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ボルボS60のメカニズムをピンポイント解説!


個々の技術はごく当たり前。しかし、「その手があったか!」と思わず膝を打つ使い方をしてくるのがドイツともフランスとも、ましてや日本とも違う北欧はボルボ流儀の自動車技術。


S60からその秘密の一端を探ってみよう。




解説●安藤 眞(ANDO Makoto)


写真・図版●VOLVO




※本稿は2020年1月発売の「ボルボS60のすべて」に掲載されたものを転載したものです。

SPA(Scalable Product Architecture)

SPAはボルボがD~EセグメントのFF車およびFFベース4WD車用に開発した車両アーキテクチャー(≒プラットフォーム)。写真はSPAの中でも最大級のXC90のものだが、赤字で示した前輪からアクセルペダルまでの間隔以外は長さ、高さともに自在に寸法が変えられるため、S60も寸法以外、基本構造は同じ。

ボディ構造

3代目となる新型S60はアメリカ、サウスカロライナ州チャールストンの新工場でのみ製造される。SPA採用に伴って一段と標準化・合理化を進展させたボディは量産体制へのスムーズな移行を可能にしたことも重要な特徴の一つ。

キャビンを取り囲むボディ構造はUHSSの使用率を高め、すべての乗員を安全に囲い込む防護ケージの役割を果たせるよう設計。その一方でキャビン前後は衝撃を分散するクラッシャブルゾーンとして機能する。

ドライブ-Eガソリンエンジン

「ドライブ-E(DRIVE-E)」とはPSAへの搭載を前提に開発された、ボルボの新世代パワートレーン・コンセプトの冠名称(タイトル)であり、新世代ガソリンエンジン技術とPHEV技術、多段AT技術を柱とする(当初は新世代ディーゼルエンジンも柱とした)。ガソリンエンジンは当初は2.0ℓ直列4気筒のみですべてをカバーする計画だったが、現在は1.5ℓ直列3気筒も加わった2本立てとなった。いずれも直噴ターボの高効率・低公害エンジンで、S60に搭載されるのはB4204Tの型式を持つ2.0ℓ直4シリーズとなる

〈T4〉普及版とも言うべき存在がT4だが、そのスペックは決して見劣りするものではない。最高出力140kW(190ps)/4700rpm、最大トルク300Nm(30.6㎏-m)/1300-4000rpm。

〈T5〉標準仕様とも言うべき存在がこのT5。ターボのみを装着する仕様では最上位機種となる。最高出力187kW(254ps)/5500rpm、最大トルク350Nm(35.7㎏-m)/1500-4800rpm。

T6はルーツ式のスーパーチャージャー(赤い吸気経路)とターボ(青い吸気経路)の2つの過給器を組み合わせて搭載するハイパフォーマンス仕様。さらにこの上位にT8が存在するが特別仕様であり、実質的な最高峰はこのT6と言える。ただし日本に導入されている新型S60のT6はプラグイン・ハイブリッド仕様のためエンジン単体では最高出186kW(253ps)/5500rpm、最大トルク350Nm(35.7㎏-m)/1700-5000rpmとT5と大差なく、65kW(87ps)/7000rpm、240Nm(24.5㎏-m)/0-3000rpmの電気モーターと組み合わせてのパフォーマンスになる。

当初、「ドライブ-E」におけるエンジン構想は、ボア82.0㎜、ボアピッチ91.0㎜のモジュラー化されたシリンダーブロックをガソリンとディーゼルとで共用、そこへ装着する過給器と内部チューニングの違いによって、ガソリン10種類、ディーゼル7種類の異なるスペックのエンジンを合理的に作り出そうという画期的なものだった。環境性能を重視してボルボが電動化に舵を切った現在ではディーゼルを撤退したため、ガソリンエンジンのみとなっている。

サスペンション

サスペンションはエンジンと同様、SPAでの採用を前提として開発されたものであり、フロントはダブルウィッシュボーン式、リヤはボルボ独自のインテグラルアクスルを採用したマルチリンク式。ドライバーの操作に対して正確かつ俊敏に反応するハンドリングの実現と快適性の両立を目指している(編注:掲載画像は必ずしもS60固有のものではない)。

フロントのダブルウィッシュボーン式サスペンションはスポーツカー用に近い設計を採り、コントロール性の向上をはかっている。高いキャンバーゲイン(サスペンションボトム時にキャンバー角度が変化する量。キャンバーロスとも言う)と小さいキングピンアングル{タイヤを前から見た時のタイヤ取付け軸(=キングピン軸)中心線と路面から垂直に延ばした線との角度}によりグリップを向上させているのが特徴。

リヤに採用されたインテグラルアクスル式マルチリンク・サスペンションは、高いキャンバースティフネス(キャンバー角1度当たりのキャンバースラストの大きさ)と正確なホイール制御により、高いグリップ力を発揮するよう開発された。アルミ合金を多用して軽量化がはかられ、また、サブフレーム後方に横置きされたリーフスプリング(矢印)にも樹脂コンポジットを用いている。

ツイン・エンジン・テクノロジー

ボルボでは、いわゆるPHEV(プラグイン・ハイブリッド)技術を「ツイン・エンジン・テクノロジー」と称する。これが現状、PSAを用いるボルボ車の最高峰T8の根幹技術であり、その普及版がT6とも言える。電動のみの「ピュア」、内燃機関と電動の適切な組み合わせを切り替えつつ使用する「ハイブリッド」、すべての動力をフルに用いる「パワー」、4輪に常時最適なトラクションを配分する「コンスタントAWD」の4つのドライブ・モードが用いられる。構造としては重量物である高電圧バッテリーを車体中央を縦断するトンネルコンソールに配置することで、安全性と重量配分、操縦性を両立させているのが特徴。電動のみならば出力65kWのモーター9.2kWhのバッテリーにより45㎞の航続距離を確保する。

〈車載充電器〉欧州、北米、中国の標準アダプター装備。AC入力電圧85-265V。出力3.5kW/230V、1.4kW/120V。充電時間3時間/16A、8時間/10A(気象条件により変動あり)。

〈ERAD(Electric Rear Axle Drive)〉ERAD=電動後車軸駆動。電動モードにおいては電気のみで推進可能。加速時はモーターのトルクとパワーで内燃機関を補助。電動全輪駆動が可能。永久磁石同期電動機(モーター/ジェネレーター)で最大出力65kW、最大トルク240Nm、重量34㎏、ステーター水冷式。電力回生はブレーキによる。

〈高電圧バッテリー〉エネルギーグリッドからの充電およびブレーキングによるC-ISGからの回生電力はここに蓄電され、電気駆動の際や室内の空調のために電力を供給する。リチウム-イオン・セルは96個、電圧270-400V、電力量9.2kWh(ノミナル値)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物。正極はコバルト酸リチウム、負極は黒鉛。重量113㎏(クーラント除く)。手動切断可。

主な電力変換・制御機器はリヤのERADを制御するERADインバーターとフロントのC-ISGを制御するCIDD(Combined Inverter and DC/DC)のふたつ。ERADインバーターは600A/650V定格電力モジュールでスイッチング周波数は10kHz。CIDDは400V-12Vの電圧コンバーターで、650V定格電力モジュール、スイッチング周波数10kHz。

C-ISG(Crank-Integrated Starter Generator)はバッテリーへの回生充電器、内燃機関のスターターとして機能するほか、内燃機関を電気的ブースト・パワーによってサポートする。永久磁石同期電動機(モーター/ジェネレーター)。最大出力34kW、最大トルクは加速時160Nm、冷間始動時180-240Nm。重量18㎏、水冷式。

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