様はさらに上質な空間に

先行発売された海外仕様に比べ、国内仕様では、国や企業の要人の送迎も想定。内装の目と手に触れる各部の質感が高められ、エグゼクティブユースに相応しい室内空間がつくりあげられた。

モノコックながら骨格断面を大きくとり剛性を確保

モノコック構造でありながら、直線的な構造で強固な骨格を床下に配置。サイドメンバーは側面視で真っ直ぐ通っている。クロスメンバーも緻密に配置されており、強度や剛性だけでなく、NV性能にも効果がありそうだ。

剛性を高めて操縦安定性を獲得する

通常は少し隙間の開いているフロントサスタワーとダッシュパネルだが、グランエースは両者を直接、溶接(赤丸がスポット打点)。ダッシュパネルをサスタワーの支持部材として使用し、効率良く剛性を確保している。

タイヤからの大入力を効率良く受け止める

フロントのサスペンションメンバーは「日」の字構造。ロワーアーム取付部は横方向のストレート部材でガッチリと支持する。図には描かれていないが、両メンバー間を橋渡しする板状のブレースも、ボルト締結される。

ブレース追加で効率的に強化

ラジエーターまわりには、筋交い状のVブレースと、サイドメンバー前端を左右に結ぶブレースを設定。この部分を補強すると、操舵初期に発生するボディの捩り変形が抑えられ、微少舵角時の操舵応答性が向上する。

ラテラルロッドの入力点も強化

リヤサスの横方向入力を支えるラテラルコントロールロッドは、スタビリティを左右する重要な部品。ボディ側ブラケットは大きな三角形構造となっており、高い支持剛性を確保する。

ダンパー取り付け部のねじれ変形を抑制

リヤダンパーはロールの抑制も狙い、ロワーアームの外側にマウント。ボディ側取り付け点はサイドメンバーの外側になるため、ピンを貫通させて支持剛性を確保する。曲げ応力が高くなる根元部分は、とりわけ太くなっている。

ダッシュまわりを念入りに遮音

エンジンルームからの透過音対策は入念に実施。遮音材は穴面積が非常に小さいのに加え、ダッシュパネル上面にまで回り込ませている。アスファルトシートを挟んだ制振鋼板は、ディーゼルエンジン特有の低周波音に効果を発揮する。

環状骨格構造で剛性を向上



B/C/Dピラー部には全周閉断面骨格を配置。フロアからアッパーボディに立ち上がる部分も単純な「突き当て構造」とはせず、コーナー部に筋交い構造ができるよう形状を設計。荷重伝達の流れを効率良く伝え、剛性を確保する。

要所にのみハイテン材を採用

乗用車系と較べると、ハイテン材の使用比率は少なく見えるが、これは剛性向上のために板厚を確保した結果、ハイテンを使わなくても衝突安全基準がパスできたから。構造的に強いので、過剰なハイテン化は必要ないのだ。

大開口部は接着剤を追加して強化

ドア開口部周辺には、広範囲に構造用接着剤を採用。マッチ箱変形を抑制し、操縦安定性と乗り心地を向上させる。ガラスの接着剤にも高剛性ウレタンタイプを使用し、ガラス本体もボディの剛性部材として機能させている。

ルーフ骨格も溶接で接合

かつては嵌め込み構造やボルト締結で組まれていたルーフ骨格の結合部は、サイドパネルに「お迎え」ブラケットを付けておくことで、溶接による組み立てを成立させている。

バックドアの開口も高剛性

全幅が広いため、バックドア骨格をストレートにしても十分な開口幅が取れ、コーナーRを拡大する余裕もあるため、剛性面では有利な形状となった。右の図を見ると、高応力部(赤色)が広範囲に分散しているのがわかる。

アッパーボディの遮音材を使い分け

赤色が熱発泡性の遮音材。ボディ溶接時に骨格内部に貼り付けておき、塗装工程の熱で発泡させて隙間を塞ぎ、骨格内部を伝わってくる音を遮断。青は成型したウレタンフォームで、パネルの隙間から侵入してくる騒音を遮断する。

下面を広範囲にカバーして空力性能を向上

熱を発生するエキゾーストパイプ周辺以外は、ほぼ全面に空力カバーを配置。整流フィンが6ヵ所に立てられており(黄色の矢印)、操縦安定性の向上も狙っているのがわかる。

スペアタイヤカバーにも空力性能を付加

吊り下げ式スペアタイヤの下にも、空力カバーを設定。中央寄りには翼断面形状のフィンが立てられており、リヤアクスルで乱された空気を整流、操縦安定性を向上させる。スペアタイヤはテンパーではなくフルサイズだ。

各部が強化された国内最大のマクファーソンストラット式サスペンション

重量級でありながら、フロントサスにはストラット式を採用。ダンパーロッド径を国内向けトヨタ車最大のφ28㎜とし、横剛性を確保する。ロワーアームもコの字断面のモナカ合わせとし、大入力に耐える構造としている。

サス形式の特徴を最大限に活用

リヤサスにはリジッドアクスル式を採用。バネ下質量は多少、大きくなる反面、強固なアクスルケースを持つため耐久性が高く、旋回時に対地キャンバーが変化しないため、安定したスタビリティが得られる。

アンチリフトとリヤサスストローク確保のための施策

側面視上の瞬間中心を高めに取ることで、制動時にリヤの浮き上がりを抑えるアンチリフト特性を付与。キャビンを侵食しないコイルスプリング配置としながら、ホイールトラベルは200㎜と大きく取れている。

操舵力の低減とノーズダイブの抑制

キャスター角は約3度と、FR車としては小さめの設定。据え切り大舵角時の操舵力を低減するのが狙いだ。ロワーアームの揺動軸は前下がりになっており、制動時のノーズダイブを幾何学的に抑えるジオメトリーを形成する。

ブレーキ安定性と操舵性向上

ロワーアームとタイロッドの形成する四角形を平行四辺形に近付け、制動時のトー変化を抑制。スプリットμ路での制動安定性を向上している。内輪切れ角45度の実現のため、ロワーアームNo.2ブッシュは内側に追い込んだ。

フル乗車でも安定性を確保

フル乗車時にサスが沈んでロールセンターが低くなり過ぎないよう、ロワボールジョイント位置を下げて空車時のロールセンターを高めに設定。ホイールインセットの拡大とキングピンオフセットの縮小で制動時の安定性を確保。

直進性と制動性の安定に貢献する

コイルスプリングはロワアームに載せることで、室内へ張り出すのを防止。ダンパーは可能な限り外側に取り付け、バウンス時とロール時で生じる作動効率の差を縮小している。

安定性が高められたリヤサス

4本のリンクは平行に配置。同相ストローク時にブッシュをこじらずに使用し、乗り心地を向上させる。ラテコンは最大限に長くとり、スカッフ変化を抑制。スタビライザーのクランプ幅も広く取り、作用効率を高めている。

ブレーキペダルのタッチとコントロール性を向上

ブレーキペダルの操作軌跡を改善するため、プッシュロッドとの間にリンクを設定。リンク比をチューニングすることで、遊びが素早く取れ、軽いブレーキ時には操作しやすく、踏み込んだ際に安心感の得られる特性をつくり込んだ。

周波数感応式アブソーバー

メインバルブの下に付けられたチャンバー内でピストンを動かし、高周波/小振幅時に減衰力が高まるのを抑制。操安性を左右する1Hz以下の低周波/大振幅域では可動オリフィスが閉じられ、必要な減衰力をメインバルブで発生させる。

油圧パワステのシリンダーも最大級

ステアリングのパワーアシストには、トラディショナルな油圧式を採用。ポンプにはVFC(バリアブルフローコントロール)バルブが内蔵されており、油圧が不要な時には内部循環させて駆動損失の低減を図る。

パワフルな2.8ℓクリーンディーゼル



エンジンはランドクルーザープラドにも搭載される1GD-FTV 型。排気量2.8ℓのターボディーゼルだ。最高出力は130kW、最大トルクは450Nmと絶対値的には大きいが、トルク特性はフラットで、「必要な仕事を淡々とこなす」プロユース向けキャラクターだ。

エンジン型式:1GD-FTV


排気量(㏄) :2754


種類・気筒数:直列4気筒直噴ターボ


弁機構:DOHC16バルブ


ボア×ストローク(㎜) :92.0×103.6


最高出力(kW[㎰]/rpm) :130[177]/3400


最大トルク(Nm[㎏m]/rpm) :450[45.9]/1600-2400


使用燃料:軽油

高性能な直噴インジェクター

燃料噴射システムは、デンソーの第四世代コモンレール式。9つの噴口から、最大220MPaに圧力で軽油を噴射する。弁駆動はピエゾ素子ではなくソレノイドだが、1行程あたり最大9回噴射できる応答性を持つ。

形状最適化が図られた燃焼室付きピストン

ピストン形状はプラドのものと同じだが、アルマイト層を利用して断熱と放熱を行なう「TSWIN」は非採用。燃焼室形状は中央突起付きのリエントラント型で、トップランドに断付きを設けてスキッシュ流を最適化している。

可変ノズルベーン式ターボ

ターボチャージャーはトヨタ内製。シーケンシャルツインではなく、VG( トヨタはバリアブルノズル=VNと呼ぶ)式を採用する。排気タービンの入り口に並べたノズルブレードを可変制御し、ターボラグの縮小と高トルクを両立する。

尿素SCRシステムで排気をクリーンに

エンジンから排出された排ガスは、酸化触媒で未燃焼成分が燃やされ、DPRでPMなど排気微粒子がトラップされる。その後、尿素水が噴射され、SCR 触媒上でNOXを還元。世界で最も厳しい排ガス規制をパスする。

ワイドな変速比を持つ6速ATを搭載

トランスミッションは縦置き用の6速AT。フレックス(スリップ)ロックアップ制御を行なうことで、高い伝達効率と、ショックレスな変速を両立する。ギヤレシオも含めて、ランドクルーザープラドと同じユニットだ。

国内開発された尿素インジェクター



ガソリンエンジン用の燃料噴射ノズルをベースに、デンソーと共同開発した尿素水インジェクター。丸い円盤は、排気熱を放熱してインジェクターを守る冷却フィンだ。

浄化効率向上のキーポイント

NOX の浄化効率を高めるポイントは、尿素噴霧をいかに均一に分散させ、触媒面積を有効に使うか。そのカギを握るのが、SCR触媒入り口に設けた分散版の形状だ。トヨタはこれも自社開発し、最大浄化効率99%を達成している。

酸化触媒も併用

蜂の巣状に焼いたセラミックに、触媒金属として銅ゼオライトを担持させたSCR(選択還元型)触媒。この上で、アンモニア(NH3)のNとHが分離し、NOXから酸素を奪い、N2とH2Oとなって無害化される。

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